ChatGPTを英語学習に使いたいけれど、具体的な活用法が見えていない人も多いでしょう。
単にAIの機能やプロンプトを学ぶだけでは「使いこなす」ことにはつながりません。解決するには、AIを使って自分の力で学び抜く思考術を身につける必要があります。
生成AIが英語学習に役立つ理由
生成AIが英語学習に役立つ理由は、以下のとおりです。
- 手軽に英会話・チャットの練習ができる
- カスタマイズした学習素材を無限に生成できる
- 質問や疑問を自分で解消できる
手軽に英会話・チャットの練習ができる
AIを活用した英語学習の最大の魅力は、いつでもどこでも気軽に英会話やチャットの練習ができる点です。
AI相手なら、間違いを恐れる必要はありません。人間相手のレッスンだと、どうしても「失敗したら恥ずかしい」と感じてしまいがちです。しかし、AIは感情を持たず、何度ミスをしても優しく対応してくれます。
予約も不要で、深夜や早朝など、自分の都合がよい時間に学習を始められる点もメリットです。
以下の記事では、AIと英語を知り尽くした研究者・山田優さんによる、ChatGPTを使った英会話練習の様子を動画で確認できます。
カスタマイズした学習素材を無限に生成できる
生成AIを活用すれば、自分のレベルや好みに合わせた練習問題をいくらでも用意可能です。
たとえば「TOEICパート5のサンプル問題を30問作ってください。」と指示すれば、その場で教材が完成します。
あなたのレベルや目的、興味に合わせて内容や難易度を自由に調整できるため、市販の問題集では物足りない人や苦手分野を集中的に練習したい人に最適です。
さらに、同じ形式の問題を何パターンも自動生成できるので、反復練習もはかどります。
質問や疑問を自分で解消できる
AIでの英語学習は、わからないことをすぐに聞ける専属の家庭教師がいるようなものです。
参考書の説明が難しくて理解できないときも、AIならすぐに質問できます。先生に質問するタイミングを待つ必要がなく、学習中に気になったポイントをその場で解消できます。
とくに文法や表現の違いといった細かい部分で力を発揮するでしょう。たとえば「"make"と"let"の違いを、初心者でもわかるように例文つきで教えて」と質問すれば、細かなニュアンスの違いを丁寧に解説してくれます。
または「この英語のメールは、ちょっと失礼な言い方になっていないかな?」と添削を依頼することも可能です。
AIで効率的に英語学習を進めるためのポイント
AIで効率的に英語学習を進めるためのポイントは、以下のとおりです。
- 自分自身について正しく把握する(メタ認知)
- 専門用語を使いこなす(メタ言語)
- 指示(プロンプト)の型を理解する
自分自身について正しく把握する(メタ認知)
AIを使った英語学習で成果を出すには「メタ認知」が重要になります。メタ認知とは、「自分の学習を客観的に見て、調整する力」のことです。
AIが学習をサポートしてくれる今の時代だからこそ、自分の得意・不得意を把握する力が英語力アップの鍵になります。
たとえば「わたしは英単語を覚えるのは得意だけれど、リスニングが苦手」と自分で気づけることがメタ認知の第一歩です。これまでは先生からのアドバイスで気づくことが多かったのですが、AIを活用すれば、いつでも自分の学習状況を分析可能です。
たとえば間違えた読解問題を複数個送って「これらの問題の共通点を分析してください」と頼めば、自分では気づけなかった苦手パターンを確認できます。
生成AIを活用した英語学習で重要な「メタ認知」については、以下の記事で詳しく解説しています。
専門用語を使いこなす(メタ言語)
AIで英語学習を効率よく進めるには「メタ言語」を活用するのがおすすめです。
メタ言語とは「言葉についての言葉」で、たとえば「関係代名詞」や「コロケーション」といった文法や語彙の専門用語のことです。こうした用語を使ってAIに質問すると、より具体的で役立つ回答が得られるため、学習効果が大きく高まります。
たとえば「この文の文法を教えて」ではなく「この文の関係代名詞の使い方を説明して」と尋ねれば、ピンポイントで詳しい解説が返ってきます。
料理のレシピのように正確な指示出しをして、学習効果を高めてください。
メタ言語については、以下の記事で詳しく解説しています。
指示(プロンプト)の型を理解する
AIを使った英語学習で成果を出すには、どのような指示(プロンプト)を出すかが重要です。
漠然とした質問ではなく、本当に知りたい部分だけに絞れば、時間を節約しながら疑問をすぐに解決できます。
たとえば「英文の意味がわからない」ではなく「この文で使われている"that"は、どのような働きをしていますか?」と聞くと、ピンポイントで的確な答えが返ってきます。
さらによい回答を引き出すには、プロンプトの型を学びましょう。
たとえばTOEICの問題を作ってほしいときは、最初に例題をいくつか見せてから「同じ形式で新しい問題を作ってください」と指示しましょう。
さらに「苦手な文法項目を分析して、改善策を提示してから、それに基づいた練習問題を作ってください」のように、ステップごとに進めれば、精度の高い学習教材が手に入ります。
プロンプトについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ChatGPTを最大限使いこなす便利機能
ChatGPTを最大限使いこなす便利機能は、以下のとおりです。
- カスタムGPT
- 音声認識・再生
- 画像生成
※ChatGPTに限らず、GeminiやClaudeなどの他の生成AIツールでも同じような機能があるので、ご自身の使いやすい生成AIで試してみてください。
カスタムGPT
ChatGPTで英語学習をもっと効率的に進めたいなら、自分専用の設定を活用しましょう。有料プランと無料版、それぞれで使える方法を紹介します。
【有料プラン】
有料プランをお使いの方は、カスタムGPT(GPTs)の作成がおすすめです。
左サイドバーから「Explore GPTs」→「Create a GPT」を選びます。
たとえば「TOEIC700点を目指す社会人です。リスニングと単語が弱いので、毎回その2分野の練習問題を作って、優しく励ましてください」と指示を入力するだけで、あなた専用の英語コーチが完成します。
【無料プラン】
設定画面の「パーソナライズ」から「カスタム指示」を登録 してください。全チャットに共通の指示として、目標レベルや苦手分野を設定しておけば、毎回同じ説明をする手間が省けます。どちらの方法でも、ChatGPTがあなたに最適化された学習パートナーになります。
音声認識・再生
ChatGPTには、英語学習を効果的にする音声機能があります。
【音声機能を使った英語学習の手順】
1.ChatGPTアプリを開く
2.画面下にあるマイクボタンを押す
3.英語で話しかける
4.スピーカーマークを押して、発音を確認する
なんと話しかければいいか英語が出てこない場合は、まず日本語で話しかけましょう。そのあとに「これを英語にしてください」と頼めば、AIが正しい英文を教えてくれます。
ただし、AIが教えてくれた英語をただ聞くだけでなく、必ず自分でも声に出して真似てみましょう。声に出すことで、発音とリズムが自然に身につきます。
自分の発音や表現に自信がないときは、「今の発音は合っていますか?」「ほかの言い方はありますか?」と日本語で質問してみてください。AIが丁寧にフィードバックをくれます。
画像生成
ChatGPTの画像生成機能を使えば、英検の面接対策や図表を使った問題が簡単に作れます。
たとえば、英検3級の面接で使われる以下のような問題カードを作ることが可能です。

【英検3級 問題カード作成プロンプト例】
あなたは英検3級の面接で使用する問題カードを作成する専門家です。以下の指示に従って、本番と同じ形式の問題カードを画像つきで作成してください。
問題カードの仕様:
【英文パッセージ】
語数: 30語程度
内容: 中学生が理解できる平易な英語
文体: 現在形中心の日常的な描写
【イラスト】
パッセージの内容を視覚的に表現
登場人物の動作や状況が明確にわかる構図
シンプルで見やすいデザイン
【質問構成(全5問)】
No.1: パッセージから情報を読み取る質問
(例: "What does Tom do on Sundays?")
No.2: イラストの人物の動作を説明させる質問
(例: "What is the man doing?")
No.3: イラストの状況を説明させる質問
(例: "How many books are on the table?")
No.4: 受験者自身の経験や意見を聞く質問
(例: "Do you like reading books?")
No.5: Yes/No質問+理由説明
Yesの場合 → "Please tell me more." Noの場合 → "Why not?"
精度の高い成果物を得るためには、プロンプトに具体的な条件を盛り込むことが重要です。あらかじめ作成したい形式の特徴や注意点をリサーチし、それらを指示文へ詳細に反映させるようにしてください。
一発で理想通りの問題カードが作れない場合もあります。その場合は、出てきた結果に対して追加で指示を出して調整してください。
まとめ
ChatGPTを英語学習で使いこなせるかどうかは、AIで学び抜く思考術を身につけられるかにかかっています。
実際にどのように進めてよいか不安がある人は「 ChatGPT英語学習術 新AI時代の超独学スキルブック 」を手に取ってみてください。
AIと英語を知り尽くした著者が、生成AIの能力を引き出すスキルとフレームワークを解説しており、真の意味でAIを使いこなす思考術が身につきます。
TOEIC対策から英会話まで、今すぐ使えるプロンプト例も紹介しているので、独学で英語を学びたい人に最適です。



