熱燗って英語でどう説明する?日本酒の温度の違いを外国人に伝えよう

連載「日本酒オタクのおもてなし英語」では、国際唎酒師や日本酒学講師の資格を持つあゆみせんせいが、日本酒の知識や日本酒にまつわる英語表現を紹介します。第7回は「日本酒の温度の違い」について解説。外国の方に「日本酒を熱燗(かん)で楽しむ魅力」を伝えてみませんか?

日本酒は温度の違いも楽しめる

「日本酒オタクのあゆみせんせい」こと、日本酒サービス研究会・酒匠研究連合会(SSI)公認の国際唎酒師および日本酒学講師の藤代あゆみです。

前回の記事では、日本酒のアレンジ方法や日本酒カクテルについてお話ししましたが、試した方はいかがでしたか?

▼前回の記事はこちら

夏が近いということで、冷やしてキリッと飲めるものをご紹介していましたが、実は日本酒の醍醐味は温度の違いを楽しめること。外国の方にこの話をすると、いつも超いいリアクションが返ってくるので、ぜひ最後まで読んで外国のお友達と楽しくお話ししてみてください!

日本酒は日本文化の美しさ

ホットワインと何が違うの?

「日本酒の醍醐味は温度の違いっていうけど、ホットワインもあるのになんで?」

そんな質問をもらえたら、オタクは頑張って説明しちゃいます!私も、ホットワインを楽しむこともありますが、そのときって必ず何かを入れるんです。お砂糖やはちみつを入れたり、レモンを添えたり、こだわりたいときにはシナモンやクローブ(チョウジノキの花のつぼみを乾燥させた香辛料)を入れるのもいいですよね。

一方で、日本酒を温めて楽しむ場合は、これといって何かを入れることはありません。そう!日本酒は、ただあるがままに温めて飲むというのが世界的に見てもとても珍しいんです!

さっそく英語で説明してみよう!

One of the interesting differences between Japanese Sake and wine is the drinking temperature. Wine can be enjoyed from cold to room temperature. However, Japanese Sake can be chilled or warmed up and still enjoyable without adding anything.

日本酒とワインの違いで面白いところは、飲むときの温度です。ワインは冷やすか常温で楽しみますが、日本酒は冷やすだけでなく、何も加えずに温めて楽しむこともできるんです。

hotってどれだけhotなの?

お酒を温めて飲む習慣がない人が、上記の説明をすると、“How hot?”(熱いって、例えばどのくらい?)と驚かれることも。“hot”って言葉だけだと、水が沸騰(ふっとう)したときのように100度くらいなのか、それとも、触ると熱いけど、ギリギリ飲めるくらいなのか、確かに想像がつきませんよね。

“hot”の熱さはどのくらい?というわけで、下記を参考にしてください。どんなに熱くても、60度くらいです。それ以上熱くしてしまうと、アルコールが飛んでしまうんです。酔っぱらいたいときには気を付けないといけないですね!(笑)

また、温度に注目しがちですが、なんと日本酒は、温度によってさまざまな名前があるんです!

冷たい日本酒(cold)

  • 5℃/41F:雪冷え “Yukibie”
    snow-cold

  • 10℃/50F:花冷え “Hanabie”
    spring-weather-cold (when Sakura flower is blooming)

  • 15℃/59F:涼冷え “Suzubie”
    cool

常温の日本酒(room temperature)

  • 20℃/68F

  • 25℃/77F

温かい日本酒(warm and hot)

  • 30℃/86F:日向燗 “Hinatakan”
    sunshine-warm

  • 35℃/95F:人肌燗 “Hitohadakan”
    skin-warm

  • 40℃/104F:ぬる燗 “Nurukan”
    warm

  • 45℃/113F:上燗 “Jokan”
    slightly hot

  • 50℃/122F:熱燗 “Atsukan”
    hot

  • 55~60℃/131F~140F:飛び切り燗 “Tobikirikan”
    very hot

特に、冷たい日本酒の表現、とてもすてきだと思いませんか?

また、外国の方にも人気の桜が咲く頃の気温が、日本酒の温度に使われています。日本文化や日本語の表現の美しさは日本酒でも感じてもらうことができるのです。

普段の会話では「熱燗(かん)」や「燗(かん)酒」、「お燗(かん)」という表現がわかりやすいですが、こんな表現を知っていたら、あなたも晴れて日本酒オタクの仲間入りです(笑)。

おうちで熱燗を楽しもう!

「毎日こんなに暑いのに、熱燗?!」と驚かれるかもしれませんが、夏は暑いので冷たいものばかり飲んだり食べたりしがちです。熱中症を予防するためにも、なるべくエアコンは付けておいた方がいいものの、外は暑いのに、体の中はどんどん冷えてしまう一方なんです。

キンキンに冷えたビールがとてもおいしい季節ですが、冷たいお酒は暑さに任せて飲み過ぎてしまうことも。最後の一杯を熱燗にするだけでも、酔っていることをすぐに実感できるので、一石二鳥かもしれません。というわけで、徳利(とっくり)を使わず、おうちで簡単に「一杯だけ熱燗を作る方法」はこちらです!

一杯熱燗の作り方/How to make a cup of hot Sake

【必要なもの/What to prepare】

  • お猪口(ちょこ)/Sake cup
  • お椀/soup bowl
  • お湯/hot water
  • サランラップ/cling wrap

【作り方/How to make】

熱燗の作り方1

1. お猪口に日本酒を入れる

Pour Sake into the Sake cup.

熱燗の作り方2

2. お猪口にラップをする

Wrap the Sake cup.

熱燗の作り方3

3. お猪口をお椀に入れてお湯を注ぐ

Place the Sake cup in the soup bowl and pour hot water into the soup bowl.

熱燗の作り方4

4. 2分ほど待ったら一杯熱燗の出来上がり!

Sake will be warmed up in 2 minutes!

熱燗完成
注:必ず耐熱のお猪口(ちょこ)とお椀をお使いください。また、お湯でやけどをしないよう十分ご注意ください。

CAUTION: Please use a heat-resistant Sake cup. Please be careful with hot water.

正直、徳利で熱燗にするときは電子レンジでチンもいいんですけど、またエライ人に怒られちゃいそうだから内緒です(笑)。外国人のお友達やお客さまに熱燗の話をして、「興味があるから一杯だけ飲んでみたい!」と言われたときにも活用できるので、ぜひぜひ試してみてくださいね。

「#日本酒オタクに聞きたい」にお答えします!

質問者:たまめさん
「冷や」が常温か冷蔵庫で冷やしたものなのか、飲む人や店によって解釈が違って困惑しています。スマートな頼み方は?また常温と冷蔵庫で冷やしたものの違い&味わい方など教えてください。

あゆみせんせい
日本酒には長い長い歴史があるのですが、この困惑の原因は、昔は冷蔵庫がなかったから
 
日本酒は、昔から熱燗にしたりして楽しまれていましたが、熱くない飲み方のことを「冷や」と表現していたんですね。ですから、背景を知ると、常温の日本酒も、冷蔵庫で冷やした日本酒も、どちらも「冷や」と言ってもおかしくないですよね。(ただし、一般的には「冷や」は常温のことを指す場合が多いようです)
 
冷蔵庫で冷やしている日本酒を飲みたいときには、「キンキンに冷えた日本酒を」なんて言ったり、逆に管理を徹底しているお店だと常温で提供していなかったりするので、テーブルに届いてから少し待つか、待てないときは両手でグラスを包んで温めてしまうのもありです(笑)。
 
冷えている日本酒は爽やかで飲みやすく、常温になるにつれて香りがより感じられるようになり、味わいもしっかりしてきます。ゆっくり楽しめるときには、あえてキンキンに冷えたものを頼んで、変化を楽しむのも粋ですよ!

おわりに

日本酒の四合瓶(720ml)を一人で飲み切ろうと思うと、だんだん飽きが来てしまいますが、冷蔵庫に入れて冷えた状態から、だんだんと常温に、そして飲み終わる頃に熱燗にすれば、味わいの変化を楽しんでいるうちに気が付いたら一本空いてしまいます!ちょっと飲み過ぎですかね?!(笑)

外国の方と英語でコミュニケーションを取るのに、日本酒はとてもよいネタになるので、英語の勉強を頑張るあなたも日本酒が好きなあなたも、ぜひいろいろな温度での楽しみ方をマスターしてみてくださいね!

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藤代あゆみ
藤代あゆみ

平成元年、東京生まれ。世界に10人しかいない、国際唎酒師・日本酒学講師・酒匠・焼酎唎酒師。海外勤務の経験を生かし、世界20カ国以上の人に向けて日本酒の素晴らしさを広めつつ、平尾アウリ先生の『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(徳間書店)と百合マンガの魅力を伝える筋金入りのオタクとしても活躍中。著書に『推し英語入門』(アルク)、『日本酒オタクのほろ酔い英語』(アルクEJ新書【電子書籍】)がある。

Official Website:https://www.ayumi-and-sake.tokyo/
X:@ayumi_and_sake
Instagram:@ayumi_and_sake

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