
英語学習において、多くの人が最も苦手意識を持つのがリスニングです。「ネイティブの英語が速すぎて聞き取れない」「文字で見れば分かるのに、音声になると全く理解できない」といった悩みを抱えている方は少なくありません。しかし、リスニング力が向上しない理由は明確であり、正しい方法で継続的に学習すれば、誰でも確実にリスニング力を伸ばすことができます。
目次
英語リスニングの「4つの壁」

英語のリスニングが聞き取れないと感じるのには、いくつかの明確な理由があります。漠然と「リスニング力が不足している」と考えるのではなく、具体的な「壁」を認識し、それぞれに対処することが上達への近道です。
速度の壁:ネイティブのスピードについていけない
多くの人が、ネイティブスピーカーの話す英語は速くてついていけないと感じています。ネイティブスピーカーの平均的な話速は秒速3ワード、つまり1秒間に3つの単語が発せられる計算です。例えば、「I love you.」という短いフレーズでも、ネイティブスピーカーにとっては自然な速さであり、このナチュラルなスピードについていけないことが、リスニングにおける最初の大きな障壁となります。リーディングのように読み返すことができないリスニングでは、この速度の壁が特に顕著に現れます。
語彙力の壁:文字では分かるが音声では分からない
「文字で書いてあると分かるのに、音声では全く分からない」という声もよく聞かれます。これは、単語や文法の知識が不足しているというよりも、音声として瞬時に理解できる「音声語彙」が不足していることが原因です。つまり、目で見て認識できる語彙と、耳で聞いて瞬時に理解できる語彙との間にギャップがある状態です。この壁は、速度の壁や音の変化の壁とも密接に関連しており、聞いて瞬時に意味を把握できないことが、リスニングの理解を妨げます。
音の変化の壁:発音ルール(連結・同化・脱落・弱化・暗いL)の理解不足
ネイティブスピーカーの発音は、単語が単独で発音される場合と、文中で他の単語と連続して発音される場合とで大きく変化することがあります。これは、英語特有の「音の変化」のルールによるものです。主な音の変化には、以下の5つが挙げられます。
- 連結 (Linking):前の単語の語末の子音と、それに続く単語の語頭の母音がつながって発音される現象です。例えば、「This is a pen.」が「ディスィズァペン」のように聞こえます。
- 同化 (Assimilation):隣り合う2つの音が互いに影響し合い、別の音に変化する現象です。例えば、「Did you」が「ディヂュー」のように聞こえます。
- 脱落 (Elision):似た音が隣り合った際に、どちらか一方の音が聞こえなくなる現象です。例えば、「Take care.」が「テイケア」のように聞こえることがあります。
- 弱化 (Reduction):冠詞、代名詞、助動詞、前置詞、接続詞などの機能語が弱く発音される現象です。例えば、「Go and pick her up.」が「ゴゥエンピッカーラップ」のように聞こえます。
- 暗いL (Dark L):単語の語末や子音の前に来る「L」の音が、日本語の「ウ」に近い、こもった音になる現象です。例えば、「will」や「milk」の「L」の音です。
これらの音の変化のルールを知識として知っているだけでは不十分で、実際に音声を聞き取り、スクリプトと照らし合わせる学習体験を積み重ねることが、この壁を乗り越える鍵となります。
語順の壁:日本語と英語の語順の違い
日本人にとって、英語リスニングにおける文法上の大きな問題は語順です。リスニングはリーディングと異なり、一度聞いた英文をさかのぼって確認することができません。日本語と英語では修飾語と被修飾語の語順が逆になることが多く、例えば「あなたが薦めてくれた本」は英語では「the book you recommended」となります。この相反する語順が、瞬時の理解を困難にし、リスニングの大きな壁となるのです。
リスニング力を高めるために不可欠な「自動化」

中級レベルの英語学習者がさらに英語を流暢に使いこなすために不可欠なのが「自動化」という概念です。この「自動化」こそが、リスニング力を飛躍的に向上させる鍵なのです。
「自動化」とは?
「自動化」とは、私たちが母語を話すように、意識することなく英語を自然に使えるようになる状態を指します。つまり、英語を聞いた際に、頭の中で日本語に翻訳したり、文法を考えたりするプロセスを挟まずに、瞬時に意味を理解できる状態です。これは、単に知識があるだけでなく、その知識を高速で処理できる能力が備わっていることを意味します。
自動化がリスニングで重要なワケ
リスニングにおいて「自動化」が重要である理由は、英語の処理速度にあります。ネイティブスピーカーの自然な会話スピードについていくためには、一語一句を意識的に聞き取り、意味を組み立てるようなプロセスでは間に合いません。自動化された状態であれば、英語の音を耳にした瞬間に、その意味が直接脳に届くため、ストレスなくスムーズに理解できるようになります。これにより、リスニングの「速度の壁」を効果的に乗り越えることが可能になります。
自動化を鍛えるには?
「自動化」を鍛えるためには、ひたすら「慣れる」ことが重要です。新しい知識を学ぶというよりも、既存の知識を無意識レベルで使えるようにするための反復練習が必要となります。この「自動化」を達成するためには「最低限1000時間の練習」が必要といわれています。さらに、この1000時間は単に量をこなすだけでなく、「密度」も重要であり、「3年以内に1000時間」という集中的な学習が理想的です。
自動化についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
【ジャンル別】効果的なリスニング学習法

リスニング力を効果的に向上させるためには、目的に応じた学習法を実践することが重要です。ここでは、「英語耳を鍛える」ことと「語彙力を強化する」という2つのジャンルに分けて、具体的な学習法を紹介します。
英語耳を鍛える
英語耳を鍛えるとは、英語の音を正確に聞き分け、理解する能力を養うことです。特に、ネイティブスピーカーの自然な発音や、音の変化(連結、同化、脱落など)に対応できるようになることが目標です。
ディクテーション
ディクテーションは、聞こえてきた英語の音声を一語一句正確に書き取る練習です。この学習法は、リスニングの「音の変化の壁」を乗り越えるのに非常に効果的です。ディクテーション後の弱点チェックで、聞き取れなかった部分の音の変化のルールを確認し、「アハ体験」を積み重ねることが重要です。これにより、自分が聞き取れない音のパターンを特定し、意識的に改善することができます。
スケッチング
「英語スケッチング学習法」は、 1000時間ヒアリングマラソン のコーチ、松岡昇先生が取り上げている、赤ちゃんが母語を習得するように、全神経を使って英語の音を捉えるトレーニング法です。これは、単に聞き流すのではなく、聞こえてくる音のイメージを頭の中で「スケッチ」するように集中して聞くことを指します。特に、ネイティブレベルのリスニング力を目指す上で有効な方法とされています。
英語スケッチングについて詳しくはこちら!
語彙力の強化
リスニングにおける「語彙力の壁」を乗り越えるためには、単に単語の意味を知っているだけでなく、音声として瞬時に認識できる「音声語彙」を増やすことが重要です。
語句のチェック
リスニング教材を聞く際、聞き取れなかった単語やフレーズがあったら、すぐにスクリプトで確認し、その語句の意味と発音を正確に把握しましょう。特に、音の変化によって聞き取りにくかった語句は、その変化のパターンを意識しながら何度も聞き直すことが大切です。これにより、文字情報と音声情報を結びつけ、音声語彙として定着させることができます。
語句の暗記
新しい語句を覚える際には、単語帳で文字情報だけを覚えるのではなく、必ず音声と一緒に覚えるようにしましょう。発音記号を確認し、正しい発音で何度も声に出して練習することで、耳で聞いたときに瞬時に意味が理解できるようになります。また、覚えた語句を実際にリスニング練習の中で聞き取れるか確認し、定着度を高めることが重要です。
リスニング学習で避けるべきNG行動

リスニング力を効率的に向上させるためには、効果的な学習法を実践するだけでなく、非効率な、あるいは逆効果になりかねないNG行動を避けることも重要です。多くの学習者が陥りがちな落とし穴を認識し、改善することで、より着実にリスニング力を伸ばすことができます。
ただ聞き流すだけの学習は非効率
「英語を聞き流すだけでリスニング力が上がる」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、これは多くの学習者が陥りやすい誤解であり、非効率な学習の典型です。ただBGMのように英語を流しているだけでは、脳がその音を意味のある情報として処理しようとせず、結果としてリスニング力はほとんど向上しません。特に初心者の場合、内容を理解しようと意識を集中させなければ、聞き流しは単なる時間の浪費になってしまいます。能動的に「聞く」姿勢、つまり、音に意識を向け、意味を理解しようと努めることが不可欠です。
自分のレベルにあった教材を使う
リスニング学習において、教材選びは非常に重要です。自分のレベルに合っていない、あるいは難しすぎる教材を使い続けることは、学習効率を著しく低下させ、モチベーションの低下にもつながります。例えば、スクリプトを見ても内容がほとんど理解できないような教材では、いくら聞き込んでも効果は薄いでしょう。まずはスクリプト付きの教材で内容を完全に理解し、その上で繰り返し聞くことで、音と意味の結びつきを強化することが大切です。完全に理解できない場合は、無理せず、より簡単な教材に戻る勇気も必要です。理解できるレベルの教材で「アハ体験」を積み重ねることが、上達への近道となります。
継続が何より大事
リスニング力は、一朝一夕で身につくものではなく、継続的な学習によって少しずつ積み上げられるものです。週末にまとめて長時間学習するよりも、毎日短時間でも継続して英語に触れる方がはるかに効果的です。「3年以内に1000時間」という目標も、週7時間以上の学習を継続することで達成できるものです。英語の音に触れる機会を日常に組み込み、歯磨きのように習慣化することが、リスニング力向上の鍵となります。学習時間を記録し、進捗を可視化することも、モチベーション維持に役立つでしょう。
まとめ

英語のリスニング力を伸ばすことは、多くの学習者にとって大きな挑戦ですが、不可能ではありません。本記事で解説したように、「速度」「語彙力」「音の変化」「語順」という4つの壁が、聞き取れない原因となっています。まずはこれらの壁を理解し、それぞれに適した対策を取ることが、リスニング力向上への第一歩です。
正しい方法で継続的に取り組めば、リスニング力は必ず伸びていきます。あきらめずに英語の音の世界を広げ、英語を自信を持って使いこなせる日を目指しましょう。
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