あなたの英語、きちんと相手に伝わっていますか?「言いたいことの半分も伝えられない」とか、「気まずいことは言わないでおく」なんてことはありませんか?言いにくいことも知的に伝える、ワンランク上の英会話術を、本特集の執筆者である狩野みきさんが、レッスン形式で指南します。
目次
「ワンランク上の英語」とは?
言葉やメッセージは一方的に相手に「伝える」だけではなく、きちんと「伝わる」ことが重要です。「伝わる」というのは相手があなたの言いたいことを十分に理解し、時には共感し、説得もされる、という状況を示します。外国人とのコミュニケーションでうまくいかないと感じるときは、伝えたつもりなのにきちんと伝わっていない、というケースがほとんどです。ワンランク上の英語を目指すための「きちんと伝える」ポイントは4つです。
- あいまいな言い方は避け、言いたいことを簡潔に述べる。
- ゆっくりと、相手に理解されやすい発音、アクセントで話す。
- アイコンタクトや豊かな表情で、伝えたいという気持ちを表現する。
- 相手の文化やその場の雰囲気に配慮し、言葉使いや口調にも配慮する。
依頼ははっきりと。相手に迷わせない
今回は、上司が部下に、急ぎの書類を翌日までに修正するよう、「はっきりと依頼する」場面での、会話例を紹介します。きちんと伝わる4つのポイントが生かされていることを確認しながら、読んでみましょう。
(Claire:上司 Mike:部下)
Claire: Mike, ①can I interrupt you for a minute?
Mike: Sure.
Claire: I went through the report you gave me yesterday.
②Do you think you could revise it and give me the final version by Friday?
Mike: Um, Friday is a little difficult. Would next Monday be too late?
Claire: Yeah. ③Originally, ABC said they wanted it by Thursday. I told them we need more time, and they said they can wait till Friday afternoon. ④but no later than that.
Mike: OK ...
Claire: ⑤If they like the report, there’ll be more chance of them funding us.
Mike: OK. I’ll get it done by Friday, then.
クレア:マイク、ちょっと話してもいいかしら?
マイク:もちろんです。
クレア:昨日、あなたが提出してくれた報告書を読んだわ。金曜日までに修正して、最終版を私にもらえないかしら?
マイク:ええと、金曜日というのはちょっと難しいかもしれません。来週の月曜日では遅過ぎますか?
クレア:そうなの。当初は、ABC社は木曜日までに欲しいって言っていたのよ。先方に、もっと時間が必要だと伝えたら、金曜日の午後までなら待てるけど、それ以降は無理、と言ってきたの。
マイク:そうですか・・・。
クレア:もし先方がこの報告書を気に入れば、わが社に資金提供してもらうチャンスがもっと広がるかもしれないわ。
マイク:わかりました。そういうことなら、金曜日までに終わらせます。
語注
interrupt(仕事などを)さえぎる、邪魔する
go through ~ ~を細かく調べる
revise 修正する、改定する
originally 最初は
fund(~に)資金提供する
表現のポイント:相手を気遣って依頼する
① Can I interrupt you for a minute?
「ちょっとお邪魔してもいいですか?」「少し話ができる?」と、これは取り込み中の人に話し掛けるときの前置きフレーズです。相手に対する気遣いを表します。
② Do you think you could revise it and give me the final version by Friday?
Revise it and give me the final version by Friday.という「命令形」を、Do you think you could ...?(・・・というのは可能かしら?)と提案のような形で言い換えた表現です。「~しなさい」「~するべきです」とストレートに命令するよりも角が立ちませんし、相手への思いやりを感じさせます。
③ Originally, ABC said they wanted it by Thursday. I told them we need more time, and they said they can wait till Friday afternoon,
「元の条件はもっと悪かったけれど、交渉して現状のようになった」、と背景を説明することで、主張に説得力を持たせます。
④ but no later than that.
by Friday(金曜日までに)と提示した期限を、再び、no later than ~(~より遅れることなく)という別の表現で強調することによって、「どうしてもこの日まで」ということを相手に理解させます。
⑤ If they like the report, there’ll be more chance of them funding us.
相手の努力によって期待できることをポジティブに伝えて、相手のやる気を盛り立てます。
話し方のポイント:口調は明るくポジティブに
下から2行目のfunding usの箇所は、明るい口調で言うと、「出資の可能性が広がる」というイメージの「ポジティブさ」が相手に伝わりやすくなります。
はっきりと依頼する、その他の表現
Could I ask you to ...?
ちょっと・・・をお願いしてもいいですか?
「お願いしてもいいですか?」と、相手の都合を聞いているニュアンスになり、命令と違って角が立ちません。Could I ask you to meet me downstairs in five minutes?(5分後に、ちょっと下の階でお話しできますか?)のように使います。
Do you mind ...?
・・・してもらってもいいですか?
言外のニュアンスは「・・・してください」です。Do you mind waiting in the other room while I make a quick phone call?(私がちょっと電話をする間、別の部屋で待っていてもらってもいいですか?)のように使います。
It’d be great if you could ...
もし・・・してくださったらうれしいのですが
仮定法を使うことで語調が和らぎます。It’d be great if you cold contact me as soon as he arrives.(彼が到着したら、すぐに私に知らせてもらえるとうれしいのですが)のように使います。
次回は、やんわりと否定するフレーズをご紹介します。どうぞ、お楽しみに。
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