「~すべき」を意味するshouldとhad betterの違い。それぞれのニュアンスなどをやさしく解説【3分で分かる英文法】

TOEIC試験対策の専門家である田邉竜彦さんが、やさしく英文法を解説する本連載。第5回は、「~すべき」を意味するshouldとhad betterの違いです。使い方を間違うと、意図せぬトラブルを引き起こしてしまうかもしれません。その微妙なニュアンスの違いを紹介します。

shouldとhad betterの違い

こんにちは。トイグルの田邉です。

英語の助動詞にshouldhad betterがあります。辞書を見ると、どちらも「~すべきである」の訳が与えられている語です。一見すると、同じ意味で、交換可能なようですよね。

ところが、これら2つの助動詞は、日本語訳こそ同じものの、英語のニュアンスが異なります。had betterは「上から目線」な感じがするため、使い方には注意が必要なのです。

私は英語教師としてたくさんの日本語話者に英語を教えてきましたが、had betterの使い方を間違ってしまったために、意図せぬトラブルを引き起こしてしまった方を多数見てきました。

そこでこの記事では、shouldとhad betterの使い分けについて、3つのポイントを紹介します。正しい使い分けを知ることで、より効果的な英語コミュニケーションができるようになるでしょう。

ぜひ、最後までご覧ください。

「助言」の意味ではhad betterの方が強制力が強い

はじめに、「~すべきである」の意味で、「助言」を表す場合の、shouldとhad betterを見ていきましょう。次の例文をご覧ください。

You should go now.
(もう行った方がいいよ)
You had better go now.
(もう行った方がいいよ)

話し手が聞き手に対して、出発するよう促している文です。日本語ではいずれも「もう行った方がいいよ」の意味になりますが、ニュアンスが少々異なります。

1つ目のshouldを使った文は、話し手による強制力はあまり感じられません。文字通り、行くことをおすすめしているといった場面でしょう。

一方、2つ目のhad betterを使った文は、話し手による若干の強制力が感じられます。「命令」ほどではないにせよ、「強い助言」のニュアンスです。

「助言」を表す場合にshouldとhad betterで迷ったら、shouldを選ぶとよいでしょう。話し手の気配りが感じられ、結果として無難なコミュニケーションになります。

had betterは時に「脅迫」のニュアンスになる

had betterを使う際に注意すべきは、時に<脅迫>の響きがある点です。次の例文を見てみましょう。

You had better sign this for me, sir.
(これにサインした方がいい)

出典:『実例英文法』 オックスフォード大学出版

書類のサインを求める場面で、上記のようにhad betterを使うと、「これにサインした方がいい。さもないと・・・」のような、脅迫的な言い方に聞こえます。

もし、私たちが「~した方がいい」の訳につられて、「助言」の意味で使ったとしても、ネイティブスピーカーには「脅迫」として捉えられてしまうんですね。

shouldには、このような<脅迫>の意味はありません。この点においても、had betterよりもshould、あるいは他の表現を検討する方が、効果的なコミュニケーションになるでしょう。

なお、書類へのサインを丁寧に求めるなら、”Would you mind signing this for me, sir?” (これにサインをお願いできますでしょうか?)のように言えます。had betterより、はるかに丁寧に聞こえます。

had betterは切迫感を表す

had betterは、ごく近い未来に対する切迫感のある表現としても使用されます。少し長い英文ですが、次の例を見てみましょう。

A: I really ought to go and see Fred one of these days.
(近日中に、フレッドに会いに行ってみる)
B: Well, you'd better do it soon - he's leaving for South Africa at the end of the month.
(そうだよ、すぐ行くのがいい――月末には、彼は南アフリカへ発つぞ)

出典: 『Practical English Usage』 Oxford Univ Press

「近日中にフレッドに会いに行く」という話し手に対し、聞き手が「すぐに行くのがいい」と助言しているシーンです。had betterの「強い助言」、あるいは「脅迫」とも取れるニュアンスから、切迫感を出しているのが分かります。

未来を表す際、shouldを使うこともできます。ただ、shouldはhad betterほど急ぎで何かをさせたいニュアンスはありません

このような場合、shouldよりhad betterが好んで使われると言えるでしょう。

まとめ

この記事では、英語のshouldとhad betterの違いについて、説明しました。一見すると似た表現ですが、どのように使い分ければいいか、お分かりいただけたと思います。

この記事の詳細は、トイグルのウェブサイト「英語のhad betterの使い方!3つの意味をわかりやすく説明」でもご覧いただけます。

「3分で分かる英文法」目次

第1回:canとbe able toの違い
第2回:willとbe going toの違い
第3回:mustとhave toの違い
第4回:May I ~? Can I ~? Shall I ~?の違い
第5回:shouldとhad betterの違い
第6回:Will you ~?とCan you ~?の違い
第7回:mayとmight、canとcouldの違い
第8回:wouldとused toの違い
第9回:might have、should have、would haveの違い
第10回:不定詞(to do)と動名詞(doing)の違い
第11回:if I amとif I wasとif I wereの違い
第12回:not to doとto not doの違い

英語力が伸び悩んでいる人にはこちらもおすすめ

英語力が上達しない5つの原因と解決法、早口な英語が聞き取れるようになる3つのポイント、スペリングを簡単に覚えられる3つの方法などを、田邉竜彦さんが解説します。

田邉竜彦(たなべ・たつひこ)
田邉竜彦(たなべ・たつひこ)

英語教師。月間40万人に読まれる英語学習メディア『トイグル』を運営。TOEICR対策特化型スクール『トイグル』代表。マンツーマン講座とセミナーで社会人を中心に200名以上の英語学習をサポート。英ストラスクライド大学大学院経営学修士(MBA)、英ウォリック大学大学院英語教授法修士。

【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。

語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発

  • スマホ相手に恥ずかしさゼロの英会話
  • 制限時間は6秒!瞬間発話力が鍛えられる!
  • 英会話教室の【20倍】の発話量で学べる!

SERIES連載

2024 11
NEW BOOK
おすすめ新刊
名作に学ぶ人生を切り拓く教訓50
詳しく見る