TOEIC試験対策の専門家である田邉竜彦さんが、やさしく英文法を解説する本連載。第9回はmight have、should have、would haveの違いについてです。複雑で苦手な人も多いと思いますが、使いこなせると表現できる英文がぐっと増えます。
目次
should have、might have、would haveの違い
こんにちは。トイグルの田邉です。
英語の助動詞might、should、wouldは、“have + 過去分詞”を後ろに置く形式で使われることがあります。mightは「~かもしれない」、shouldは「~すべきである」、そしてwouldは「~だろう」といった意味があります。
これらに“have+過去分詞”が加わることで、さまざまな意味合いに変化し、より彩り豊かな英文を作ることができます。ただ、形式が複雑になるため、使い方がいまいち分からない、という方も多くいらっしゃるでしょう。
そこでこの記事では、これらの表現の違いについて分かりやすく解説していきます。一歩上の英語力を身に付けるヒントになるでしょう。ぜひ、最後までご覧ください!
(動詞の過去分詞はpast participleと呼ばれます。本記事では、頭文字を取ってp.p.と記載していきます)
might have p.p.とshould have p.p.の違い
はじめに、might have p.p.とshould have p.p.の違いを見ていきましょう。
might have p.p.には、「~したかもしれない」の意味で、過去の可能性を表す用法があります。
次の例文をご覧ください。
I might have left my keys at the office.
(会社に鍵を忘れてきたかもしれません)
話し手は、会社に鍵を忘れてきたかもしれないと述べています。会社に鍵を忘れたのは、過去の出来事です。
ただ、もしかしたら、話し手が鍵を置き忘れたのは、会社ではなく別の場所かもしれません。確信が持てないため、助動詞might(~かもしれない)を使うことで、その度合いを弱めているということですね。
続いて、should have p.p.には「~すべきであった(のに)」の意味があります。
次の例文をご覧ください。
I should have studied more for the test.
(テストのためにもっと勉強しておけばよかった)
話し手は、テストに向けてもっと勉強しておけばよかったと、後悔にも似た感情を表明しています。例文から見て取れるように、should have p.p.には「実際にはそうでなかった」のニュアンスが含まれます。話し手は、実際はあまり勉強していなかったのです。
should have p.p.とwould have p.p.の違い
続いて、should have p.p.とwould have p.p.の違いを考えていきましょう。ここでは、仮定法の帰結節(=結果を表す部分)に現れる場合を見ていきます。
まずは、should have p.p.の例文をご覧ください。
If I had studied more, I should have done better on the test.
(もっと勉強していれば、テストはもっとうまくいっただろうに)
前半部分では、話し手は「もっと勉強していれば」と、過去の出来事に対する仮定の状況を表しています。そして、後半部分で「テストはもっとうまくいっただろうに」と述べています。
要するに、話し手は勉強しなかったので、テストがうまくいかなかったわけですね。
上記の英文において、shouldはwouldに置き換えて使うこともできます。意味は変わらず、「~だろうに」のようになります。つまり、この用法におけるshouldには、「~すべき」のような意味はあまり強くないことが分かります。
続いて、would have p.p.の例文をご覧ください。
If I had known about the traffic, I would have left earlier.
(渋滞を知っていれば、もっと早く出発したと思います)
こちらも仮定法を使った英文です。
「渋滞を知っていれば、もっと早く出発した」ということは、「話し手は渋滞を知らなかったため、早く出発しなかった」と推察できます。
すなわち、would have p.p.はしばしば、意図が実現しなかったという意味が込められます。
なお、これまで見てきたように、should have p.p.とwould have p.p.は、概ね近いニュアンスになります。ただ、使用頻度としてはwould have p.p.の方が、should have p.p.に比べて、多く使われます。
よって、迷ったらwould have p.p.を使えば、大きく間違えることはないでしょう。
まとめ
この記事では、might have p.p.とshould have p.p.の違い、およびshould have p.p.とwould have p.p.の違いについて説明しました。簡単にまとめると下のとおりです。
might have p.p. 「~したかもしれない」の意味で、過去の可能性を表す。
should have p.p. 「~すべきであった(のに実際にはそうでなかった)」のニュアンスを表す。
would have p.p. 「(~だったら)~したであろう」と、しばしば意図が実現しなかったことを表す。
それぞれ特有の用法がありますが、正しく使い分けることで英文を正確に読んだり、話したりすることができるはずです。
次回の記事もお楽しみに!
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