新米で造る「新酒」って英語でなんて言う?日本酒ペアリングの楽しみ方

日本酒オタクのおもてなし英語

連載「日本酒オタクのおもてなし英語」では、国際利酒師や日本酒学講師の資格を持つあゆみせんせいが、日本酒の知識や日本酒にまつわる英語表現を紹介します。第11回は、日本酒を一年中楽しむために「日本酒の四季」や「日本酒と食べ物のペアリング」についてお話しします。

「日本酒オタクのあゆみせんせい」こと、日本酒サービス研究会・酒匠研究連合会(SSI)公認の国際利酒師および日本酒学講師の藤代あゆみです。

「日本酒オタクのおもてなし英語」も、今回がいよいよ最終回・・。第1回の記事で述べましたが、英語はあくまで言葉としてのツール。外国人と交流するときのためのネタはいくつあっても困りません!

これまで10回にわたって書いてきた内容の総まとめとして、最終回では日本酒をもっと楽しみ、外国の方にも楽しんでもらう秘訣についてお話しします!

日本酒で季節を感じよう!

食べ物で季節を感じる

日本は四季のうつろいが美しい国と言われます。春夏秋冬が当たり前の日本に生まれ育つと、そのありがたみはなかなか感じにくいかもしれませんね。

ところで、どうやって私たちが日本の四季を感じているかご存じですか?

天気?温度?それもありますが、とある料亭の方に伺ったところ、口にするものから季節を感じているのだそうです。そう、旬の食材が私たちに季節を教えてくれるのです!

ちなみに料亭では、ほんの少し季節を先取りするんだとか。毎日暑い日々が続くものの、もうすぐ秋。秋といえば、さんま!さんまは、秋が旬と言われますが、実は7月から食べられるお魚です。料亭では晩夏にさんまを出すことで、お客さまに「秋だな〜」「もうすぐ秋がくるんだな〜」と感じてもらうんだそうです。粋ですよね!

日本酒で季節を感じる

日本酒にはさまざまな特徴がありますが、季節によって旬の日本酒があるのです!意外と知らない方も多いのではないでしょうか。

そして、四季のあるお酒は世界的に見てもめずらしいこと。春のビールや夏のワインってあまり聞いたことはありませんよね?秋のウォッカに、冬のテキーラ・・・これもなじみがありません。

では、季節の日本酒“seasonal Sake”とはどのようなものなのでしょうか?

spring(春)

春酒

spring Sake

季節の名前のままなのですが、桜色だったり、ほんのり酒粕が混じってまるで桜が舞うようであったり、可愛らしいお酒がたくさんあります。

summer(夏)

夏酒

summer Sake

こちらも季節の名前のとおりですが、暑い夏でもすっきり楽しめるようなキレのある日本酒が、透明や薄い水色の瓶に入れられて発売されます。見た目にも涼しいですね。

autumn(秋)

ひやおろし

Sake aged over the summer

先にかけて出来上がった日本酒を、夏の間寝かせて、秋に発売する日本酒。半年ほどの熟成が味わいを深め、秋の味覚にぴったりです。

winter(冬)

新酒

freshly brewed Sake

日本酒は秋以降から仕込みが始まるところが多いので、冬は造りたてのフレッシュな日本酒を味わえます!「搾りたて」という言い方もありますね。

「季節の日本酒」について英語で説明してみよう!

Japan has beautiful four seasons and we appreciate them through foods and drinks. In the springtime, we enjoy Sakura with pink colored Japanese Sake. In summer, refreshing Sake in a cool colored bottle burns off the heat. In autumn, Sake breweries start releasing Sake aged over the summer which has a rich taste. In winter, as it is the season for Sake making, we can enjoy freshly brewed Sake!

日本には美しい四季があり、食べ物や飲み物でそれぞれの季節を楽しみます。春には桜を楽しみながら、桜色の日本酒を楽しみます。夏には、涼しげな色の瓶に入った爽快感のある日本酒が暑さを吹き飛ばしてくれます。秋には酒蔵が夏の間に寝かせて味わい深くなったお酒を発売し始めます。冬は日本酒を造る季節なので、造りたての日本酒を楽しむことができます!

日本酒と食べ物のペアリングを楽しもう!

あなたはどんなふうに日本酒を楽しんでいますか?

日本酒だけを飲むことって少なくて、食事中に飲んだり、おつまみをつまみながら楽しんだり・・などのように食べながら飲むことが多いお酒だと思います。塩をなめながら日本酒を飲むのも最高です。(よい子は真似してもいいけど、やり過ぎないでください笑)

日本酒はもともとお米でできているので、何にでも合います!だからあまり難しく考えずに日本酒をたくさん飲んで楽しんでもらえたらうれしいのですが、選択肢がいくつかあると、どれにすればいいのやら・・・。それこそ、外国人の方に「日本人の君を信じて日本酒はお任せするよ!」なんて言われたら、困っちゃいますよね。そんなときにちょっとだけ役に立つヒントをご紹介します。

同じ味わいでペアリング

今から食べるものは、サラダやお刺身のように軽めですか?それともテリヤキやステーキのように重めですか?

日本酒を選ぶときにいちばん簡単なのが、食べ物の味の濃さに合わせること!さっぱり系の食事を取るときは、さっぱり系の日本酒にして、しっかりとした味の食事を取るときには、味わいのしっかりした日本酒にすることで驚くほどマッチします。詳しくは第2回で説明していますが、「純米」と付く日本酒は比較的お米の味わいがしっかりしており、「純米」が付かないものはさっぱりしていることが多いので、ぜひ記事を読み直してみてくださいね。

例えば、サラダを食べているのに日本酒の味が強いと、せっかくのお野菜の新鮮な味が感じられませんし、テリヤキを食べているのに、軽やかな日本酒を飲むと、日本酒が水にしか思えなくなることも(笑)。

同じ要領で、日本酒が発酵してできているので、塩辛に合うのはもちろん、チーズにだって合うんですよ〜!日本酒の味や香りの特徴や違いについては、第1回第3回でもお話ししましたので、参考にしてくださいね!

同じ温度帯でペアリング

味わいに加えて、食べ物の温度と日本酒の温度を合わせるのもおすすめです。冷ややっこを食べるなら、お豆腐は冷えていますから日本酒も冷やしたり、湯豆腐なら温かいですから熱燗(かん)にしたり。同じ食材でも、食べ物の温度に日本酒を合わせるだけで、あら不思議!口あたりがとてもよくなって、スイスイ飲めて食事もどんどん進みます。

温度については、第7回で書きましたが、記事の後半では一杯だけ熱燗にする方法もご紹介しているので、気軽に試してみてください!

日本酒を食材の一つだと思ってペアリング

サラダにもいろいろな種類がありますが、皆さんはどんなサラダが好きですか?特に今の季節ですと、フルーツが添えられているサラダもおいしいですよね!

しかし、お店で食べるならまだしも、自宅で食べるサラダにわざわざフルーツを入れたりしないもの。そんなとき、フルーティーな香りが特徴の日本酒を飲みながらであれば、野菜を楽しみつつ、フルーツっぽさも感じられます。秋が近づき、マスカットが旬の季節になりますが、フルーティーな日本酒の中にはマスカットのような香りがするものも。

また、さんまを食べるときにすだちを搾ったりするように、お魚にキレのある日本酒を合わせることで、食べ物の味がきれいに消えて、次の一口も新鮮に楽しめるようになります。

このように、飲み物という視点から一歩離れて、口の中で調理するつもりで日本酒を選ぶと、今までとは違った楽しみ方もできますよ!ですから、日本酒を飲むときは日本食じゃなきゃいけない、ということはなく、どんな外国料理だって日本酒と合わせることができるんです。もちろん、日本酒そのものをアレンジするのもOKです。

第6回では、簡単にできる日本酒カクテルやアレンジの方法をまとめていますので、そちらも読んでみてくださいね。

日々の食事で自分に「おもてなし」

食べることは生きること。体の健康に配慮して栄養バランスのよい食事を取ることはもちろん大切ですが、日本酒のような嗜好(しこう)品は、心に栄養を与え、日々の暮らしを豊かにしてくれます。

連載のタイトルにもある「おもてなし」という言葉の語源は、一説によると「表裏がないこと」だそうです。いつか誰かに「おもてなし」をするときに、「あゆみせんせいが言ってたから」としてもらうのもうれしいのですが、日々の食事を通じて、まずは自分を「おもてなし」をしてあげて、毎日を楽しく過ごしてくださいね。

「あゆみせんせいが言ってたことを試したら、確かによかったから、あの人にも!」と、表裏なく、心から誰かを「おもてなし」したいと思ったら・・・それは私の力ではなく、あなただけができる「おもてなし」になることでしょう!

「#日本酒オタクに聞きたい」にお答えします!

質問者

質問者:長谷川さん
はじめまして!もともとお酒は大好きです。日本酒選びのコツみたいなものを教えてください。

あゆみせんせい

お酒が大好きでいらっしゃるとのこと、仲間ですね!(笑)

自分用に日本酒を選ぶとき、どんなときに飲むつもりなのかをイメージすることがヒントにつながります。食事中に、まずはビールを一杯飲んでからであれば、純米吟醸や吟醸など、軽すぎず、ほどよい旨味が感じられるお酒がお食事に合わせやすいですね。もちろん、上にも述べたようにペアリングを考えてみるのも楽しいと思います。

食事の後半や、食後に、のんびり日本酒を楽しみたいのであれば、まろやかな熟成酒を味わうのも、リラックスした夜を過ごせますよ。

一方で、お休みの日に「まだ明るいうちから日本酒を飲むぞ!」なんてときは、純米大吟醸や大吟醸といった華やかで飲みやすいものにしたり、あえて味の強い日本酒をオンザロックで楽しむのも贅沢(ぜいたく)な過ごし方ですね。

日本酒を選ぶのは私も迷うことが多いのですが、気になったらとにかく試して、ひたすら飲んでいます(笑)。長谷川さんも素敵な日本酒に出合えますように!

おわりに

全11回にわたる「日本酒オタクのおもてなし英語」にお付き合いくださりありがとうございました!

ただひたすら、ものすごい量のお酒を世界各地で飲んできただけの私ですが、ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部の皆さまのおかげで、インターネットという広大な海の中で英語好きや日本酒好きな読者の方と交流させていただくことができました。

このご時世、海外に行けず、歯がゆい思いをされている方も多いかもしれません。しかし、オンラインでのつながりがますます加速しているので、外国の方との交流がこれまで以上に身近なものになると私は思っています。そんなときに、日本が誇る日本酒のことを英語で伝えられたら、きっと盛り上がることでしょう!

最後だから・・、おしゃれで聡明な(推しがいるといううわさの)EJO編集長もきっと許してくれると信じて・・・ひとこと言わせてください!みんな、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(平尾アウリ著・徳間書店/全6巻好評発売中)読んでね!

2週間無料でお試しできる!プレミアムメンバーシップ

プレミアムメンバーシップ2週間無料

月額980円(税抜)のプレミアムメンバーシップに会員登録をしていただくと、「PREMIUM」エリアに公開されるすべての有料記事へアクセスができます。 ほかにもアルクの電子書籍の購読、イベント優待など、学習のモチベーションを継続させるためのさまざまコンテンツをご用意していく予定です。 まずはぜひ、2週間無料でお試しください。

藤代あゆみ

藤代あゆみ
平成元年、東京生まれ、共立女子大学文芸学部劇芸術コース卒。日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)公認国際利酒師・日本酒学講師。日本酒などの輸入・販売・販路開拓支援を行うIPPIN PTE LTDと共に、シンガポール全域にて日本酒を1時間で配達する画期的なサービス「SAKE TO GO」を展開。マレーシア・タイ・ベトナム・インド等でも日本酒を広める活動を展開している。好きな漫画は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(著 平尾アウリ・徳間書店) Official Website:https://www.ayumi-and-sake.tokyo/ Twitter:@ayumi_and_sake Instagram:@ayumi_and_sake