TOEIC試験対策の専門家である田邉竜彦さんが、やさしく英文法を解説する本連載。第7回は「法助動詞」、特にmayとmight、canとcouldの違いについてです。法助動詞の中でも特に使い方を間違いやすいこれらを、分かりやすく解説します。
英語の法助動詞とは?
こんにちは。トイグルの田邉です。
英語の法助動詞とは、canやwillなどに代表される語で、話し手の心的態度を表す際に使います。例えば「可能性」を表すとき、法助動詞を用いると、その出来事がどの程度の可能性で起こると考えているのかを、伝えることができます。
一方、法助動詞の使い方を間違えると、話し手のメッセージが誤って伝わる恐れがあります。例えば、あなたが相手に丁寧に何かを頼みたいとしましょう。その際、適切な法助動詞を選べば、相手は喜んで依頼に応じてくれます。しかし、不適切な法助動詞を選べば、意図せず聞き手をムッとさせてしまう・・・という事態も起こりかねません。
そこでこの記事では、英語の法助動詞について、使い方を分かりやすく解説します。本記事で取り上げるのは、mayとmight、そしてcanとcouldです。これらは法助動詞の中でも、使い分けを間違いやすいものなので、優先して学習することが望まれます。
本記事で紹介する知識は、英会話はもちろん、メールなどのライティング時にも役立ちます。ぜひ最後までご覧ください!
mayとmightの違い
はじめに、mayとmightの違いについて見ていきましょう。
mayは「・・・かもしれない」の意味で、現在の可能性や推量を表します。mightは、形としてはmayの過去形ですが、過去を表すのではなく、話し手の控えめな気持ちを表します。次の例を見てみましょう。
Bob may know the answer.
Bob might know the answer.
(ボブは答えを知っているかもしれない)
話し手は、ボブが答えを知っている可能性があると述べています。mayよりmightの方が可能性の度合いは低く、mightは「(ひょっとすると)・・・かもしれない」のような意味になります。
mayとmightは、未来の可能性について言及する場合にも使われます。この場合も同様に、推量の度合いとして、mayよりもmightの方が、実現の度合いが低いと話し手が考えていることを意味します。
次の例を見てみましょう。
It may rain.
It might rain.
(雨が降るかもしれない)
日本語訳にすると同じですが、ニュアンスが少々異なります。mayを使った例文は「多分雨かもしれないね」といったものですが、mightを使うことで、「ひょっとしたらこの後雨が降るかもしれないね」のように推量の度合いが低いことを表しています。
canとcouldの違い
続いて、canとcouldの違いを考えていきましょう。まず、canは「~できる」の意味で、能力を表します。couldはcanの過去形です。そのため、canは現在の能力を表すのに対し、couldは過去の能力を表します。
次の例を見てみましょう。
She can speak English and Japanese.
(彼女は英語と日本語を話せる)My son could walk when he was nine months old.
(私の息子は9カ月のときには歩くことができた)
1つ目の例文は、canが使われています。彼女は現在、日本語と英語を話せるようです。一方、2つ目の例文はcouldが使われています。話し手の息子は9カ月のとき、歩けるようになりました。
canとcouldの違いは、表現の丁寧さにも表れます。次の例文を見てみましょう。
Can you pass the salt?
(塩を取ってくれますか?)Could you tell me the way to the post office?
(郵便局への道を教えていただけますか?)
Can you ~?は「~してくれますか?」のように、相手に何かを頼む際に使用する表現です。友だち同士など、比較的親しい間柄で使います。一方、Could you ~?は「~していただけますか?」のように、丁寧に依頼する際に使います。例文は郵便局への道を尋ねていますが、これは街中で知らない人に声を掛けている場面と考えられます。
なぜ、canをcouldにすることで丁寧さが表現できるのでしょうか?その理由の1つは、過去形の持つ距離感のイメージがあります。
英語の過去形は、「できる/できた」のような時間的な距離だけでなく、相手との距離を表す際にも活用されます。相手に対して一定の距離感を出すことで、丁寧さを表現できるということですね。Could you ~?は日常会話でよく使う表現なので、ぜひ覚えておきましょう。
canとmayの違い
最後に、canとmayの違いについても触れておきましょう。
Can I ~?やMay I ~?のように、主語を一人称(=私)にする場合、「~してもいいですか」と許可を求める意味になります。Can I ~?は友人同士など親しい間柄で用いますが、May I ~?はより堅い表現になります。
例文を見てみましょう。
Can I use the bathroom?
May I use the bathroom?
(トイレをお借りしてもいいですか?)
上の例文はCan I ~?が用いられているため、友人に対して許可を求めている場面と推測できます。一方、下の例文はMay I ~?のため、上下関係のあるような相手に用いている場面と考えられます。
まとめ
この記事では、英語のmayとmight、canとcouldの違いについて、説明しました。日本語に訳すと違いが出にくいものですが、英語ではニュアンスが異なります。適切な表現を使うことで、相手と良い信頼関係を構築していきましょう。
この記事の詳細は『助動詞canの使い方!ポイントは「能力×自由×疑い」の意味を理解すること』でもご覧いただけます。
「3分で分かる英文法」記事一覧
第1回:canとbe able toの違い
第2回:willとbe going toの違い
第3回:mustとhave toの違い
第4回:May I ~? Can I ~? Shall I ~?の違い
第5回:shouldとhad betterの違い
第6回:Will you ~?とCan you ~?の違い
第7回:mayとmight、canとcouldの違い
第8回:wouldとused toの違い
第9回:might have、should have、would haveの違い
第10回:不定詞(to do)と動名詞(doing)の違い
第11回:if I amとif I wasとif I wereの違い
第12回:not to doとto not doの違い
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