『TOEIC(R) L&Rテスト Part 2 リスニング解体新書』の発売にあたり、著者の勝山庸子さんにPart 2対策について語っていただく新連載がスタートしました。第1回の今回は、勝山さんご自身のことについて、またPart 2や今回の著書について語っていただきます。
TOEIC L&RテストのPart 2が苦手な方に朗報
――『TOEIC(R) L&Rテスト Part 2 リスニング解体新書』のご出版、おめでとうございます。
勝山庸子さん(以下「勝山」): ありがとうございます!Part 2の学習に悩んでいる方々のお役に立てるとうれしいです。
――本書はどのような本ですか。
勝山: TOEIC L&RテストのPart 2で受験者が正答できない理由を8つの「設問タイプ」と10の「誤答パターン」に分類し、それぞれの対策法を知っていただける本となっています。本番と同じ形式の問題を200問(診断テスト+確認テスト、全問音声・スクリプト・解説付き)、それに加えて弱点対策のドリルを豊富にご用意しています。診断テストを解くことで、自分の弱点を可視化できるようになっているのも大きな特長です。
――本書は勝山さん初の単独でのご著書ということなので、まず勝山さんご自身のことを教えてください。これまでの勝山さんと英語との関わりについて教えていただけますか。
勝山: 3歳から5歳までは父の仕事の関係で米国の南部に住んでおり、子どもなりにではありますが英語を話せるようになりました。でも、日本に帰ってからは英語に触れる機会がまったくなくなり、残念ながらすっかり忘れてしまいました。自分の意思で英語の学習を始めたのは中学校で英語の授業が始まってからです。学生時代を通して、記憶することが多く面倒くさい教科だなと思い、英語はあまり好きではなかったんです(笑)。でも、そのおかげで「なんとか効率よく学習する方法がないか」と工夫する癖がついたので、講師としては結果的に良かったのではないかと思っています。
それでも英語に触れ続けてきたのは、英米の文化、特に音楽や映画が大好きだったからです。洋楽の中ではハードロックが特に好きで、今でもカラオケに行くとついGuns N’ Rosesなどの90年代ロックを歌ってしまいます。そんなわけで、米国のポピュラー文化好きが英語学習の動機づけになったのは間違いないと思います。それが高じて、カリフォルニア大学の大学院で学ぶために留学もしました。留学は英語学習が主目的ではなかったのですが、日本語で話す機会がほとんどなく、毎週最低数冊は英語の本を読まなければならない7年間でしたから自然と英語力もアップしましたね。
――そんな勝山さんが、どのような経緯でTOEICテストと関わるようになったのでしょうか。
勝山: 15年ほど前から英会話学校や大学で英語講師を務めています。最初は英会話に加えて英文法中心のクラス、TOEFLテストと留学準備のための講座、英検対策などを担当していましたが、需要が増えたこともあり、徐々にTOEICテストの対策講座やセミナーの比重が増えてきました。これらの講座やセミナーを通して学習者の方たちから聞いた感想や悩みも、今回の書籍の執筆のきっかけになりました。ヒロ前田先生が主催されているTOEIC(R) テストスコアアップ指導者養成講座(=TTT)にも参加し、そこで知り合った講師の仲間たちとは今でもお互いに切磋琢磨しています。講師として仕事をするかたわら、多くのTOEIC関連書籍・アプリで問題作成や解説執筆に関わってきました。
――勝山さんにとって、TOEICテストの魅力はどんなところにありますか。
勝山: ここ15年は、多い年は年に8回、少ない年でも年に3回はTOEIC L&Rテストを受験しています。最初は純粋に自分の英語力チェックのために受験していましたが、今は指導や執筆に生かせるように、という気持ちもあって受験しています。TOEICのリスニング問題は実生活の中で出てきそうな会話が多いですよね。語彙も内容も、社会人の日常会話を録音したのかと思うほどです。そのリアルさが私にとっては最大の魅力です。
――「資格試験とリアルな英語は違う」という意見の人もいますが、TOEICはそうではないということですね。
勝山: はい、そうですね。TOEICに出てくる語彙や表現は、社会人の日常会話で使われるものばかりです。本当に無駄がありません。TOEICのスコアを伸ばすことは、実際のビジネスシーンでの英語力にも直結すると思います。
TOEIC L&R Part 2に苦戦する理由
――TOEIC L&Rテストにおいて、Part 2というのはどのような位置づけですか。
勝山: 講師という職業柄、学習者の方にTOEICテストの感想や悩みを伺う機会があるのですが、「Part 2は苦手」「全然聞き取れない」という声が多いのです。
Part 2の短文応答問題は、Part 3や4に比べて設問文も選択肢も短く、選択肢も3つしかありません。リスニングの中では簡単そうに思えるのですが、実際にはそうとは言い切れないところがあります。公開試験でのPart 2全体の平均正解率は70%前後のことが多く、これはPart 3や4と比べるとやや高めの数字です。でも、三択であることを考えれば、それほど高い数字だとは言えませんよね。そう考えると、簡単なはずなのに意外と正解率を上げにくいというのは、多くの方の感想通りではないかと思います。
それから、データがないので私の肌感覚でお話しするしかないのですが、高いスコアを持っている方でもPart 2で全問正解することは意外と難しいようです。スコアが900点を超えている方の中にも「Part 2は苦手」とおっしゃる方がいます。また今後この連載で詳しく書きたいと思いますが、特に「文脈から推測する問題」(受験後に送付されるスコアシートではL5に分類されている問題)は難易度が高いと言われており、間違いやすいのではないでしょうか。
さらに言えば、Part 3、4は設問と選択肢があらかじめ問題冊子に印刷されているため、問題の先読みなどのテクニックが使えます。一方でPart 2は、写真や設問文といった視覚に訴えるものが何もなく、リスニング力のみが問われるので、そのような即効性のあるテクニックは見つけにくいのかもしれません。
そのようなわけで、Part 2は「難しいパート」と感じている方が多いことには納得がいく点もあります。今回の本を書くきっかけになったのもこのようなお悩みを聞いたからです。ただ、お気持ちはわかるのですが、筋金入りのTOEICオタク、特に最近ではPart 2オタクである私としては、少し悲しい気持ちになりますね。
――今回の著書を通じて、Part 2を苦手とする受験者のみなさんに伝えたいことは何ですか。
勝山: Part 2は対策を立てづらいと言われていますが、そんなことはありません。自分がなぜPart 2が苦手なのかを知っていれば、対策は立てられます。本書の特長は、多くの方が苦手とするポイントを「見える化」したところにあります。
本連載では、書籍でご紹介している短期でのスコアアップに直結する対策に加えて、おすすめの学習方法などもお伝えしていきたいと思っています。ご期待ください。
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