本記事では、英文法の効率的な学習法と、TOEICのサンプル問題を使った文法問題の解き方を解説します。英文法学習におすすめの教材も5つ厳選して紹介します。英文法の勉強を何から始めたらよいか迷っている人は、参考にしてください。
文法学習が重要な理由
文法学習が重要な理由は、以下のとおりです。
- 英語力の土台になる
- リーディング・リスニングのスピードに直結する
英語力の土台になる
英文法を身につけることは、英語力の土台をつくるために欠かせません。なぜなら、英語は語順を変えると意味がまったく変わるため、単語の知識だけでは自分の考えを相手に伝えきれないためです。
たとえば「The cat chased the dog.」と「The dog chased the cat.」では、主語と目的語が入れ替わるだけで、追いかける側と追いかけられる側が逆転してしまいます。文法を誤ると、伝えたい内容とはまったく異なる意味として相手に伝わるので注意が必要です。
文法を理解して使いこなせるようになると、自分の意見や感情をより正確に表現できるようになります。
リーディング・リスニングのスピードに直結する
英文法をしっかり身につけると、リーディングやリスニングのスピードが格段に上がります。
文法の理解が不十分だと、文章を読むたびに構造を考える時間が必要になり、内容理解が追いつきません。たとえば長文読解では、関係代名詞や分詞構文を瞬時に見抜けないと、どこまでが主語でどこからが述語なのか判断するだけで時間がかかってしまいます。
リスニングも同様で、文法パターンが頭に入っていないと音声のスピードについていけません。英文法を理解すれば、早く正確に内容を理解できます。
文法学習を効率的に進めるために意識するべきこと
文法学習を効率的に進めるために意識するべきことは、以下の4つです。
- まずは中学レベルの基礎を固める
- 使う教材は1つに絞る
- 丸暗記ではなく、ルールを「理解」することを目指す
- アウトプットも意識する
まずは中学レベルの基礎を固める
英文法の勉強を始めるときは、中学レベルの基礎を確実に理解してから次のステップに進んでください。
基礎が曖昧なまま、いきなり自分の目的(英会話やTOEICなど)に合わせた教材で学習すると、文法の土台が抜けているため、理解できない箇所が頻繁に出てきて効率が悪いです。
使う教材は1つに絞る
英文法を勉強するとき、使う参考書は必ず一冊に絞ってください。同時並行で複数の教材に手を出すと、どれも中途半端に終わってしまう可能性があります。
知識を定着させるためにも、1つの教材に繰り返し取り組み、深く理解することが重要です。
丸暗記ではなく、ルールを「理解」することを目指す
英文法を勉強するときは、丸暗記ではなく「なぜその答えになるのか」のルールを理解してください。暗記に頼ると応用がきかず、少し形が変わった問題で対応できないためです。
ルールを理解するには、問題を解いた後に解説をしっかり読み込むことが重要です。正解した問題でも、なぜその選択肢が正しいのか、ほかの選択肢がなぜ間違いなのかを確認しましょう。さらに、学んだルールを自分の言葉でノートにまとめたり、友人に説明したりすると理解が深まります。
具体的な問題の解き方については、後述します。
アウトプットも意識する
英文法を学ぶときは、学んだ知識を実際に使うアウトプットも行いましょう。インプットだけでは知っている状態で止まってしまい、使えるレベルまで到達しません。
アウトプットの方法としては、学んだ文法を使って英語日記を書いたり、声に出して独り言で練習したりする方法があります。
アウトプットは、自分が本当によく使う場面を想定して行ってください。社会人なら「この書類はいつまでに必要ですか?」などのフレーズです。実際に使う場面を想定すれば、感情がのって記憶に残りやすくなります。
実践的な文法問題のアプローチ
ここでは、特に入試や試験のために文法学習をする人に向けて、文法問題の解き方を解説します。
文構造を推定する
文法問題を解く際は、まず空欄の前後を注意深く観察し、文の骨格(SVOC)や修飾関係を分析しましょう。
以下の例文で文構造を推定してみます。
After choosing Michael as team leader, the manager gave him a ------- overview of the project .
(A) comprehend
(B) comprehending
(C) comprehension
(D) comprehensive
【文構造の推定】
- S (主語): the manager(マネージャーは)
- V (動詞): gave(与えた)
- O₁ (間接目的語): him(彼に)
- O₂ (直接目的語): a ------- overview of the project .(プロジェクトの__な概要を)
動詞 gave は、「SがO₁にO₂を与える」という形を取る第4文型(SVO₁O₂)です。
入るべき品詞を特定する
文構造が分かったら、適切な品詞を選びます。
先ほどの例で見てみましょう。
After choosing Michael as team leader, the manager gave him a ------- overview of the project .
【品詞を特定する考え方】
1.文構造の分析から、a ------- overviewが直接目的語(O)であることが分かった
2.目的語になれるのは名詞のみ(名詞句・名詞節含む)
3.したがって「a ------- overview」全体で1つの名詞句を形成する必要がある
4.空欄は冠詞aと名詞overviewに挟まれている
5.英語では「冠詞+形容詞+名詞」という語順ルールがある
6.よって空欄には名詞overviewを修飾する形容詞が入る
よって答えは、(D)のcomprehensive(総合的な)になります。
上記のようなTOEICのパート5形式の練習問題を以下の記事で紹介しています。ぜひ挑戦してみてください。
単語の知識も重要
文構造の理解は問題を解く助けになりますが、当然語彙力も重要です。英文法と並行して単語学習も進めてください。
単語学習に終わりはないため、毎日少しずつ覚えていく習慣をつけてください。1回で完璧に覚えようとせず、同じ単語帳を何周も繰り返し復習しましょう。同じ単語に何度も触れることで、記憶に定着しやすくなります。
単語学習には、スキマ時間に効率よく学習できるアプリの活用がおすすめです。特に、AI機能を搭載したアプリを使えば、間違えた問題を忘れない最適なタイミングで出題してくれるため、知識の定着率を大きく高められます。単語学習におすすめのアプリは、以下の記事で紹介しています。
おすすめ英文法教材5選
英文法を学べるおすすめの教材として、以下の5つを紹介します。
- Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル
- 大岩のいちばんはじめの英文法
- 関正生の英文法ポラリス[1 標準レベル]
- Santaアルク
- Next Stage 英文法・語法問題[4th EDITION]
Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル
本書は、中学3年間の英文法をわずか1ヶ月で修了できる、初級者向けの内容です。解説を読んだあとに演習を行い、さらに会話形式で実践確認する3段階構成で定着を図ります。
最後の修了テストで達成度を測れるため、自分の弱点を把握して復習に活かせます。音声も無料でダウンロードできるので、リスニングやスピーキングの練習も可能です。
Mr. Evineの中学英文法を修了するドリルは、アルクの専用学習アプリ booco でも利用可能です。boocoでは、書籍をアプリで読めるだけでなく、書籍の内容をもとにした単語クイズやリスニング問題にも挑戦できます。クイズ形式で繰り返すことで、学習内容がしっかり定着します。
大岩のいちばんはじめの英文法
本書は、中学レベルの超基礎から徹底的にわかりやすく解説した英文法の入門書です。東進ハイスクール講師の大岩秀樹さんによる講義形式の説明で、TOEICや英検などの資格試験にも通じる土台づくりに最適です。
専用アプリでは音声学習が可能で、再生速度や回数を自由に設定できるため、リスニングや音読練習にも活用できます。
関正生の英文法ポラリス[1 標準レベル]
本書は、スタディサプリの人気英語講師である関正生先生が、全国の入試問題から厳選した375問の文法・語法問題が掲載されています。
四択・整序・正誤問題など多様な出題形式を通じて、重要な文法項目を繰り返し学習できる構成です。各問題には3回分のチェック欄が設けられており、反復練習により確実な知識定着が図れます。
Santaアルク
TOEICに向けて文法を強化したい方は、TOEIC対策に特化したアプリ「Santaアルク」がおすすめです。
パート5・パート6の対策をAIを活用したユーザー一人一人の得意・苦手に合わせてAIが作成するカリキュラムで効率的に学習できます。
文法を鍛えれば、パート5・6での正答率が上がるだけでなく、長文読解が出題されるパート7のスコアも伸びます。文章構造分析機能を使えば、SVOやSVCといった文の構造が可視化されるため、読解力も同時に高めることが可能です。
Next Stage 英文法・語法問題
大学受験対策を進めたい方は、Next Stageがおすすめです。入試に必要な文法・語法・イディオムの知識が1冊に凝縮されており、中堅大学なら高得点を狙えるレベル、難関大学なら合格点に到達できるレベルまで網羅しています。
専用サイトからダウンロードできる音声データを使えば、正しい発音で問題文を暗唱する練習や、聞き取った英文を書き出すディクテーション練習に取り組めます。
まとめ
英文法の学習を始めるときは、まず、中学レベルの英文法を徹底的に固めてください。その後、自分の目的に合った教材を選んで学習を進めましょう。穴埋めの問題は、空所の前後をしっかり確認し、適切な品詞を特定してください。演習時は「なぜその答えになるのか」を自分の言葉で説明することで力がつき、点数に直結します。英文法の学習を始めるにあたり、今回紹介した教材もぜひ検討してみてください。




![大学入試問題集 関正生の英文法ポラリス[1 標準レベル]](https://image-ej.alc.co.jp/images/Fp8OeDZRTzknIOHn9LK6k8BC.webp)
