連載「使いこなせる!英会話頻出ワード」。言語学者のアンちゃんことアン・クレシーニさんが、「英語のネイティブスピーカーがよく使うけれど、日本語では理解しづらい言葉」を徹底解説します!第3回は、「mean」のさまざまな意味とその使い方を、豊富な用例と併せて紹介します。
目次
日常で最もよく使われる「mean」の意味は?
子供たちがまだ小さかった頃、私は毎日、毎日、何度もこんなことを言われていました。
My sister hit me!
妹に叩かれた!
You did that on purpose!
わざとだったでしょう!
I don’t want to.
いやだ。
Mommy! Tell her to say sorry!
お母さん!妹に謝るように言ってよ!
She’s being mean to me!
**********!
娘三人の年齢が近いので、彼女たちが小さかったときは、永遠にもめていたような気がします。いつも「ママ、何か言って!」「ママ、怒って!」と言われていた私は、アメリカにいる友人に相談しました。
「もう、どうしたらいいかわらない!永遠に、『ママ!』と言われている。きょうだいげんかはしんどい!!」
私がそう言うと、その友人は次のように答えました。
「それは、簡単よ。私は、いつもこう言っているわ。『血が出てない限り、来ないで!自分たちで解決して!』」
思わず笑ってしまいました。さすがアメリカ人が言うようなセリフです。
最初に紹介した娘たちの言葉でも、彼女たちが最もよく使った表現はこれでした。
She’s being mean to me!
ところでこのmeanは、どう日本語に訳したらいいでしょう?何度も考えていろいろな人に尋ねましたが、いい訳はなかなか見つかりませんでした。
するとこの間、友人の一人が「イケズ」がいいよ!と教えてくれました。
私は、「あれ?『イケズ』は聞いたことがない」と思いました。後にこの「イケズ」は関西弁だということが分かりました。確かに「イケズ」は、meanの意味にとても近いです。
この、英語の会話では毎日出てくると言っていいmeanを使いこなしている日本人に、私はあまり会ったことがありません。実はこのmeanは、全く違う意味でさまざまな場面で使われます。そこで今回は、meanの使い方を詳しく解説します!
この記事を読み終わった頃には、皆さんはmeanの専門家になっているはずです!
さて、はじめましょう!
「mean」のさまざまな意味
ひどい、いじわる
冒頭で紹介したShe’s being mean to me!のmeanは、形容詞で「ひどい」「意地悪」「不親切」「冷たい」を表します。とても頻繁に使われる語です。故意に誰かに嫌な思いをさせようとしたり、誰かを傷付けようとしたりしている、という意味です。
例文を見ていきましょう。
My teacher is so mean. He gives us hours and hours of homework every night.
私の先生は本当にひどい。毎日、何時間もかかる宿題を出すの。
Why are you being so mean to me?
なんでそんな意地悪なことをするの?
He’s the meanest person I have ever met.
今まで会った人の中で、彼は間違いなく一番性格が悪い人だ。
Stop being mean to your brother!
弟に意地悪するのをやめなさい!
同様の意味で、少し軽い感じで使える句動詞にpick on ~があります。日本語で言うと、「いじる」とか「からかう」という感じです。pick on以外にteaseという動詞もあります。
Stop picking on your brother!
弟をからかうのはやめなさい!
My friends are always picking on me about that cute guy in our class.
友達はいつも、同じクラスのあのかわいい男の子のことで私をからかう。
Stop teasing me!
私をからかわないでよ!
I am always getting teased at school.
私はいつも学校でいじられています。
「いじめ」のbullyingと「いじる」の境線は少しグレーですが、基本的にpicking on ~や teaseは、bullying ~、being mean to ~より少し軽い感じです。
もちろん、meanは本気で使うこともありますし、少し冗談っぽく言うときもあります。例えば、娘にこんなことを言うとします。
You can’t use your phone until you wash the dishes.
皿洗いをするまで、スマホを使ったらダメだよ!
すると娘は、かわいくすねた感じで
You’re so mean!
と言います。ママのことをそれほどひどいとは思っていない感じです(思っているのかな?)。ただ、皿洗いをやりたくなくて冗談っぽく言っています。
つまり、meanを使うときは、前後の流れやその場の雰囲気を把握することが常に大事だ、ということです。
「meanな人」を示す言葉にmeanieがあります。この言葉も、大抵は冗談っぽく使われます。
You are making me do my homework and help with chores? You are such a meanie!
宿題をやるだけじゃなくて、家事も手伝わないといけないの?ひどい!
Don’t be such a meanie!
そんな意地悪しないの!
形容詞でmean-spiritedという語もあります。-spiritedは「~の精神(気持ち)を持つ」と
いう意味で、mean-spiritedで「意地悪な」「卑劣な」となります。
You have been making mean-spirited comments towards her all day.
あなたは今日ずっと、彼女にひどいことばっかり言っている。
Wow. That was a mean-spirited comment!
うわ。あれはとても意地悪な発言だったよ!
He is a really mean-spirited person.
彼は、マジでひどい人なんだ。
2つ目の例文にあるmean-spirited commentは、そのコメントそのものに意地悪精神がある、という感じのニュアンスです。
わざとじゃなかった、そういうつもりじゃなかった
次のmeanは動詞としての使い方ですが、説明がしづらいので、まずは例文を見てみましょう。
I didn’t mean to hurt your feelings. I’m sorry.
あなたの気持ちを傷つけるつもりじゃなかった。ごめんなさい。
Oops. I didn’t mean to do that.
おっと。わざとじゃなかったんだ。
I’m sorry, I didn’t mean to call you. It was an accident.
ごめん。あなたに電話するつもりはなかった。間違いだったの。
ところで「間違い電話」には面白い言い方があります。pocket callとbutt dialです。
Sorry, that was a pocket call.
ごめん。間違い電話だった。
Did you butt dial me?
間違い電話だったの?
2つ目の例文に出てきたaccidentは、on purposeを使って表現することもできます。
A: You broke my toy!
B: I’m sorry. I didn’t do it on purpose. / It was an accident.A: 私のおもちゃを壊した!
B: わざとじゃなかったの!
それはどういう意味ですか?
meanの意味で、日本の人が最もよく知っているのが「~を意味する」という動詞です。ですが、正しく使えていない人も多く目にします。よく次のような文を聞きます。
What’s mean?
言いたいことは「それはどういう意味ですか」だと思いますが、こんなふうに言ってしまうのは、「どう言う意味?」や「なんていう意味?」といった日本語を直訳しているからだと思います。
日本語では、主語や目的語を省略することに問題はありませんが、英語ではどちらも文に欠かせません。例えば、日本語では次のような会話でも全く問題ありません。
ねえ、昨日の試合、見た?
うん、見たよ。
日本語と同じように省略すると「うん、見たよ」はこうなります。
Hey, did you watch the game yesterday?
Yeah, watched.
どう見ても、この英語はおかしいです。この場合、英語では次のように答えなければいけません。
Hey, did you watch the game yesterday?
Yeah, I watched it.
では、「どういう意味?」や「なんの意味?」は英語でどうなるべきでしょうか。
What does that mean?
What does this mean?
What does it mean?
What do you mean?
「主語」によって言い方は若干変わります。
分からない文の意味を友人に聞くときや、相手が意味の分からないことを言ったときは次のような感じです。
What does this (sentence) mean?
この(文の)意味は何?
What do you mean?
どういう意味?
誰かがとげのあるような発言をして、その発言が気に入らないときはWhat does that mean?と言ったりします。
A: Don’t worry about it. I will just do the laundry and the cooking like I always do!
B: What does that mean? Are you trying to say I never help out?A: もういいよ。私は、洗濯物と料理を一人でするわ、いつもみたいにね!
B: どういう意味?絶対に僕は家事を手伝わないってこと?
同じ意味の英文であっても、声のイントネーションで伝わる意味は大分変わってきます。英語の勉強は、語彙や文法を完璧に使いこなせても、終わりがありませんね・・・。
あれは、〇〇〇にどういう影響があるの?
meanにはこんな使い方もあります。
A: I broke my leg playing basketball yesterday.
B: What does that mean for your plans to go to camp this summer?
A: I’m not sure. It’s all up in the air.A: 昨日、バスケで足を骨折した。
B: 夏休みのキャンプの計画はどうなるの?(行ける?)
A: どうかな。またわからない。
A: Dad got transferred to Tokyo.
B: What does that mean for my college plans?
A: You can go to college here and live in the dorms.A: お父さんが東京に転勤することになった。
B: 私の大学はどうなるの?
A: ここに残って、寮に住んでもいい。
名詞のmean
meanを名詞で使うときは、meaningになります。
What’s the meaning of this word?
この単語の意味は何?
I don’t understand the meaning of this paragraph. Can you help me?
この段落の意味が分からないの。教えてくれる?
次のような深い意味の使い方もあります。
I am searching for meaning in my life.
私は人生の意味を探している。
What is the meaning of life?
生きることの意味ってなんなの?
「言いたいのは~」「なんかさ」「~というか」
次に、使いこなすのが最も難しいmeanについて話したいと思います。
これは、つなぎ言葉として使われるI meanやwhat I mean isです。例を見てみましょう。
No, what I mean is, it’s too hot to go jogging right now.
いや、言いたいのは、今、外でジョギングするには暑すぎるよ。
I mean, that is just crazy!
なんかさ、あれは超~おかしい!
Do you mean that you don’t wanna do it?
つまり、あなたはやりたくないってこと?
I mean, I really wanna go but I’m totally exhausted.
だから、めっちゃ行きたいけど、ヘトヘトなんだ。
I mean, that is just so cool!
というか、それ、めっちゃ最高!
what I mean isはwhat I’m trying to say isで言い換えることもできます。
No, what I’m trying to say is, it’s too hot to go jogging right now.
いや、言いたいのは、今、外でジョッギングするには暑すぎるよ。
Are you trying to say that you don’t wanna do it?
つまり、あなたはやりたくないってこと?
Do you get what I mean?
Do you get what I’m trying to say?
言いたいことは分かりますか。
本当だ
最後に、~ mean itについて話します。例文を見てみましょう。
You are so talented. I’m not just saying that, either. I really mean it.
君にはとても才能がある。軽く言っているんじゃない。本当にそう思っている。
Do you really mean it?
本当にそう思うの?
Do your homework now or I’m taking your phone. I mean it.”
今すぐ宿題をやりなさい、じゃないとスマホを没収します。冗談ではありません。
I have never met anyone like you. I really mean it.
あなたみたいな人には初めて会いました。本当に思っています。
I know that I said I don’t love you. But I didn’t mean it. I am so sorry.”
あなたが好きじゃない!と言ってしまったけど、本当はそう思っていないの。ごめんね。
まとめ
私は、言葉が大好きで、いつも単語遊びをしています。だからさまざまな意味のmeanが入った文を作ってみました。
I mean, do you mean that you didn’t mean to be mean?
つまり、わざと意地悪したわけじゃないってこと?
一つの単語にたくさんの意味があると覚えるのは難しいですが、少しずつでも使いこなせるようになれたらいいですね。
I mean, let’s enjoy this journey called language learning! I mean it!
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