TOEIC試験対策の専門家である田邉竜彦さんが、やさしく英文法を解説する本連載。第11回は接続詞ifを使ったif I am/if I was/if I wereの違いや使い分けについてです。直接法、仮定法について知ると、英語で表現できる幅がぐっと広がります。
目次
if I amとif I wasとif I wereの違い
こんにちは。トイグルの田邉です。
英語を学んでいると、if(もし・・・ならば)という接続詞をよく見かけます。if I am not feeling well tomorrow(もし明日調子が悪かったら)のように単なる条件を表すこともあれば、if I were you(もし私があなたなら)のように現在の事実に反する仮定を表すこともあります。
この2つについて、使い分けが分からず、困っている方も多いでしょう。そこでこの記事では、英語のifの使い方について、分かりやすく解説していきます。
内容を理解しやすいよう、I am / I was(were)のように、1人称を主語にする形で説明します。if I was / if I wereの違いについても述べるので、実際に使える英語力を高めるための参考になるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
if I am(単なる条件)の使い方
初めに、条件を表すif I amについて考えていきましょう。次の例文をご覧ください。
If I am free tomorrow, I will help you move.
(もし明日暇なら、引っ越しの手伝いをしますよ)
この例文では、話し手がもし翌日暇であれば、引っ越しの手伝いをすると述べています。話し手が暇かどうかは、単なる条件に他なりません。暇であれば手伝う、暇でなければ手伝わない、といったことになるでしょう。
こうした場合はif節内で、直接法を使います。従って、I am・・・のように、現在形になっているんですね。
なお、if節内の表す話は未来のことですが、英語では時や条件を表す副詞節では、未来のことでも現在形で表すといったルールがあります。そのため、ここでは未来であっても、現在形が使われているのです。
if I was / if I were(現在の事実に反する仮定)の使い方
続いて、現在の事実に反する仮定を表すif I was / if I wereについて説明していきます。次の例文をご覧ください。
If I were taller, I could reach the top shelf.
(もしもっと身長が高ければ、上の棚に手が届くのになあ)
話し手は、身長が今より高ければ上の棚に手が届くと述べています。文脈から推測するに、話し手の実際の身長は、棚に手が届くほど高くはありません。
この例文におけるifは、現在の事実(=話し手の身長が高くない)に反する、仮定の状況(=仮に身長が高ければ)を表します。
こうした仮定の状況には、仮定法を使います。仮定法にもさまざまな種類がありますが、典型的には、例文に表れているように、動詞の時制を1つ前に戻します。そのため、If I were・・・と、過去形が使われているんですね。
if I wasとif I wereの違い
最後に、if I wasと if I wereの違いについても触れておきましょう。
I(私が)は1人称単数の人所代名詞につき、wereを使うのは一見おかしく見えます。ただ、これは英語の歴史的な経緯によるもので、今でもwereを用いるのが「正式」な表現として、認められています。
意味の面から言えば、if I was・・・と if I were・・・で違いはありません。次の2つの例文を比較してみましょう。
If I was you, I would take a day off and relax.
If I were you, I would take a day off and relax.
(もし私があなたなら、一日休んでリラックスする)
上はif I was・・・、下はif I were・・・の例ですが、いずれも同じ意味で解釈できることが分かると思います。
なお、私が言語データベースで調べたところ、if I was・・・より、if I were・・・の方が、頻度の面で多く使われているようでした。この2つの選択で迷ったら、ひとまずif I wereを選んでおけば、間違えることはないでしょう。
まとめ
この記事では、if I amとif I wasとif I wereの違いについて説明してきました。内容をまとめると、次のようになります。
- 単なる条件を表す場合、if I am・・・のように直接法を使う
- 現在の事実に反する仮定を表す場合、if I were・・・のように仮定法を使う
- if I were の方が正式な表現だが、if I wasを使うこともできる
英会話はもちろん、英作文の際もぜひ意識してみてください。
この記事の詳細は『英語の仮定法とは?種類と使い方をわかりやすく説明!』でもご覧いただけます。
「3分で分かる英文法」記事一覧
第1回:canとbe able toの違い
第2回:willとbe going toの違い
第3回:mustとhave toの違い
第4回:May I ~? Can I ~? Shall I ~?の違い
第5回:shouldとhad betterの違い
第6回:Will you ~?とCan you ~?の違い
第7回:mayとmight、canとcouldの違い
第8回:wouldとused toの違い
第9回:might have、should have、would haveの違い
第10回:不定詞(to do)と動名詞(doing)の違い
第11回:if I amとif I wasとif I wereの違い
第12回:not to doとto not doの違い
英語力が伸び悩んでいる人にはこちらもおすすめ
英語力が上達しない5つの原因と解決法、早口な英語が聞き取れるようになる3つのポイント、スペリングを簡単に覚えられる3つの方法などを、田邉竜彦さんが解説します。
【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。
語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発
- スマホ相手に恥ずかしさゼロの英会話
- 制限時間は6秒!瞬間発話力が鍛えられる!
- 英会話教室の【20倍】の発話量で学べる!
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。