catch red-handedやsee red、これはいったいどんな「赤」?【ウルトラ英会話表現】

連載「ウルトラ英会話表現」は今回が一旦最終回。catch red-handedやsee redなど、色の「赤」に関連する英語表現について、カン・アンドリュー・ハシモトさんが詳しく解説します。

catch red-handed

今回はredを使った英語表現を紹介します。まずはこんな言い回しです。

catch red-handed

文字通りなら、「赤い手の人を捕まえる」?捕まる側からの言い回しだと、

(get) caught red-handed

これは、「赤い手で捕まる?」さて、どんな意味だと思いますか?

先日、ニュースでこの表現が使われていました。東京で数人の若い男性が高級時計店を襲った事件を報道するニュースでした。

One of them got caught red-handed for robbery.
彼らの1人は強盗の現行犯で捕まりました。

このcatch red-handedは、「現行犯で捕まえる」という意味です。「手が血で赤く染まった犯人を捕まえる」ということから生まれたイディオムだそうです。

下の動画は「Times People Were Caught Red Handed」(現行犯で捕まった瞬間)というものです。犯罪やいたずらの現行犯の瞬間ばかり集めた、やや下世話な動画ですが、冒頭のナレーションでcaught red-handedが使われています。

These people would absolutely love to deny their involvement. But that’s a little hard to do when you’re caught red-handed.
この人たちは「オレは関係ない」って言いたいだろうね。でも現行犯で捕まってちゃ、ちょっとムリかも。

動画の本編中でも、ナレーターは2度ほどcaught red-handedと口にしています。ぜひ聞き取ってみてください。

see red

次は、see redを取り上げます。「赤を見る」ではありません。どんな意味でしょう。

『THE WIRE/ザ・ワイヤー』という警察と麻薬組織の戦いを描いたドラマで、これを使ったセリフがありました。麻薬を売りさばくエリアを任された新入りのことを、ギャングの1人が仲間に愚痴っているシーンです。

A: He drives me crazy. I hate him.
B: Who cares?
A: He sees red at the drop of a hat.

A: あいつホントにムカつく。オレは嫌いだ。
B: 知るかよ。
A: ちょっとしたことでマジに怒るんだ。

2人の会話がかみ合ってないところが、チンピラっぽくて楽しいですが、see redは「激怒する」という意味です。

ここで一緒に使われている at the drop of a hatも面白い言い方ですね。「帽子が落ちたら」が直訳ですが、「すぐに」「ちょっとしたことで」という意味で使います。

由来は諸説あるようですが、男性が帽子をかぶっていることが当たり前だった時代に帽子を下に落とすことがケンカの始まりの合図だった、というのが有名です。

What she said was enough to make him see red.
彼女の発言を聞いて彼が激怒したのは当然だ。

Whenever he hears her name, he sees red.
彼は彼女の名前を聞くと必ず激怒する。

red tape

次はred tape、赤いテープです。

今年の2月ごろ、友人からのメールにこんな一文がありました。

Cutting through the red tape around KAKUTATE SHINKOKU is REALLY exhausting.

確定申告」がKAKUTATE SHINKOKUとなっているところがかわいらしいです。さて、このred tapeとは「時間ばかりかかる形式的な手続き」を指します。

友人は「確定申告関連の時間がかかる手続きをするのってホント疲れる」と言っていたのです。

18世紀ごろのイギリスでは、役所で扱う文書は赤い布のテープでとじられていたことから、「役所仕事」のことを指すようになったという説や、イギリスの聖職者が大切な書類を赤いひもでとじていたことから、「形式的な手続き」のことを言うようになったという説があります。

次のような言い方で使います。

cut through the red tape
go through the red tape

「面倒な手続きを行う、煩雑な手続きを取る」という意味です。

ピーターパンや白雪姫、人魚姫のアリエル、ムーラン、オーロラ姫など、おとぎ話のキャラクターたちがわんさか登場する、なんとも楽しいドラマシリーズ『 ワンス・アポン・ア・タイム』(原題:Once Upon A Time)で、このフレーズを見つけました。

悪の女王レジーナが養子縁組を求めて、街一番の金持ちミスター・ゴールドに相談をするシーンです。

I spent all morning talking to the adoption agency. The waitlists are over two years long. But you know, Gold, you know how to cut through the red tape.

午前中ずっと養子縁組事務局に問い合わせてたのよ。2年待ちだって。でもさ、ゴールド、あんたならその面倒な手続きをすっ飛ばす方法を知ってるわよね。

『ザ・ソプラノズ』というギャングもののドラマでも、このセリフが使われていました。

Do we really have to deal with so much red tape just to get his permission? Bring the gun instead.

ヤツの了解をとるために、そんなにいろいろやる必要があるのかよ。拳銃一丁でカタがつくだろ。

他にもえばこんなふうに使います。

It takes a lot of time because of the red tape.
お役所仕事のせいでとても時間がかかる。

There must be so much red tape.
くだらない作業が山のようにある。

この意味でのred tapeは不可算名詞なので、red tapesとはなりません

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。今回で一旦最終回となりますが、またどこかでお会いできることを楽しみにしています。

お知らせ

日本実業出版社からぼくの14冊目の著作が発売になりました!『英語はリズムで伝わる!英語が身につくチャンツトレーニング』です。チャンツ音楽はすべて僕自身が書きました。手に取っていただけたら幸せです。

カン・アンドリュー・ハシモト
カン・アンドリュー・ハシモト

アメリカ合衆国ウィスコンシン州出身。教育・教養に関する音声・映像コンテンツ制作を手掛ける株式会社ジェイルハウス・ミュージック代表取締役。英語・日本語のバイリンガル。公益財団法人日本英語検定協会、文部科学省、法務省などの教育用映像(日本語版・英語版)の制作を多数担当する。また、作詞・作曲家として、NHK「みんなのうた」「おかあさんといっしょ」やCMに楽曲を提供している。14作目となる著作『英語はリズムで伝わる! -ネイティブに聞き返されない英語が身につくチャンツトレーニング-<音声DL付>』(日本実業出版社)が6月30日に発売。

トップ写真:山本高裕(ENGLISH JOURNAL編集部)
本文写真:engin akyurt, Mason Kimbarovsky from Unsplash, REDioACTIVE from Pixabay

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