「関係詞(関係代名詞・関係副詞)」について、頭ではわかっているけれど実際に使いこなすのは難しいと思う人も多いのではないでしょうか。実は「関係詞」には、相手により伝わりやすくなるよう情報を整理して説明するという大事な役割があり、使うだけで「英語らしい英語」にバージョンアップさせることができるのです。その本質や基本の仕組みを学び、50の練習問題を解くことで、苦手だった「関係詞」をスマートに使いこなせるようになりましょう!
Point 3:関係代名詞と関係副詞を見極めよう
「人」や「物」を説明するのが得意な関係代名詞ですが、「場所」や「時」などに情報を加えるときにはかなりの苦労を強いられます。そんなときの強い味方が「関係副詞」と呼ばれるものです。ここでは関係代名詞と関係副詞の違いを、「先行詞と動作の関係」に注目して整理していきましょう。
先行詞「で」する?
「先週私たちが食べたそば屋さん、覚えている?」何げない文ですが、これを英語にするのは案外難しいんです。よくある間違いですが、下のような英語にしてしまうと大変です。
Do you remember the soba shop we ate last week?
先週私たちが食べたそば屋さん、覚えている?
これでは先行詞the soba shop(そば屋)を実際に私たちがバクバクと食べた、ということになってしまうからです。「そば屋を食べた」のではなく、「そば屋で食べた」わけですから、これをなんとか表現しないといけません。そこで登場するのが、whereという関係副詞です。これを先行詞の後ろに付け加えるだけで、その後に加わる説明がすべて「ある場所」で行われたものだと伝えることができます。
STEP 1
「場所」を表す名詞を決めます。
the soba shop(そば屋)
STEP 2
whereと「誰が」「何をする」などの情報を加えます。
the soba shop + where +we ate last week(先週私たちが食べた)
→ the soba shop where we ate last week(先週私たちが食べたそば屋)
これで、先行詞the soba shop(そば屋)という「場所」で食事をしたことが間違いなく伝わり、以下のように表せます。
Do you remember the soba shop where we ate last week?
まとめ
「先行詞(場所)で」何かするときには、関係副詞のwhereで説明しよう!
「場所」以外の関係性
先行詞と動作の関係は、「場所」だけではありません。次の文の下線部では明らかに「時」が関係していますよね。
「私たちが初めて会った日を覚えている?」
こういう場合には「時」を表すのが得意な関係副詞whenを使いますが、作り方は同じなので安心してください。
STEP 1
「時」を表す名詞を決めます。
the day(日)
STEP 2
whenと「誰が」「何をする」などの情報を加えます。
the day + when +we met for the first time(私たちが初めて会った)
→the day when we met for thefirst time(私たちが初めて会った日)
Do you remember the day when we met for the first time?
私たちが初めて会った日を覚えている?
whereやwhenと同じように、当然whyやhowにだって関係副詞としての使い方があります。ただ、この二つは先行詞が限られているので一種のフレーズとして覚えておくとよいでしょう。
I don’t know the reason why he has gone.
彼がなんで行ってしまったのかわからない。This is how I studied English.
こんなふうに僕は英語を勉強した。
関係副詞whyはthe reasonを先行詞に取って「理由」を表しますが、whyまたはthe reasonのどちらかを省略してもOKです。howは「やり方、方法」を表すときに使われますが、先行詞はまったく必要ありません。
まとめ
- 先行詞との関係が「時」ならwhen、「理由」ならwhyを使うこともある!
- 「やり方、方法」を表すhowは先行詞が必要ない、特別な関係副詞!
Point 4:「先行詞」と「動作」の大切な関係
先行詞と動作の関係はとても大切ですが、先行詞が「場所」ならいつでもwhereを使えばよいというわけではないこともしっかりと覚えておきましょう。「そこを何かした」のか「そこで何かした」のか、この二つの違いがポイントなのです。
We went to see the building that my father designed.
父が設計した建物を見に行った。※建物を設計した → 関係代名詞(目的格)
We went to see the building where my father works.
父が働いている建物を見に行った。※建物で働いている → 関係副詞(場所を表す)
もちろん、関係副詞whereではなく関係代名詞whichを使って「場所」を表すことができないわけではありません。物事の位置関係を表すのが得意な前置詞(in、on、fromなど)と組み合わせることで、「ある場所の中で食べた」ことを強調することは可能です。
① the soba shop in which we ate last week
先週私たちが[中で]食べたそば屋② the soba shop (which) we ate in last week
先週私たちが[中で]食べたそば屋
その場合はこんな言い方をするのですが、①の例はかなり硬い表現です。②の例は会話でもよく使われる言い回しですが、関係詞節の中で場所を強調する前置詞を入れるなど扱いが難しいので、リズムに慣れるまでは無理に使わなくてもよいでしょう。
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※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年3月号に掲載している記事を再編集したものです。
イラスト:Satoshi Kurosaki
大竹保幹明治大学文学部文学科卒業。神奈川県立多摩高等学校教諭。平成23年度神奈川県優秀授業実践教員(第2部門)表彰。文部科学省委託事業英語教育推進リーダー。著書に『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』、『まんがでわかる「have」の本』(いずれもアルク)など。