カン・アンドリュー・ハシモトさんの連載「爽快ウルトラ英会話表現」。第3回は前回に引き続き数字を含む表現を紹介します。取り上げるのは5、10-4、20など。What‘s your 20?と聞かれて答えることはできますか?
知っている単語ばかりなのに意味不明の表現を取り上げる第3回目です。前回に引き続き今回も数字を取り上げます。
まずはこれ。
Give me five.
「僕に5をくれ」ではありません。ここでのfiveは片手の指の数を表しています。「ハイタッチをしよう」という意味です。
何かいいことがあったとき、例えばスポーツ観戦で応援しているチームが得点を決めたとき、または自分自身がスポーツをしていてゴールをきめたときなど、「やった!ハイタッチしようぜ」のような感じで使う表現です。
ハイタッチはとてもうまい表現だと思いますが、和製英語です。日本で暮らしているといつの間にかそれも使ってしまいそうになりますが、英語でhigh touchと言っても通じません。ただし、high fiveという言葉はあります。
All right! High five!
やった!ハイタッチしよう!
また、high-fiveを1語の動詞にして、次のように言うこともできます。
High-five me.
僕とハイタッチしよう。
ちなみに腰のあたりで相手と手をたたき合うlow fiveという行為もあります。high fiveをするほど最高ではないけど「まあよかったよね」のようなレベルのときに Low five! と言い、低い位置で手をたたき合います。
このhigh fiveとlow five を使った、アメリカ人なら誰でもやったことがある遊びがあります。
- まず Give me five! と言って手をたたき合います。
- 次に Up high! と言い、もう一度高い位置で手を合わせます。
- そして Down low! と言い、低い位置で手をたたくように見せかけて手を引っ込め、Too slow!(遅すぎるよ)と言って相手をからかいます。
他愛もない遊びですが、アメリカ人なら(イギリス人でも)これをやったことがない人はいません。
もし、あなたに知り合いのお子さんでアメリカ出身の子供がいたら、いきなりこの遊びを仕掛けてくるかもしれません。知っておくとその子と仲良しになれますよ。
映画やドラマにもしばしば出てきます。『ターミネーター2』(1991)というSF映画の中でも、アーノルド・シュワルツェネッガーが演じるターミネーターと子供がこれをするシーンがあります。下の動画を見ると、相手をどんなふうにからかうのか、その雰囲気が分かると思います。
ちなみにこの遊びで口にする決まり文句で、気付くことはありませんか?
Give me five! Up high! Down low! Too slow.
この4つの文が奇麗に韻を踏んでいます。fiveとhighが/ai/の音で、lowとslowが/ou/の音で韻を踏んでいます。韻は英語でrhymeといいます。英語文化ではとても重要視されているもので、こういう遊び歌のようなものは、必ずと言っていいほど韻が含まれています。
これはイギリスでは言葉が変わります。
Give me five. On the side. Down below. You’re too slow.
言葉は変わりますが、やはりfiveとside、belowとslowが韻を踏んでいます。単語は変わっても韻は保つことに、英語文化を感じていただけたらうれしいです。
話がそれました。数字に戻します。
10-4
これはどんな意味でしょうか。ten fourと読みます。
私は普段、英語の音声教材、映像教材や歌を作る仕事をしています。その録音や撮影を行うスタジオで交わされる会話に時々登場します。
例えば、僕がパフォーマーにこんなふうに声をかけます。
Would you do it again?
もう一度やってみて。
すると彼または彼女はこんなふうに答えてくれます。
10-4!
そう、これは「了解!」という意味です。同様の意味でOkeydokey!という言い方もあります。両方ともよく使われる表現です。10-4はスマホのテキストメッセージでも見ることが多いです。
これは10-codesと呼ばれ、アメリカの警察の無線通信で使われている略号のひとつです。それがこのように日常会話でも使われる表現になりました。これも映画やドラマによく出てきます。カジュアルな表現ですが、特に若者言葉ということでもないので、知っておくと使う機会がきっとあるはずです。
次、これはどうでしょう?
What’s your 20?
「あなたの20は何?」だと意味が分かりません。
刑事ドラマにはよく出てくる表現です。日常生活で使うことは少ないと思っていましたが、私は2、3年前に実際にこのセリフを言われたことがあります。友人の家で行われるパーティーに1時間ほど遅刻して車で向かっているとき、その友人から電話がかかってきてWhat’s your 20?と尋ねられました。
「今、どこにいる?」という意味です。
このような状況でWhere are you?と尋ねると In the car. (車の中)とふざけて答える人が多い(定番のようにもなっている)ので、このように尋ねたのでしょう。
ニュアンスとしては「現在位置を報告せよ」のような感じでしょうか。これも警察の無線通信から生まれた言葉です。
最後はこちらです。
Third time’s the charm.
third timeは「3回目」という意味ですね。charmには「魅力」「魔力」「お守り」など、幾つかの意味があります。さて、どんな意味でしょう。日本語にもそっくりの表現がありますよ。
そう、「三度目の正直」です。日常生活でもよく使います。
A: Yes, I made it! Finally!
B: Congrats! Third time’s the charm!
A: やった!ついに!
B: おめでとう!三度目の正直だね!
この表現は、何かをうまくできた自分自身に対して使うこともあります。イギリスでは、次のように少し異なる言い方をすることがあります。
Third time lucky!
The third time is lucky!
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
次回もお楽しみに!
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トップ写真:山本高裕(ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部)
本文写真:GiFri, Miguel Á. Padriñán, Kati, NoName_13 from Pixabay
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