不定詞(to do)と動名詞(doing)の違い。ポイントを絞ってやさしく解説【3分で分かる英文法】

TOEIC試験対策の専門家である田邉竜彦さんが、やさしく英文法を解説する本連載。第10回は不定詞(to do)と動名詞(doing)の違いや使い分けについてです。些細な違いに思えそうですが、使い方を間違えると英語ネイティブには正しい意味が伝わらないこともあるといいます。

不定詞(to do)と動名詞(doing)の違い

こんにちは。トイグルの田邉です。

英語を学んでいると、不定詞と動名詞の違いに悩むことがあります。これらは、いずれも「~すること」のように訳せるので、一見すると違いがありません。どのような区別をするのか、分からないという方も多いでしょう。

実は、不定詞と動名詞は、動詞の目的語になるとき、用法の違いが顕著になります。ある動詞は、目的語として不定詞を取り、動名詞の使用を認めません。別の動詞は、目的語として動名詞を取り、不定詞の使用を認めません。動詞によっては、不定詞と動名詞のいずれも目的語に取れる一方、それぞれの意味が異なるものもあります。

これらの違いは私たちにとっては些細な問題に見えますが、ネイティブスピーカーからすると、話し手が何を言いたいのか理解できない原因になります。

そこでこの記事では、不定詞と動名詞について、動詞の目的語として使われる場合の用法を、分かりやすく説明していきます。本記事を読めば、英語をより正確に書いたり話したりできるでしょう。

ぜひ最後までご覧ください!

不定詞を目的語にとる動詞

まず、目的語に不定詞を取る動詞を見ていきましょう。次の例をご覧ください。

She agreed to do the project with me.
(彼女は私と一緒にプロジェクトをすることを承諾してくれました)

この文では、agree(~を承諾する)に、不定詞が続いています。

動詞の目的語としての不定詞は通例、その動作が「未来」に起こることを示唆します。この例文であれば、「プロジェクトを行う」のは、承諾した時点よりも未来に起こる出来事です。

また、承諾という行為は通例、これからしたいことに対して行います。よって、不定詞の相性が良いわけですね。

動名詞を目的語にとる動詞

続いて、目的語に動名詞を取る動詞を見ていきましょう。次の例をご覧ください。

She enjoys cooking dinner for her family.
(彼女の趣味は家族のために夕食を作ることです)

動詞の目的語としての動名詞は通例、「過去または現在」に起こることを示唆します。「事実」と言ってもよいでしょう。

この例文では、趣味として楽しんでいるのは「夕食を作ること(事実)」であり、「これから夕食を作ること(未来)」ではありません。そのため、enjoyは目的語として動名詞との相性が良いのです。

不定詞と動名詞のいずれも目的語にとる動詞

動詞によっては、不定詞と動名詞のいずれも目的語に取れるものの、意味が変わる動詞もあります。例として、動詞stopを考えてみましょう。

stop to do:~するために立ち止まる
stop doing:~するのをやめる

はじめに、stopに不定詞が続く場合の例を見てみます。

I was walking to work, but I stopped to take a picture of the beautiful sunset.
(私は仕事に向かって歩いていたが、美しい夕日を撮影するために立ち止まった)

撮影するという動作はその時点において、これから行うことです。そのため、未来に言及する不定詞が適しています。撮影自体はまだ行われていないことなので、takingのように動名詞を使うと意味が合わなくなってしまいますね。

続いて、stopに動名詞が続く場合の例を見てみます。

He realized that he needed to lose weight, so he stopped eating junk food.
(彼は体重を減らす必要があることに気付き、ジャンクフードを食べるのをやめた)

文意により、彼が体重を減らす必要性に気が付いた時点で、ジャンクフードを食べる習慣があったものと思います。ジャンクフードを食べることは、当時の時点で起きていた行為なので、動名詞が適しています

もし、stop to eat junk foodのように言うと、「体重を減らす必要性に気が付いたので、ジャンクフードを食べるために立ち止まった」ということになってしまいます。これでは意味が通りませんね。

動詞によって多少のニュアンスの差はあるものの、概ね不定詞は「未来」、動名詞は「事実」と捉えて差し支えないでしょう。

まとめ

この記事では、不定詞と動名詞の違いについて説明してきました。内容をまとめると、次のようになります。

  • 不定詞は通例、「未来」志向的な意味を表す
  • 動名詞は通例、「事実」志向的な意味を表す
  • 不定詞と動名詞のいずれも目的語として取れる動詞もある

会話はもちろん、英作文の際も気を付けて使ってみてくださいね。

この記事の詳細は「イラストで解説!動名詞とto不定詞の違いを覚える2つのポイント」でもご覧いただけます。

「3分で分かる英文法」目次

第1回:canとbe able toの違い
第2回:willとbe going toの違い
第3回:mustとhave toの違い
第4回:May I ~? Can I ~? Shall I ~?の違い
第5回:shouldとhad betterの違い
第6回:Will you ~?とCan you ~?の違い
第7回:mayとmight、canとcouldの違い
第8回:wouldとused toの違い
第9回:might have、should have、would haveの違い
第10回:不定詞(to do)と動名詞(doing)の違い
第11回:if I amとif I wasとif I wereの違い
第12回:not to doとto not doの違い

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田邉竜彦(たなべ・たつひこ)
田邉竜彦(たなべ・たつひこ)

英語教師。月間40万人に読まれる英語学習メディア『トイグル』を運営。TOEICR対策特化型スクール『トイグル』代表。マンツーマン講座とセミナーで社会人を中心に200名以上の英語学習をサポート。英ストラスクライド大学大学院経営学修士(MBA)、英ウォリック大学大学院英語教授法修士。

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