アルクのカナダ人スタッフMargaret Stalkerが、気になるトピックについて英語でつづります。今回は、コミュニケーションツールとして、まだ家の固定電話だけしかなかった頃のカナダの電話事情について語ります。
目次
英語エッセイ Thoughts on Phones(電話について思うこと)
連載「アルク・ネイティブスタッフのSmall Talk」では、アルクのカナダ人スタッフMargaret Stalkerが、日々のあれこれを英語エッセイで語ります。
さて、4月は、入学式や入社式と新しい出会いの季節。今は、LINEで連絡先を交換して、いつでもどこでも気軽に連絡を取り合うことができます。が、まだ家の固定電話しかなかった時代、電車が遅れて待ち合わせ時間に間に合わなくなっても連絡する手段がなく、お互い合えずじまいで一日終わってしまうなんてこともありました。今では考えられないですが・・・。
ここからは、マーガレットの英語とその和訳で、「電話」に関するちょっとした話をお楽しみください!
Phones No Longer
Should phones now even be called phones? These days, we use those magical little devices to check our messages, snap photos, update our social media and browse the internet. It seems that actually talking on them is now a rare thing!
It wasn’t always like that.
During my teenage years, I spent long hours stretched out on the bed chatting to friends. Sometimes it seemed a little silly because my pals often lived only a block away, but there was something about chatting on the phone that provided a deeper connection. Perhaps we just felt more comfortable or were less distracted. (By the way, Canadian householders paid a flat rate every month, so if you talked all day to local friends or never made any calls at all, the charge was the same. I remember wondering why there was a coin jar by the phone at a friend’s home in Australia. Stupidly, it never occurred to me that people had to pay for local calls elsewhere!)
もう電話とはいえない
電話は今、電話と呼ぶべきものなのでしょうか。最近、私たちはあの魔法のような小さなデバイスを使って、メッセージをチェックし、写真を撮り、ソーシャルメディアを更新し、インターネットを閲覧しています。実際に通話をすることは、今やまれなことになったようです!
昔はそうではありませんでした。
私が10代の頃は、ベッドに大の字になって、長時間、友人たちとおしゃべりしていました。友人の多くは1ブロックしか離れていないところに住んでいるのに、ちょっとバカバカしいと思うこともありましたが、電話でおしゃべりすることが、つながりをより深めてくれる気がしていました。恐らく、その方が居心地がよくて、より落ち着けたのかもしれません。(ちなみに、カナダの世帯は毎月定額料金を支払っていたので、地元の友人と一日中話しても、全く電話をかけなくても、料金は同じでした。オーストラリアの友人の家では、なぜ電話のそばにコイン入れがあるのか不思議に思ったことを覚えています。無知な私には、他の国の人が市内通話料を払わなければならないとは思いもよらなかったのです!)
Party Lines
When I was growing up, nearly every house in the city had a private line, but it was a different story in some rural areas. It’s now hard to believe, but those places had party lines. And, no, that doesn’t mean they were having parties over the phone! Having a party line meant sharing your telephone line with people in other homes. When the phone rang, you would have to listen carefully to see if it was your own home’s ring pattern before you answered. For example, one household might have a short ring followed by a long ring while another might have a specific number of equal-length rings.
There was no privacy. Anyone from any of the households serviced by the line could pick up the phone and listen in! Oh, and no one else could use the phone while someone else was gabbing on it. Even worse, if a person in one household left the phone off the hook or incorrectly positioned it back in its cradle, no one else could make any calls – even in an emergency!
パーティーライン
私が子供の頃、都会ではほぼ全ての家に個別の電話回線が引かれていましたが、田舎はというと、また別の話でした。今では信じられないことですが、そのような場所にはパーティーラインがあったのです。と言っても、電話でパーティーをしていた、というわけではありません!パーティーラインとは、他の家の人たちと電話回線を共有することなのです。電話が鳴ったら、それが自分の家のベル音の鳴り方かどうかをよく聞いてから出なければいけません。例えば、ある家では短く鳴った後に長く鳴り、別の家では同じ長さで決まった回数鳴る、といった具合です。
プライバシーはありませんでした。その回線に接続されている世帯の誰もが、電話を取って聞くことができたのです!しかも、他の人が話している間は、誰もその電話を使うことができません。さらに悪いことに、ある家の人が受話器を外しっ放しにしたり、受話器受けにちゃんと戻していなかったりすると、緊急時であっても、他の誰も電話をかけることができなかったのです!
The Romance of Old-Style Phones
Poor younger people. They will never know the pleasure of pacing up and down during an intense phone conversation with a long phone cord dragging behind. They won’t know the joy of twisting the curly phone cord around their fingers as they listen attentively to a friend. They will never know the feeling of being able to slam a phone back into its cradle after a passionate argument with a lover. (Pressing the red button on an iPhone just doesn’t have the same drama!)
But then again, they will never know the misery of waiting for friends for hours on a cold street corner because there was no way of getting in touch with them once they had left their homes. I guess I really should say “Lucky younger people!”
旧式電話のロマン
若い人たちはかわいそうです。電話の会話に集中し、長い電話コードを引きずりながら行ったり来たりする喜びを、彼らは知ることがないのですから。友人の話に熱心に耳を傾け、渦巻き状の電話コードを指に絡ませる楽しさを知ることもありません。恋人と激しく口論した後、受話器を受話器受けに叩きつけるときの気持ちがどんなものかも分からないでしょう。(iPhoneの赤いボタンを押すだけでは、同じドラマは生まれません!)
でもよく考えてみると、家を出てしまうと連絡を取る手段がなく、寒い街角で何時間も友人を待つというみじめな気分も、彼らは味わうことがないわけです。本当は「若い人たちは幸せだ!」と言うべきなのかもしれません。
語注
Phones No Longer
語句 | 意味 |
---|---|
magical | 魔法のような |
snap | ~(写真)を撮る |
update | ~を更新する |
browse | ~を閲覧する |
rare thing | 珍しいこと、なかなかないこと |
stretch out | 大の字になる、手足を伸ばす |
chat | おしゃべりをする |
pal | =friend |
there is something about ~ | なんとなく~だと思う |
distracted | 気が散っている |
householder | 世帯主 |
flat rate | 定額 |
coin jar | 小銭を入れるびん |
stupidly | 無知なことに |
occur to ~ | ~の心に浮かぶ |
local call | 市内通話 |
elsewhere | 他の場所では |
Party Lines
語句 | 意味 |
---|---|
(見出し)party lines | 共同加入回線 |
nearly | ほとんど~の |
private line | 専用回線 |
it is a different story in ~ | ~では話が変わってくる |
ring pattern | ベル音(の鳴り方) |
followed by ~ | ・・・の後に~が続く |
specific | 特定の |
serviced by ~ | ~を利用する・・・ |
listen in | 盗み聞きをする |
gab | 無駄話(をする)、おしゃべり(をする) |
even worse | さらに悪いことに |
leave ~ off the hook | ~(受話器など)を外れたままにする |
incorrectly | 間違えて |
position ~ back | ~を戻す |
cradle | 受話器受け |
emergency | 緊急事態 |
The Romance of Old-Style Phones
語句 | 意味 |
---|---|
pace up and down | 行ったり来たりする |
intense | 集中した |
drag | 引きずる |
twist ~ around one’s fingers | ~を指に巻き付ける |
curly | 渦巻き状の |
listen attentively to ~ | ~に熱心に耳を傾ける |
slam ~ into ... | ~を・・・に叩き付ける |
passionate argument | 激しい口論 |
but then again | とはいうものの、でもよく考えてみると |
misery | みじめさ |
エッセイ豆知識
上記で紹介したエッセイに関連する表現をご紹介します。 本文には出てきていませんが、普段よく使われる電話に関するフレーズです。
Hold the phone!
This is an American expression that is used to tell someone to listen very carefully because you are about to say something very interesting or surprising.
これはアメリカの表現で、これからとても面白いことや驚くようなことを言うからよく聞いてください、というときに使います。
And then they – hold the phone – actually offered me a job!
それで彼らがね、よく聞いてよ、実は私に仕事をくれたの!
Or you can use it interrupt the speaker because he or she has just said something unexpected.
また、話し相手が予想外のことを言い出しときに、それを遮るために使うこともできます。
What? Hold the phone! Are you saying that Jack and Diane are dating now? I thought they hated each other!
えっ?ちょっと待って!ジャックとダイアンは今、付き合っているの?2人はお互いが大嫌いだと思っていたのに!
Phone it in
This means to perform a duty in a disinterested way. You are completing a task but with little enthusiasm or effort.
これは、ある職務をおざなりにすることを意味します。仕事をしてはいるものの、熱心でもなく、努力もしない状態です。
The teacher seemed to be phoning it in this morning. She didn’t seem to be very engaged.
今朝の先生は投げやりな感じだった。少し気が散っているようだった
Sometimes movie critics will say an actor “phoned in” his performance. He wasn’t giving it his all.
映画評論家が、ある俳優の演技は「気持ちが入っていなかった」と言うことがあります。彼は全力を尽くしていなかった、というように。
Play phone tag
Maybe this expression will no longer be needed since few people seem to be making actual calls these days! It describes making a series of phone calls with another person in which each time one party calls,
the other is not available to answer. Often you end up leaving this message on the other’s phone: “Your turn!”
最近、実際に電話をかける人は少ないようなので、この表現はもう必要ないかもしれませんね!一方が電話をかけると決まって相手が出ない、という電話の呼び出し合いのことを言います。そんなときは大抵、相手の電話にこのようなメッセージを残すことになることがよくあります。「今度は君が電話する番だよ!」
トップ画像:Wesley Hilario from Unsplash
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