TOEIC試験対策の専門家である田邉竜彦さんが、やさしく英文法を解説する本連載。第6回は、「~してくれますか?」を意味するWill you ~ ?とCan you ~ ?の違いです。使い方を間違うと、相手をムッとさせてしまうことも!?その微妙なニュアンスの違いを紹介します。
目次
Will you ~?とCan you ~?の違い
こんにちは。トイグルの田邉です。
相手に何かを依頼する表現に、Will you ~? とCan you ~? があります。日本語に訳すと、いずれも「~してくれますか?」なので、違いがいまいち分からない、と感じる方も多いでしょう。
Can you ~ ?は友だち同士でよく使われる表現です。一方、Will you ~?は、依頼の意味はあるものの、どちらかというと「指示・命令」といった、高圧的なニュアンスになります。そのため、上司や顧客に対してWill you ~?を使ってしまうと、上から目線な言い方で、関係性を崩してしまうことになりかねません。
私は英語教師をしていますが、Will you ~?の正しい使い方を知らず、恥をかいてしまった日本人をたくさん見てきました。
そこで、この記事ではWill you ~?とCan you ~?の違いを解説します。正しく使い分けられることで、あなたの英語はよりいっそう、説得力のあるものになるはずです。ぜひ最後までご覧ください!
Will you ~?は指示や命令を表す
はじめに、Will you~?の使い方から、見ていきましょう。
willは未来を表す助動詞です。話し手が「確実に起こるだろう」と思っていることに使われます。そのため、Will you~?のように疑問文にすると、「相手にそれを確実にさせる」ということから、高圧的なニュアンスになります。例を見てみましょう。
Will you clean the room?
(部屋を掃除してくれますか?)
話し手は聞き手に対し、部屋を掃除するよう求めています。日本語訳では単なる依頼のように見えますが、英語のニュアンスでは命令的です。話し手のいらだちが感じられると言っても良いでしょう。
Will you ~?を使った文は、より直接的に命令を表すことがあります。例を見てみましょう。
Will you do as I say?
(言ったとおりにしてますか?)
話し手は聞き手に対し、言われたことをするよう命令しています。これを言われたら、聞き手は話し手の要求をのまざるを得ないでしょう。
なお、willには単純未来を表す用法もあります。この場合、指示や命令のニュアンスにはなりません。例えば、次のような場合です。
Will you be at home this evening?
(今晩ご在宅でしょうか?)
ただし、この用法のwillを疑問文で使うことは、頻度としてはそれほど高くありません。
日本語母語話者の場合、単純未来を表すと思ってWill you ~?を使ったものの、相手には指示・命令の意味に聞こえてしまい、ムッとさせてしまう・・・といったことがあります。
したがって、ケース・バイ・ケースではあるものの、Will you ~?の使用には慎重になるとよいでしょう。
Can you ~?は親しい相手への依頼を表す
canは「~できる」を表す助動詞です。ここから、Can you ~?を用いることで、相手への依頼を示すことができます。例を見てみましょう。
Can you tell us about that?
(それについて私たちに教えてくれますか?)
話し手は聞き手に、情報を教えてくれるよう求めています。Can you ~?は、どちらかというとカジュアルな表現です。そのため、話し手と聞き手が顔なじみのような関係性で使われます。
丁寧に依頼したい場合は、Could you ~?を使うことができます。先ほどの例文を比較してみましょう。
Can you tell us about that?
(それについて教えてくれますか?)Could you tell us about that?
(それについて教えてくださいますか?)
couldはcanの過去形ですが、過去形と言っても時間的な過去ではなく、ここでは相手との距離感を示します。つまり、Could you ~?を使うと相手に配慮した形になるので、結果的に丁寧さが増すことになります。
Can you ~?とCould you ~?で迷ったら、Could you ~?を使うようにしましょう。そうすれば、コミュニケーション上のエラーは防げるはずです。
まとめ
この記事では、英語のWill you ~?とCan you ~?の違いについて、説明しました。一見すると似た表現ですが、どのように使い分ければいいか、お分かりいただけたと思います。
この記事の詳細は、トイグルのウェブサイト「英語の助動詞willとは?ポイントは『意志未来×習性×単純未来』を区別すること」と「助動詞canの使い方!ポイントは『能力×自由×疑い』の意味を理解すること」でもご覧いただけます。
「3分で分かる英文法」記事一覧
第1回:canとbe able toの違い
第2回:willとbe going toの違い
第3回:mustとhave toの違い
第4回:May I ~? Can I ~? Shall I ~?の違い
第5回:shouldとhad betterの違い
第6回:Will you ~?とCan you ~?の違い
第7回:mayとmight、canとcouldの違い
第8回:wouldとused toの違い
第9回:might have、should have、would haveの違い
第10回:不定詞(to do)と動名詞(doing)の違い
第11回:if I amとif I wasとif I wereの違い
第12回:not to doとto not doの違い
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