連載「日本酒オタクのおもてなし英語」では、国際唎酒師や日本酒学講師の資格を持つあゆみせんせいが、日本酒の知識や日本酒にまつわる英語表現を紹介します。第4回のテーマは「世界から見た日本酒」です。
目次
世界から見た日本酒
「日本酒オタクのあゆみせんせい」こと、日本酒サービス研究会・酒匠研究連合会(SSI)公認の国際唎酒師および日本酒学講師の藤代あゆみです。
これでいよいよ最終回・・・と思ったら、おかげさまで好評につき連載がこれからも続くことになりました!いつも応援してくださる皆さまのおかげです。激アツフェス!というわけで、#日本酒オタクに聞きたいに続々と質問をいただいておりますので、皆さんの疑問にお答えしながら、これからも英語を使って世界中の人たちを日本酒でおもてなししていきましょう!
世界の日本酒ブームの実情
日本酒って本当に世界で人気なの?
日本酒は外国ではCOOLな飲み物と第1回でお話しましたが、「実際どうなの?」と気になりませんか?
私はシンガポールを拠点に東南アジアやインド、オランダやイタリアからも日本酒のことでビジネスの引き合いを受けてきました。しかし、口を揃えていうのは「流行りそうだから!」という言葉。インターネットで検索すれば、「世界で日本酒がブーム!」なんていう記事も見掛けますが、まだまだこれからなんです。
もちろん、世界各地で日本酒の注目度は年々上がり、輸出量も伸びています。しかし、日本酒を造る酒蔵はなんとこの10年間で250蔵近くも減っているんです。本当に世界中で流行っているならば、こんなに減らないはずです・・・。
参考:清酒製造業者数の推移
英語がわかると気付く日本酒ブームの真実
「世界で日本酒がブーム!」実は、この言葉自体が「まだまだこれから」ということを暗に語っているんです。
英語が得意な方ならお気付きかもしれませんが、“boom”(ブーム)はあくまでも一時的に流行っているという意味。本当に定着していたら“trend”(トレンド)という言葉を使います。
私の目標は日本酒がブームで終わらず、トレンドにすること、そしていつかよい意味で「日本酒が流行っている」と言われなくなること。
だって、ビールやワインは普段から飲まれているから、わざわざ「流行っている」なんて言いませんものね。だから、今この記事を読んでいるあなたのお力も必要です!日本酒を飲めば、内気でシャイでもほろ酔い気分が助けてくれます!どんどん英語を使っていきましょう〜!
実践!日本酒をおすすめしよう
日本酒「ブーム」を「トレンド」にするには、どうすればいいのでしょうか?
それは、日本酒好きな皆さん一人一人が、世界中の人におすすめすること!あなたはどんな日本酒がお好きですか?せっかくだから、自分の推している日本酒を世界中で楽しんでもらいたいですよね。
しかし!自分がスキ=相手もスキとは限りません。私もベトナムで地元の方のおうちに遊びに行ったときに、「友達の友達が造ったから美味しいよ」と、ポリタンクに入った謎のお酒を振る舞われましたが、一気飲みしたのに酔いが覚めました(笑)
「この日本酒なら絶対に外国人に喜ばれる!」そんなものは残念ながらありません。「自分のスキ」を押し付けずに、「相手のスキ」に寄り添うと、喜んでもらえる可能性も上がります!
いつでもどこでもおすすめできるように、ぜひ下記のチャートを保存してみてくださいね。

※1 Not reallyはsociallyとかocassionally的に使っています。
※2 お酒全般を飲むときは、わざわざ“alcohol”と付けずに“drink”だけでOK!
※3 “fizzy”(フィズィー)はシュワッとしている泡のこと。“fizzy drinks”で炭酸水からコーラまで、何でも含まれます。
※4 「好き」という英単語は“like”だけじゃありません!“Do you like red wine more than white wine?”でもOKですが、“prefer”は1単語で“like more”という意味を持っています。
せっかくおすすめするのだから「プレミアムな日本酒」を!ということで、特定名称酒といわれるものをメインにしてみました。(特定名称酒については第2回の記事をご参照ください)
純米と本醸造が入ってなくない?!とお気付きのあなた。オタクはそういうところに気付いてもらえると喜びます!これにはちゃーんと理由があります。
純米や本醸造がおすすめできないという意味ではなく、純米や本醸造は比較的お米の味が濃いから。いちばん最初に味の濃いものを飲んでしまうと「日本酒、気に入ったからほかのも試してみたい!」となったときに、次のお酒の味がわかりづらくなってしまうんですね。たくさん日本酒を試してハマってもらうためにも、この作戦でいきましょう!(笑)
シンガポールの日本酒事情
今ではSAKEでほとんど通じる!
私がシンガポールに仕事で行くようになったのは、7年以上も前。
その頃から「日本酒ブームの兆し」については語られていましたが、行ってみてびっくり。Sakeと言っても誰一人わかってくれやしない。日本酒がブームになりそうって誰が言ってるのよ?!と衝撃を受けました。
つい1年前くらいにも“What is Sake?”と聞かれましたが、昔に比べればSakeという言葉が浸透しています。また、アメリカだと、Sakeを「サキ」と発音されるほうが多いですが、シンガポールではちゃんと「サケ」と読んでくれています。(イントネーションは、サーモンのほうのサケに似ています。)
常夏の島、シンガポールでも熱燗を飲む?!
シンガポールは常夏の島。年がら年中35度を超える日があるので、暑いなんてもんじゃありません。ですから、日本酒は、白ワインのように氷の入ったバケツに入れて、キンキンに冷やして飲むことが好まれがちです。
一方で、外が暑いから、室内の冷房が16度設定なんていうレストランもよくあるので、寒過ぎて熱燗を飲みたがる人もいらっしゃるんです(笑)。
#日本酒オタクに聞きたい にお答えします
「シンガポールの日本酒事情」に絡めまして、皆さんからTwitterやInstagramでいただいたご質問にもいくつかお答えしたいと思います。
[Q&Aブロック:質問者 norihideさん「シンガポールの日本酒価格はいくらですか?」/元原稿から復活]
日本で買うよりも、3倍くらい高いです。
日本と同じペースで飲んでいたら破産します(笑)どうしてそんなに高くなっちゃうの?!と驚くかと思いますが、シンガポールは常夏ということを忘れてはいけません。
日本では常温保管でもそれほど問題ない日本酒ですが、シンガポールの常温では通年で35度にまで上がってしまいます。その上、コンテナ船で運ぶと、場合によってはコンテナの中の温度が70度くらいまで上がってしまいます。
ですから、日本から運ぶときに徹底した温度管理が必要なのです。冷蔵庫のスイッチをオンにしたまま運んでいくようなものですから、それはそれはお金がかかります。
そして、日本酒が着いたら今度は酒税と消費税を政府に払わないといけません。一升瓶一本でなんと2000円くらいします!!!払う税金だけで、一本買えちゃいますよね。ですから、シンガポールなら高く売れる!のではなく、コストを考えると、このくらい高くしないと商売が成り立たないのです。
[Q&Aブロック:質問者 @nihonryouri.torikichiさん「プレミアム銘柄の転売について」/元原稿から復活]
オタクの天敵、転売ヤー!シンガポールでも、プレミアムな銘柄が明らかに転売に転売を重ねて販売されており、日本国内での値段が数万円の日本酒が10倍以上の価格で販売されているなんて話はよく耳に入ってきます。
こんなことを言ってしまっては本末転倒ですが、日本酒業界に身を置く人間としては、海外でも転売されるくらい日本酒に地位があること自体には、ちょっとほっとします。外国でも、日本酒に価値を見出してくれているのだと・・・。
転売は、どんなに策を練ってもなかなか無くせないものだと思いますが、日本酒を飲む人が減っていると言われている中で、転売が問題になるということは、日本酒が注目されている証拠です。
特に、お酒の販売は免許が必要ですから、購入する私たちも、違法な転売には手を出さずに日本酒を飲んで、酒蔵さんを応援したいですね!
おわりに
いかがでしたでしょうか?
少しずつでも確実に増えている世界中の日本酒ファン!おもてなしはテクニックを駆使して嫌々やるものではなく、もてなす側も心から楽しんでこそ。英語というツールがあれば、外国人との乾杯もひとしおです。
次回は、「スキ」を仕事にしよう!というテーマで、日本酒が好きだったり、英語が好きな方に向けて、国際利酒師で日本酒学講師の私がどんなことをしているのかをお話したいと思います。
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