就職、転職、異動などで英語が必要になったり、コロナ禍で「おうち時間」が増えたりして、英語を学ぼうと考えているビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。そこで今回、400万部を超えるベストセラーの著者であるデイビッド・セイン先生に、「ニュース英語を活用した勉強法」を聞きました。2021年4月に日本経済新聞社より発売された、セイン先生監修「日経ニュース英語塾」についてもご紹介します!
デイビッド・セイン先生
アメリカ出身。20数年前に来日。長年にわたる豊富な英語教育経験を生かし、数多くの英語関連書籍を執筆。著書に『日経LissN 最新時事英語キーワード』(InteLingo)、『こんな時 英語でなんて言う?』(日本経済新聞出版)、『サラっと言いたいネイティブの英語表現』(アルク)などベストセラー多数。累計400万部以上の著作を刊行している。2021年開講の「日経ニュース英語塾」監修。
大人の英語学習には「面白い」が必須条件
ビジネスパーソンが英語学習をする場合、「経理関係の英語力が必要」とか「製薬業界の情報収集を英語でしたい」など、目的がはっきりしていることが多いでしょう。それなら、目的に関する英語だけを集中的に勉強すればいいと思うかもしれませんが、残念ながら、大抵の人にはそれは無理だと思います。なぜなら、飽きてしまうから。
大人になると、「面白くないな」とか「嫌だな」と思うことを、頭に入れるのが難しくなってしまうのですね(若い受験生なら無理やり覚えられるかもしれませんが!)。ニュース英語が大人の英語学習に最適な理由はまさにそこで、自分が面白いと思えるニュースを選んで学習素材にできるからなのです。
はじめは、状況が変化していく1つのニュースを、2週間、1カ月など一定期間にわたって追いかけると理解しやすいでしょう。専門分野の英語とニュースの英語にそこまで大きな違いはないので、ニュース英語がわかるようになれば、専門分野の英語も問題なく理解できるようになっているはずです。
ニュース英語を聞くための「3つのマインドセット」
英語のニュースは初級者にも上級者にもおすすめの学習素材ですが、時には難しく感じることもあるでしょう。挫折しないためのマインドセットを「Good」と「Bad」の例を挙げてご紹介しましょう。
マインドセット1 できたことにフォーカスする
Bad 「10%しか聞き取れなかった・・・まだまだ駄目だ」
Good 「10%は聞き取れた!うれしい!」
日本人は英語に関して完璧主義者が多く、100%理解しないと駄目だと思っている人も少なくありません。でも、実はネイティブは会話の70%くらいしか理解していないという話もあります。それでも、コミュニケーションは取れるし、話に付いていくこともできるわけです。学習を続けるには、自信をなくさないことが大事です。「英語のニュースの10%ぐらいは聞き取れた!」と喜べるようなマインドセットが必要です。
マインドセット2 会話をしている気持ちで聞く
Bad 「この単語は知ってる」「この構文なんだっけ」・・・内容より英語にフォーカスする
Good 「あぁ、それはよかった!」「うーん、残念だ」・・・相づちを打ちながら聞く
英語のニュースを聞きながら英文法や単語のことを考えるのではなく、誰かの話に耳を傾けながら「へぇ、それはすごい」とか「悲しい」とか、相づちを打つつもりで心を動かしながら聞きましょう。情報と感情が一緒になると記憶にも残りやすいものです。逆に情報だけが入ってくると、すぐに忘れてしまいます。
マインドセット3 我慢しない
Bad 「疲れたなぁ、でも1時間は頑張ろう」
Good 「疲れたからいったんやめて、後でまたやろう」
脳は、学習を始めて5分ぐらいがいちばんよく働き、時間が経つにつれて疲れていきます。1日15分程度の学習でも、5分間×3回といったサイクルで細切れに勉強することで、効果が上がります。「疲れたな」と思ったときは、効率が悪いので我慢せずにいったんやめたほうがいいと思います。
ニュース英語を使ったおすすめ学習法×3
ではいよいよ、英語のニュースを活用して英語力を伸ばしていきましょう!おすすめの学習方法を3つご紹介します。
学習法1 知らない単語はまず推測。3回目で調べる!
日本人は英語に関して、推測する力がすごく弱いです。「どんな意味だろう?」と考える前に調べてしまうから、推測力が育たないのですね。受験勉強で「勘で答えては駄目」「ちゃんと調べて」と言われていた影響かもしれません。
英語のニュースには、10年に1回ぐらいしか出てこない単語とか、ネイティブでさえ聞いたことがないような専門用語も出てきます。それを一生懸命調べて覚えようとするのは効率的ではありません。覚えなくてもいい英単語ってたくさんありますからね。
わからない単語が出てきても、調べずにまずは推測してください。2回、3回、と同じ単語が出てきたら、いよいよ調べるタイミング。自分が推測した意味と同じだったら「合っていた!」とうれしくなり、違っていたら「こういう意味だったのか!」と印象に残り、覚えやすくなるのです。
セイン先生の近著をご紹介!
『日経LissN 最新時事英語キーワード』(InteLingo)
「感染者数」「バイオ燃料」など、最近のニュースに頻出する表現を一気に学べる時事英語本。
「英語のニュースと本書を併用して学習するのがおすすめです。2カ所で同じ単語に出合うと覚えやすくなるという利点もありますよ」(セイン先生)
学習法2 話す、書く、などのアウトプットを通じて「たくさん悩む」
英語のニュースを聞き流すだけでは効果がない、とまでは言いませんが、アウトプットは重要です。聞いたニュースについて、英語で話をする相手がいればいいのですが、なかなか難しいかもしれませんね。一人でできるアウトプットでいちばんいいのは、シャドーイングです。どんどんやってください。
印象的なニュースがあったら、英語で要約したり、意見をまとめたりするのもおすすめです。「このニュースについてはいつか誰かに話そう」「こういう意見を伝えられたらいいな」といった気持ちで書くといいと思います。スマートフォンやパソコンで打ってもいいし、手書きでまとめるともっといいですね。私の知人で、面白い新聞記事を読んだらそのつど文章にまとめている人がいます。その人は、何年経ってもその記事を覚えていて、話すことができるんですよ!
アウトプットに対してネイティブからのフィードバックをもらえればベストですが、アウトプットするだけでも効果はあります。話したり、書いたりするときは、すごく悩みますよね。「なんて言うんだろう?」「これでいいのかな?」・・・こうした悩みを持っていると、答えを見つけたときに「そうだったのか!」と吸収できます。アウトプットを通じて「たくさん悩みをつくること」が大事なのです。
学習法3 シャドーイングの録音でビフォー・アフターをチェック!
英語力の伸びを測るのにもシャドーイングを活用することができます。例えば、1つのニュースをシャドーイングして録音しておき、開始から1カ月目、2カ月目に同じニュースをシャドーイングして変化を見るのです。成長を確認できますし、シャドーイングが楽になっていることも実感できるでしょう。
セイン先生からのメッセージ:「好きになること」がスタートライン
AIの翻訳力が上がり、今や、発話した内容を即時に翻訳することも可能です。では「英語を勉強しなくてもいいのか」といえばそうではありません。機械には、感情や情熱を伝えることはできないからです。正確な英語を話せても、相手に「やる気がなさそうだな」と思われてしまったら、目的は達成できません。今後はビジネスでも検定試験でも、言葉の正確さより「いかに自分の思いを伝えられるか」が重要になるでしょう。
学校で英語を勉強して英語が嫌いになってしまった人はいっぱいいると思うのですが、「英語は嫌いだけど英語が上手」という人には、会ったことがありません。言葉というのは、好きにならないとうまくならないのだと思います。ニュース英語を使った学習が、「英語を大好きになるきっかけ」になってほしいと心から願っています。
セイン先生監修、「日経ニュース英語塾」新登場!
最後に、セイン先生が監修を務める「日経ニュース英語塾」についてご紹介しましょう。日経の最新ニュースを英語で聞けるWebサービス「日経LissN」やFT(フィナンシャル・タイムズ)の記事を使い、ビジネス英語を学べるオンライン学習プログラムで、3カ月単位で申し込めます。
ニュースのスクリプトや和訳も用意されているので初級者でも安心。PC、スマホ、タブレット端末からいつでもどこでも受講可能です。
「ビジネスに限らず、誰が読んでも興味を持てるようなニュースがたくさん登場します。ニュースを素材に英語を学びたい人におすすめです」(セイン先生)。
ポイント1 最新の時事英語を学べる!
「最新ビジネス英語 フレーズ完全攻略」では、最新時事英語の意味と使い方をネイティブの音声とともにマスター。
「答えを推測するステップを入れ込んだので、気軽にゲーム感覚で覚えられます」(セイン先生)。
ポイント2 アウトプットを通じて知識を定着させられる!
アウトプットの場として、セイン先生が受講生からの投稿に答えてくれる「セイン先生、白熱!みんなの英語授業」が用意されています。
「ニュースの感想や要約などの課題を出すので、この機会をぜひ活用してくださいね」(セイン先生)。
このほかにも、著名なビジネス英語講師やビジネスリーダー、日経の編集委員らによる特別セミナーやワークショップなどが随時開催されます。
ポイント3 ビフォー・アフターをしっかりチェックできる!
自宅で簡単に受検できるスピーキングテストVERSANT(バーサント)がセットになっているので、受講開始時と終了時の英語力の変化をしっかりチェックできます。
また、「日経LissN理解度テスト」では、日経LissNの記事から1日5問のテストが出題されます。正答率や回答時間の変化を見ることで、日々の英語力の伸びを確認できます。
セイン先生監修、「日経ニュース英語塾」
●ビジネス英語マスタープラン
<受講期間>3カ月
<内容>
◆日経ニュース英語塾
----毎日配信----
「リアル日経LissN」
「最新ビジネス英語フレーズ完全攻略」
「日経LissN理解度テスト」
----毎週配信----
「セイン先生 白熱! ライブ授業」
「日本一やさしいFT解説記事」(日本経済新聞社・木村編集委員)
「ワクワクコーチの英語学習術」(谷口恵子先生)
「FT最新フレーズを学ぶ」
「日経最新ニュース 必須単語ドリル」
----常設コンテンツや随時開催イベントなど----
「日経ニュース英語塾講師 ワークショップ」
「セイン先生ら英語の達人たちが語る」
「ビジネス語彙強化講座 ビジネス基礎単語1000」
「リスニング上達講座 初級ディクテーション」
※その他、著名な英語講師、国際ニュース報道の第一人者によるインタラクティブな形でのセミナーなども予定。
◆日経LissN 3カ月分 ID
◆VERSANT (R) Speaking Test
「日経ニュース英語塾」
プログラム監修/講師:デイビッド・セイン氏、木村恭子氏
制作/販売:日本経済新聞社
取材・執筆:株式会社REGION
【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。
語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発
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