英語の意味は分かるのに、日本語に訳そうとするとうまくいかない。そんな経験はありませんか?英語の翻訳では、単語や文法の知識だけでなく、文脈を読み取り、自然な日本語を選ぶことも大切です。この記事では、翻訳の基本を簡単に解説しながら、ENGLISH JOURNALに掲載された翻訳家や専門家の記事を紹介します。英語をもっと深く理解したい人も、翻訳に挑戦してみたい人も、興味のあるテーマから読んでみてください。
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目次
英語を翻訳するとは?直訳と意訳の違い
英語を日本語に翻訳するとは、英文の意味を理解し、その内容を日本語で伝えることです。
とはいえ、英単語を一つずつ日本語に置き換えればよいというわけではありません。
翻訳の方法について考えるとき、よく登場するのが「直訳」と「意訳」という言葉です。
- 直訳:原文の言葉や構造をできるだけ保って訳すこと
- 意訳:原文の意味や意図を重視し、訳す言語で分かりやすく表現すること
例えば、次の英文を見てください。
- It's raining cats and dogs.
直訳:猫と犬が降っています。
意訳:土砂降りです。
It's raining cats and dogs.は、激しい雨を表す慣用表現です。単語の意味をそのまま日本語にしても、英文が伝えたいことは分かりません。
ただし、直訳が悪く、意訳がよいというわけではありません。原文の意味を正確に伝えながら、日本語として自然な表現を選ぶことが大切です。
実際の翻訳でも、直訳と意訳のどちらを重視するかは、文章の種類や目的によって変わります。
出版翻訳コーディネーターの上原絵美さんは、フィクションとノンフィクションでは翻訳に求められるものが異なることを紹介しています。そもそも「直訳」とは何なのか、プロの現場ではどう考えられているのか。翻訳の基本をもう一歩深く知りたい人におすすめの記事です。
英語を自然な日本語に翻訳するコツ
英文の意味は分かるのに、訳してみるとどこか不自然になる。そんなときは、英語の語順や言い回しに引っ張られ過ぎているのかもしれません。
例えば、英語では主語が明示されていても、日本語では省略した方が自然なことがあります。また、英文の一文を日本語では二文に分けたり、逆に複数の文を一文にまとめたりすることもあります。
英語を翻訳するときは、次のような点を意識するとよいでしょう。
- 英文の文法構造を確認する
- 単語や表現の意味を調べる
- 前後の文脈や、誰が誰に向けた文章なのかを考える
- 英文全体が伝えようとしていることを捉える
- 自然な日本語に訳し、原文とのずれがないか確認する
簡単な英語ほど、訳すのは難しい?
次の英文を、あなたならどう訳しますか?
- Are you warm enough?
十分暖かいですか?
文法的には難しい英文ではありません。しかし、寒い日に薄着の人を気遣って尋ねる場面なら、「寒くない?」という日本語の方が自然かもしれません。
映像翻訳スクールを運営する三村拓史さんは、この英文を題材に、自然な日本語に翻訳するための6ステップを紹介しています。
読みやすい訳文にするには?
英文を正確に理解できても、その訳文が読みやすいとは限りません。
例えば、英語の主語を毎回日本語に訳していると、くどい文章になることがあります。一方で、省略し過ぎると誰の話なのか分からなくなる場合もあります。
出版翻訳コーディネーターの上原絵美さんは、読者から寄せられた訳文を題材に、正確さ、分かりやすさ、読みやすさについて具体的に解説しています。
訳文を改善する際に何を考えればよいのか、実践的に学べる記事です。
英単語の訳し分けと、翻訳の落とし穴
英単語の意味を知っていても、どの日本語を選べばよいのか迷うことがあります。
一つの英単語が複数の意味を持つこともあれば、日本語と英語で言葉の表す範囲が異なることもあります。
lostは「失われた」だけではない
例えば、lostには「道に迷った」「失われた」などの意味があります。
では、アメリカの作家ウィラ・キャザーの小説『A Lost Lady』のlostは、どう解釈すればよいのでしょうか。
翻訳家の有好宏文さんは、この作品を題材に、一つの英単語をどう解釈し、どの訳語を選ぶかについて考えています。
自然な日本語にしようとして「訳し過ぎ」ていない?
翻訳では、原文の意味を正しく伝えることが大切です。しかし、読みやすい日本語にしようとするあまり、原文に書かれていない意味を付け加えてしまうこともあります。
北村紗衣さんは、ドラマ『シャーロック』や映画『オーシャンズ8』を題材に、marriageやpersonといった言葉を訳す際に生じやすい思い込みについて解説しています。
辞書に載っていない英語はどう訳す?
翻訳するときに欠かせないのが辞書です。しかし、辞書を調べても答えが見つからないことがあります。
例えば、小説や映画には、作者が作り出した言葉や、既存の言葉をもじった表現が登場します。
こうした言葉は、辞書に訳語が載っていないからといって、翻訳を諦めるわけにはいきません。
文芸翻訳家の越前敏弥さんは、小説『Flash and Dazzle』に登場するinebriatorという造語を取り上げています。
「酔わせる」という意味の動詞inebriateから作られた言葉ですが、単に「酔っぱらい」と訳してしまっては、原文に込められたユーモアが十分に伝わりません。
越前さんは、この言葉の響きや物語の時代背景を考え、「酒業僧(しゅぎょうそう)」という訳語を選んだ経緯を紹介しています。
言葉の背景にある文化や社会も翻訳する
翻訳では、単語や文法の意味だけでなく、その言葉が使われている社会や文化についても考える必要があります。
例えば、英語のmanとpersonには、文脈によって重要な意味の違いがあります。しかし、両方とも日本語では「人」と訳せるため、原文にある対比が失われてしまうことがあります。
翻訳家の樋口武志さんは、アメリカの小説『The Rabbit Hutch』を取り上げ、ジェンダーに関わる言葉の違いをどう日本語に反映するか考察しています。
AI翻訳はどこまで使える?
Google翻訳やDeepL、ChatGPTなど、英語を日本語に翻訳するための手段は増えています。
文章を入力するだけで訳文を得られるのは便利です。分からない英文の意味を確認したり、自分で作った訳文と比較したりする際にも役立ちます。
ただし、AIによる訳文が常に正しいとは限りません。
特に注意したいのは、次のような点です。
- 原文の意味を取り違えていないか
- 文脈に合った訳語が選ばれているか
- 原文にない情報が付け加えられていないか
- 原文の情報が抜け落ちていないか
- 日本語として自然でも、原文とは違う意味になっていないか
自然な日本語で書かれていることと、正確に翻訳されていることは、必ずしも同じではありません。
プロの翻訳者はAI翻訳をどう考えている?
翻訳者の丸山清志さんは、生成AIの普及が翻訳の仕事に与える影響や、人間の翻訳者とAIとの関係を考察しています。
※この記事は2023年に公開されたものです。AI翻訳の技術やサービスはその後も変化していますが、翻訳における人間の役割を考えるうえで参考になります。
小説や文学作品の翻訳は何が難しい?
小説や文学作品の翻訳では、言葉の意味だけでなく、登場人物の話し方や作者独自の文体、文章のリズムなども大切になります。
読みやすい日本語にするだけでは、原文の魅力が失われてしまうこともあるのです。
原文の「ぎこちなさ」も翻訳する?
例えば、作家が意図的にぎこちない文章を書いていたとしたら、翻訳ではどうすればよいのでしょうか。
英文を滑らかで美しい日本語に直してしまうと、作者が表現しようとしたものが失われてしまうかもしれません。
翻訳家の柴田元幸さんは、カズオ・イシグロの作品を題材に、原文の特徴を日本語でどう表現するかを考えています。
登場人物の性別をどう訳す?
英語の代名詞theyは、複数の人物だけでなく、性別を限定しない一人の人物を指す場合にも使われます。
また、英語では性別が明示されていても、日本語に訳す際にはその情報を省略することがあります。
では、いつ性別を明示し、いつ明示しない方がよいのでしょうか。
翻訳家の三辺律子さんは、自身の訳書を題材に、代名詞や性別に関わる言葉をどう訳すか、その難しさと面白さを紹介しています。
日本語を英語に翻訳するときは?
ここまでは、主に英語を日本語に翻訳する方法を紹介してきました。しかし、日本語から英語への翻訳でも、単語をそのまま置き換えられない問題は生じます。
例えば、日本語の「頑張って!」は、試験を受ける人を応援するときと、落ち込んでいる人を励ますときでは、英語での表現が変わります。
また、日本のマンガに登場するダジャレや方言を英語に訳すときには、言葉の面白さや登場人物の個性をどう伝えるかも重要になります。
マンガのダジャレや方言を英語にする
マンガ『黒執事』のセリフ「私は悪魔で執事ですから」は、「悪魔で」と「あくまで」を掛けた言葉遊びです。
英語版では、I am a devil of a butler.という表現が使われています。
マンガ翻訳家の木村智子さんは、こうしたダジャレや、登場人物のなまりを英語で表現するための工夫について解説しています。
日本語の「頑張る」は英語でどう言う?
日本語の「頑張って!」を英語で言うとき、いつでも同じ表現を使えるわけではありません。
試験や試合を控えた人にはGood luck!、つらい状況にいる人を励ますならHang in there!など、場面によって言い方が変わります。
言語学者のアン・クレシーニさんは、「頑張る」という日本語を通して、言葉の背景にある文化や考え方の違いを紹介しています。
プロの翻訳家にはどんな力が必要?
翻訳に興味を持つと、「英語が得意なら、翻訳も上手にできるのだろうか?」という疑問が浮かぶかもしれません。
もちろん、英文を正確に理解する能力は重要です。しかし、翻訳には対象分野についての知識や、文章全体を読み解く力、訳文を適切に表現する力なども必要になります。
「高い日本語力」とは何だろう?
翻訳家には高い日本語力が必要だとよくいわれます。しかし、そもそも「高い日本語力」とは何を指すのでしょうか。
翻訳家・通訳者の平野暁人さんは、この問いから出発し、原文を正しく読むことや、日本語の多様な表現をどう捉えるかについて考察しています。
平野さんの専門はフランス語・イタリア語と日本語の翻訳ですが、原文を読み解く力と訳文を表現する力についての考え方は、英語の翻訳にも通じるものがあります。
英語翻訳についてよくある質問
英語を日本語に翻訳するとき、何から始めればいいですか?
まず英文全体を読み、何について書かれているのかを理解することから始めましょう。文法構造や分からない単語を確認し、前後の文脈を考えてから日本語に訳すと、意味の取り違えを防ぎやすくなります。
直訳と意訳は、どちらが正しいのですか?
どちらが常に正しいということはありません。原文の意味や意図を正確に伝えられているか、読者にとって自然で分かりやすい日本語になっているかを考えて、訳し方を選ぶ必要があります。
英語の翻訳はAIだけで十分ですか?
AI翻訳が役立つ場面は数多くあります。ただし、専門的な文章や微妙なニュアンスを含む文章では、誤訳や情報の抜け落ちがないか確認することが大切です。重要な文書では、必要に応じて専門家による確認も検討しましょう。
英語の翻訳を上達させるには?
短い英文を自分で訳し、ほかの訳例と比較する練習がおすすめです。訳が異なる場合は、どちらが正しいかだけでなく、なぜその日本語が選ばれたのかを考えてみましょう。訳文を声に出して読んでみるのも、不自然な表現に気付くきっかけになります。
翻訳を通して、英語をもっと深く理解しよう
英語を日本語に翻訳することは、単に言葉を置き換える作業ではありません。
英文の意味を理解し、文脈や文化的背景を考え、どの日本語なら伝わるのかを判断する。その過程では、英語だけでなく、日本語についても改めて考えることになります。
今回紹介した記事からも分かるように、翻訳の世界には、辞書の訳語を選ぶことから、文学作品の文体や言葉遊びを再現することまで、さまざまな面白さがあります。
気になるテーマがあれば、ぜひリンク先の記事も読んでみてください。
翻訳という視点を持つことで、英語の読み方が少し変わるかもしれません。
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