TOEIC L&Rテストの日程、受験地、受験料や申込方法、スコアシートの見方などの基本情報など、「どんなテストなの?」という質問に全て答えます。さらに、テストの構成や形式、問題数をはじめ、最新の出題傾向、勉強法やおすすめの参考書や問題集まで、英語公用語化企業はじめ全国210社以上で研修を担当してきた、TOEICスコアアップ請負人、Jay(ジェイ)こと早川幸治さんが、TOEICの概要から対策法まで、受験する全ての方に知ってほしい情報をまとめて解説します。
※本記事中の「TOEIC」は「TOEIC(R) Listening & Reading Test」=「TOEIC(R) L&Rテスト」を指します。
目次
学習にお悩みの方に向けて解説します!
こんにちは。早川幸治(Jay)と申します。
私はTOEIC学習法セミナーなどを中心に、これまで全国210社以上で研修を担当してきた他、大学・高校などでも指導をしています。小手先のテクニックのみに頼らず、「やればできる」という学習への自信を得るために、上達のプロセスを体感していただくことの他、学習の習慣化へと至るサポートをしています。
また、TOEIC教材を50冊以上出版させていただきました。過去15年以上にわたりTOEIC対策の指導をし、TOEICの受験回数も130回を超え、傾向を押さえながら指導や執筆に生かしてきました。
この記事では、TOEICの基本情報から、TOEICに必要な力、英検の合格級と関連付けた目標スコアの設定方法、さらにパート別に必要な学習法やおすすめ教材まで、TOEIC対策をさまざまな切り口から紹介します。
これからTOEICの学習をスタートする方はもちろん、これまで学習してきたけれどどうも思うように学習が進まない」「スコアが伸びない」といった悩みをお持ちの方にも役立つよう、私自身の指導経験や受講生のスコアアップ事例を基に解説しています。
そもそもTOEICってどんなテスト?
正式名称
正式名称は「TOEIC(R) Listening & Reading Test」といいます。
どんな技能を測るテストか
主に仕事で使われている英語を「聞く」力と「読む」力を測るテストです。
なお、学校の中間テストや期末テストのように「学習範囲をどれだけ理解できているか」を測る「到達度テスト」とは異なり、TOEICは10~990点を指標として、受験者の英語力がどの位置にあるかを示す「習熟度テスト」であり、現在地を測るテストです。
テストの構成
リスニングテストでは約45分間、リーディングテストは75分間で、それぞれ100問ずつ出題されます。紙の問題用紙とマークシート方式の解答用紙を使って実施されます。指示を含め、テストは英文のみで構成されています。
対象者
受験資格や対象年齢は特にありません。個人でも、企業などの団体でも受験できますが、試験日程や受験料が異なります。団体受験には、「団体特別受験制度(IPテスト)」と「公開テスト団体一括受験申込」という2つの制度があります。
「団体特別受験制度(IPテスト)」は団体が希望する日程と会場(オンラインも可能)で受験するもので、「公開テスト団体一括受験申込」はTOEICを実施している国際ビジネスコミュニケーション協会が設定した日程、会場で受験するものです。
IPテストのオンライン版は24時間受験可能、受験時間も2時間ではなく1時間と、利便性が高いのが特長です。
スコアは学校や職場でどのように利用されているか
TOEICのスコアは、社会人のキャリアアップや海外赴任、学生の入学試験や就職活動、またボランティア参加などに活用されています。
特に、学生の場合は自己啓発や就職(活動)のために受験する方が多いようです(※1) 。
また、企業では研修前後の実力診断、昇進や昇格の基準として受験されることが多いようです(※2)。
※1 参照元:IIBC「英語活用実態調査(大学、高等学校他)2019」
※2 参照元:IIBC「英語活用実態調査(企業・団体、ビジネスパーソン)2019」
世界でどれくらい利用されているか
TOEIC Program(※3)は、世界160カ国、約14,000の企業・教育機関で利用されています。日本全体では2021年度、TOEIC Program全体で、約3,000の企業・団体・学校に利用され、総受験者数は230万人です。
※3 「TOEIC(R) Program」は、TOEIC Listening & Reading Test、TOEIC Speaking & Writing Tests、TOEIC Bridge Listening & Reading Tests、TOEIC Bridge Speaking & Writing Testsから成る。
平均スコアの高い国と日本の順位
TOEICは世界各国で実施されています。2021年の受験者平均スコア上位5位は下記の国々です。
順位 | 国 | スコア |
---|---|---|
1位 | ドイツ | 826点 |
2位 | チリ | 807点 |
3位 | レバノン | 800点 |
4位 | イタリア | 794点 |
5位 | フィリピン | 793点 |
気になる日本はというと、受験者数が500人以上の国45カ国のうち31位で、平均スコアは574点です(※4)。
※4 参照元:IIBC「2021 Report on Test Takers Worldwide : TOEIC Listening & Reading Test」
テストの構成、各パートの問題形式&問題数
リスニングセクション(Part 1~4)
リスニングセクションは下記の4つのパートから成る計100問です。
Part 1 写真描写問題(6問)
問題用紙に載っている写真1つにつき4つの短い説明文が放送され、その中から最も適したものを選びます。
問題用紙に印刷されているのは写真のみです。
Part 2 応答問題(25問)
「お客さんとの打ち合わせには車で行くの?」など、質問もしくは報告が流れます。続いてそれに対する応答が3つ読まれるので、その中から最もふさわしい答えを選び解答用紙にマークします。
質問も応答の選択肢も問題用紙には印刷されていません。
Part 3 会話問題(39問)
2人または3人の人物による会話を聞きます。続いてそれに関する質問(「この女性が電話をかけてきた目的は?」など)が読まれるので、問題用紙に記載されている4つの選択肢から最も適するものをマークします。1つの会話文につき設問は3つずつあり、中には問題用紙に印刷された図表と会話内容を関連付けて答える必要がある問題もあります。
問題用紙には設問と選択肢のみ印刷されています。
Part 4 説明文問題(30問)
留守電に吹き込まれたメッセージやCMのナレーションなど、まとまった長さの音声を聞きます。その後「発言者は何時に迎えに来ると言っていますか?」などの関連した質問に答えます。4つの選択肢があり、その中から最も適するものをマークします。1つの説明文につき質問は3つずつあり、中には問題用紙に印刷された図表と説明文の内容を関連付けて答える必要がある問題もあります。
問題用紙には設問と選択肢のみ印刷されています。
リーディングセクション(Part 5~7)
リーディングセクションは下記の3つのパートから成る計100問です。
Part 5 短文穴埋め問題(30問)
一部が空欄になっている短い文を読み、空欄に当てはまるものを4つの選択肢から選び解答用紙にマークします。
Part 6 長文穴埋め問題(16問)
メールやニュース記事など、一部が空欄になっている長い文書を読み、空欄に当てはまるものを4つの選択肢から選び解答用紙にマークします。1つの文書につき、4つの設問があります。
Part 7 1つの文書(29問)、複数の文書(25問)
チャットの画面や新聞の記事、広告など、いろいろな種類の文書が印刷されています。「この広告によると、ディスカウントを受けるにはどうしたらいいでしょうか」などの設問を読んで、4つの選択肢の中から最も適切なものを選び解答用紙にマークします。各文書には設問が2問から5問あります。前半に1つの文書、後半に複数の文書を参照して解く問題があります。
どれくらいのスコアを取ればいい?
スコアが示す英語能力レベル
IIBCが公開しているProficiency Scale(TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表)によると、それぞれのスコアレベルについて以下の想定がされています。
スコア | コミュニケーション能力レベル |
---|---|
~220点 | コミュニケーションができるまでに至っていない。 |
220~470点 | 通常会話で最低限のコミュニケーションができる。 |
470~730点 | 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる。 |
730~860点 | どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている。 |
860点~ | Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる。 |
企業・学校が求めるスコア
2019年に企業や団体、ビジネスパーソンを対象に行われた「英語活用実態調査」によると、企業が要件とするTOEICスコアの平均は、「新卒採用」の場合545点、「英語を使用する部署の中途採用」だと620点です。
また、同年大学や高校を対象に行われた「英語活用実態調査」によると、学生に最低限必要だと思うスコアは、「入学時」に395点、「卒業時」に591点という結果が出ています(※5)。
※5 参照元:IIBC「英語活用実態調査(企業・団体、ビジネスパーソン)2019」「英語活用実態調査(大学、高等学校他)2019」URL前掲
英検とTOEICスコアとの対応表
TOEICスコアとそれに相当するCEFR(Common European Framework of Reference for Languages/ヨーロッパ言語共通参照枠)、英検の級の目安はそれぞれ下記の表のとおりです(※6)
※6 日本英語検定協会「各種目的に応じて求められる英検(R)の品質についての考え方、ならびにその活用に関するガイドライン」、IIBC「TOEIC(R) Program各テストスコアとCEFRとの対照表」を参照し作成した表。
TOEICスコアの算出方法
具体的なスコアの算出方法は公開されていません。リスニング、リーディングそれぞれの結果が5~495点の5点刻みで表されるので、合計点は10~990点です。
受験する回によってスコアが大きく変動してしまわないよう、高度な統計処理でスコアの一定化が図られており、「1問〇点」という加点方式ではありません。
「公式TOEIC Listening & Reading問題集」シリーズ(IIBC[国際ビジネスコミュニケーション協会])には、素点とスコアの換算表が付いていますので、模試を解いて「TOEICのスコアが何点くらいになるか知りたい」というときはこれを参考にするとよいでしょう。
試験日程や受験料、申し込み方法
試験日程
2023年3月現在、月1、2回のペースで、午前・午後の2回実施されています。なお、受験地によって実施回数は異なります。
受験地
北海道から沖縄まで、全国各地の会場で受験できます。公式ホームページから最寄りの受験地を確認して申し込みましょう。
【公式】受験地別テスト日程|TOEIC Listening & Reading Test|【公式】TOEIC Program|IIBC
受験料
2023年3月現在の受験料は、以下のとおりです(価格は全て税込み)。
【個人】
①公開テスト:7,810円(リピート割7,150円)(※7)
【団体】
①IPテスト:4,230円(賛助会員価格3,130円)(※8)
②公開テスト団体一括受験:団体が設定する価格
※7 一定の条件下で繰り返し受験すると適用される割引価格のこと(適用条件について詳細はこちら)。
※8 IIBCに入会金及び会費を納める会員のこと。
申し込み方法
インターネット上で、下記のページから申し込みができます。申し込みにはTOEIC SQUAREの会員登録が必要です。
【公式】テスト申込|TOEIC Listening & Reading Test|【公式】TOEIC Program|IIBC
申し込み受付期間
例えば、2023年6月10日実施回のインターネット申し込み受付期間は、3月16日(木)10:00~4月7日(金)15:00締め切りです。申し込み忘れのないよう気を付けましょう。
試験結果はいつ分かる?公式認定証の読み取り方
試験結果の通知方法
テスト結果(公式認定証)は、試験日から約30日以内に郵送されます。試験日から2年の保管期間内であれば、再発行も可能です。申し込み時に「テスト結果インターネット表示」の「利用する」にチェックを入れると、試験後約17日たつとインターネットでスコアを確認できます(スコアが開示されたタイミングで、TOEIC SQUARE[TOEIC SQUAREについては、「申し込み方法」を参照]に登録したメールアドレスにお知らせが届きます)。
スコアに有効期限はある?
TOEICスコアに有効期限はありません。ただ、スコアを提出する先(企業や学校など)で取得期間が指定されている場合があり、あまり古いものだと認められない可能性があります。
公式認定証の読み取り方
公式認定証は上から上段、中段、下段の3つに分かれています。
上段:取得スコアとPercentile Rank
上段右側にリスニングスコア、リーディングスコア、トータルスコアが記載されています。
また、「Percentile Rank」という棒グラフのようなものがあり、これを見ると「自分が受験者全体の中でどれくらいの位置にいるか」が分かります。例えば、Percentile Rankが91%とある場合、あなたの取得したスコアに満たない受験者が全体の91%いること(つまりあなたが上位9%にいること)を示しています。
中段:Score Descriptors(レベル別評価)
ここには「Score Descriptors」(レベル別評価)が記載されています。「〇〇点前後のスコアを取得する受験者には一般的に以下のような長所がみられます」とある部分です。リスニング・リーディングそれぞれでスコアが3段階のレベルに分けられ、「それぞれのレベルでどのような長所があるか」が読み取れます。また、認定証には記載されていませんが、一般的な弱点についてはこちらで確認できます。
下段:Abilities Measured(項目別正答率)
ここには「Abilities Measured」(項目別正答率)が記載されています。リスニングなら「短い会話、アナウンス、ナレーションなどにおいて詳細が理解できる」、リーディングなら「文書の中の情報をもとに推測できる」など、それぞれ5項目(計10項目)について、あなたの正答率が棒グラフで表示されています。
グレーで塗りつぶされているのがあなたの正答率、▲と数字で示されているのが同じ問題を解いた受験者の平均正答率です。ここから「具体的に自分はどの項目が強いのか、または弱いのか」といったことが読み取れます。
下記の記事では、Abilities Measuredについてより詳しく解説しています。
学習する上で意識すべきポイント
スコアを伸ばすために必要な力
TOEIC L& Rテストでスコアを伸ばすために必要な力が3つあります。
- 英語力:単語力や文法力など知識となるもの
- 情報処理能力:知識に基づき、英語のまま理解したり、速く読んだりするスキル
- 対策力:時間配分やパート別・問題タイプ別の解答技術
「勉強してもスコアが伸びない」や「英検2級を持っているのに400点しか取れない」、「読めばわかるのに、聞くとわからない」など、学習者が持つ悩みはさまざまです。受験者の数だけ悩みがあると言えますが、全ての悩みの原因は、これら3つの力のいずれかに分類できます。
例えば、「わからない単語があって理解できない」は英語力、「単語はわかるけど、速く読めない」は情報処理能力、そして「わからない問題で悩み過ぎてしまう」は対策力に関する悩みです。
もちろん最も大切な力は英語力ですが、その英語力を情報処理能力に転化させ、さらにテストで実力が発揮できるようにチューニングしなくては、実力通りのスコアを取ることができません。
最新の出題傾向
TOEIC L&Rテストに必要な3つの力は今の形式になる前から共通しているものの、現在のテストには以前とは異なる傾向があります。
まず、Part 3(会話問題)、Part 4(説明文問題)、Part 7(読解問題)など、いわゆる長文系のものについては、以前よりも選択肢が長くなっています。これは具体的な情報の特定よりも、ストーリーの展開を理解できているかどうかを求める問題が多く出題されているのが理由です。そのため、「答えの待ち伏せ」や「答え探し」といった解答技術だけでなく、知識とスキルを高めることがスコアアップのカギとなります。
また、Part 2(応答問題)においては、質問への直接的な応答だけでなく、「コミュニケーションが成り立つかどうか」という応答の意図を理解する必要のある問題も多く、難易度が高いものが出題されます。
さらに、リスニング・リーディングともに出題されるテーマの幅が広がっています。それに加えて、「ストーリーの理解」や「文脈の理解」を求める問題が多く、解答技術の対策だけでは対応できないものがあります。このような傾向の変化からもわかるように、知識としての英語力の他、英語の内容を素早く理解するスキルとしての情報処理能力が求められるのです。
何点を目標にして、どこから学習を始めればいい?
英検を基にした目標スコアの目安
目標スコア設定をどうすればよいか迷う方もいらっしゃるかもしれません。1つの方法は、英検の合格級を目標スコア設定の目安とすることです。
なお、英検が求める力とTOEICが求める力には違いがありますし、同じ級に合格した人でも、余裕で合格した場合とギリギリ合格した場合では実力の差があります。
そのため、以下はあくまで目安として捉えていただき、模試を解いて換算点を確認しながら、より高いスコアを目指したり、少し控えめにしたり、と調整してみてください。なお、「英検を受けたことがない」という方は、次の「英検を受けたことがない方の目標スコアの目安」をご参照ください。
英検準2級:目標TOEIC 500~600点
【対策のカギ:ビジネス系の語彙力を伸ばしつつ、まずは短文系問題から】
既に英検準2級をお持ちであれば、500~600点を目指すことをおすすめします。
しかし、英検準2級の知識のままTOEICを受験すると、350~400点程度となることが多いようです。そこでまず必要となるのが、ビジネス系の語彙力とリスニング力です。
日々の学習の中で、ビジネス系の語彙力を伸ばしながら、Part 2(応答問題)、Part 3(会話問題)、Part 5(短文穴埋め問題)など、比較的学習しやすいパートから優先的に学習するとよいでしょう。
特にPart 5に関しては、英検準2級までの知識でカバーできる文法項目がほとんどです。しかし、語彙がビジネス系のものであったり、構文が複雑になっていたりするため、問われている文法に気付かないケースが多くあります。
500~600点を目指す場合、英文が短いものから学習し、徐々に長文系に進むことで、TOEICの内容に慣れつつ、語彙力を高めることができます。なお、英語に苦手意識がある方は、単語とリスニングの学習を優先するとよいでしょう。
500~600点対策としておすすめの学習順
Part 1→Part 2→Part 5→Part 3→Part 4→Part 6→Part 7
英検2級:目標 TOEIC 650~800点
【対策のカギ:長文系問題の対策を重点的に】
英検2級をお持ちの方は、650~800点を目指せます。
英検準2級をお持ちの方向けに述べたように、高いスコアを取るためにはTOEICが求めている知識とスキルを身に付ける必要があります。
ただ、このレベルの方はリスニング・文法・リーディングにおいて高い英語力を持っていてTOEIC向けにチューニングしやすい状態にあるため、スコアに反映されやすいでしょう。
目標スコア達成のカギになるのは、Part 3(会話問題)、Part 4(説明文問題)、Part 7(読解問題)など、長文系の内容の理解* です。ビジネスの場面に関する内容や表現、ストーリー展開を学ぶことが求められます。
既に身に付けている英語力を、英語のまま素早く理解するスキルへと高めることを意識してください。「読めばわかるけど、スピードについていけない」とか、「時間があれば読み終えられるけど、時間が足りない」など、情報処理能力が不足しているケースが多いため、音読やシャドーイング、ストップウォッチを用いた速読など、トレーニングによるスキルアップが必要です。
650~800点を目指す場合、学習のしやすい、英文が短いものから入りつつ、重点的にPart 3、Part 4、Part 7に時間を費やすことをおすすめします。また、問題タイプ別の解法を学ぶことで、時間を有効活用できるようになります。
650~800点対策としておすすめの学習順
Part 2→Part 5→Part 3→Part 4→Part 7→Part 6→Part 1
英検準1級以上:目標TOEIC 860点~
【対策のカギ:「先読み」を一旦忘れて、ストーリーの展開を意識】
既に750点を超えている方や英検準1級以上を持っている場合は、860点以上を目指すとよいでしょう。
TOEIC対策を行ってきた学習者であれば、Part 3とPart 4における設問の先読みは普段から実践されている方も多いでしょう。Part 7においても、設問を読んだ上で、本文から答え探しをしている方も多いと思います。
でも、もしかしたら、その「設問を先に読むこと」が本文の理解を邪魔しているかもしれません。設問を先に読むことによって、その情報だけを聞き取る/読み取るという意識が働いてしまい、ストーリーでの理解がおろそかになることが多くあります。
その結果、情報を特定すればよいだけの問題には余裕で答えられるものの、ストーリーの展開を理解しないと解けない問題の正解率が低くなる傾向があります。
私が講座やセミナーの中において、ある程度TOEIC対策をしてきた上級者に対して行うアドバイスの中で最も多いのが、「先読み」の解答テクニックを一度忘れて練習してみることです。
例えば、Part 3やPart 4は設問の先読みをせずに取り組んだり、Part 7は本文を読んでから設問に取り組んだりすることによって、本文のストーリー展開を意識できます。その結果、「意外とやりやすかった」という感想を持たれる方が多いのです。もし「解きづらい」と感じた場合は、その原因はストーリーの理解不足です。
テスト本番では、設問の先読みをすることで効率的な解答が可能となりますが、練習中は本文の理解を優先することをおすすめします。
また、860点以上を目指す場合は、リーディングセクションで最後まで読み切るスピードが必要です。そのため、伸びしろの多いPart 7の学習から始めることでスコアアップに役立ちます。
読むスピードは一朝一夕には速くならないので、日常的にまとまった英文を読む習慣を付けるようにしてください。
ストーリーの理解を優先するために、長文系のものから学習します。Part 5やPart 2などの短文系のものについても、ポイントだけの理解ではなく、素早く内容を理解するスキルを磨くことで、テクニックに頼らない力が付きます。
860点以上の対策としておすすめの学習順
Part 7→Part 3→Part 4→Part 5→Part 6→Part 2→Part 1
英検を受けたことがない方の目標スコアの目安
英検の合格級を目安に目標スコアを設定する方法は既にご紹介しましたが、英検を受けたことがない方や、初めてTOEICを受験する方は何点を目指せばよいか迷うかもしれません。そこで、次のような設定の仕方もあります。
- 英語が苦手な方:400~500点
- 就職活動で使いたい方:600点以上
- 英語を使う仕事や大学院を目指す方:730点以上
TOEICを運営するIIBCのサイトに「目標設定お助けツール」があるため、こちらを参考にしてもよいでしょう。
対策する期間はどれくらいにすればいい?
現在の英語力と目標スコア達成の英語力の差によって期間は異なりますが、100点伸ばすには200~300時間が必要と言われることがあります。
短期間で大幅なスコアアップを達成する方もいらっしゃいますが、それはすでに高い英語力を持っていて、そこに情報処理能力と対策力が加わった結果です。
英語力を伸ばすには長期的な取り組みが必要ですから、目安として3カ月・6カ月・9カ月・12カ月と、3カ月ごとに学習期間を設定するとよいでしょう。
まずは学習スタートから3カ月後にテストを受験してみることで、学習習慣をつくりながらTOEICで求められる英語力の基礎固めを行い、うまくいけばこの期間に大きくスコアを伸ばすことができます。
仮に最初の3カ月でスコアが思うように上がらなかったとしても、それまでの3カ月の学習により手応えを感じたりや新たな課題に気付いたりできるので、次の3カ月の学習目標も設定しやすくなります。
パート別対策・勉強法
次に、レベルに合わせたおすすめのパート別対策法をお伝えします。
目標スコアを達成するために「正解数を増やす」という意味では、初級の方ほど、限られた英語力の中でより多くの正解を出さなければならないため、解答技術が必要です。そこからだんだんとレベルが上がるにつれて、英語力や情報処理能力でカバーできる範囲が増えるため、解答技術の必要性は薄れていきます。
Part 1(写真描写問題)
英語表現の他、時制の表現にも意識を向けてください。
The man is typing on a keyboard.(男性がキーボードをタイプしている)のように、人物の動作を表す現在進行形を基礎として、Some cars are parked on the street.(自動車が道路に駐車してある)のように状態を表す現在形、The dishes have been served.(料理が提供された状態である)のような状態を表す現在完了形、さらにThe room is being cleaned.(部屋が掃除されている最中である)のように動作を受けている最中を表す現在進行形の受動態の4つの時制が使われます。
解答する際には、消去法も活用することで正解を選びやすくなります。
650点以上を目指す場合は、学習をする際には(A)~(D)全ての選択肢の情景をイメージすることをおすすめします。別の写真で出題された場合、全ての選択肢が正解になる可能性があるからです。易しいパートだからこそ、知らない表現をなくしていきましょう。
Part 1の攻略法をもっと詳しく知りたい方はこちら
Part 2(応答問題)
初級では、まずWhenやWhereなど質問のポイントを聞き取れれば正解しやすいWH疑問文や、決まり文句(Sure.やSounds good.など)で応答することの多い依頼・提案・申し出の問題が攻略しやすいでしょう。
Did you submit the report to the manager?(マネジャーにレポートを提出しましたか)など意味の理解が求められるYes/No疑問文は難易度がやや上がります。
「読めばわかるのに、英語のスピードが速くて聞き取れない」という場合は、内容を理解した上で音読のトレーニングをすることで、徐々に「音と文字のギャップ」が埋まり、スピードにも慣れて聞き取りやすくなります。まずは正解数よりも、トレーニングを重視することで、スキルが上がります。
650点以上を目指す場合は、内容の理解を追求してください。直接的に応答するものだけでなく、意図を含む応答に対応できる力が必要です。
例えば、「このレポート読みましたか?」「まだです」という直接的な応答だけでなく、「このレポート読みましたか?」「それは最新版じゃないですよね」のように、 発言に意図がある応答の攻略がハイスコアへの鍵となります。
コミュニケーションが成り立つかどうかによって発言の意図を理解する必要があるため、このような問題に対応するためにも、Part 2の25問に取り組む際に、あなた自身が25個の質問や報告を受けているという意識で聞くとよいでしょう。
Part 2の攻略法をもっと詳しく知りたい方はこちら
Part 3(会話問題)
会話には「店員と買い物客」「駅員と乗客」のように登場人物の役割がはっきりと分かれているものと、オフィスでの会話のように登場人物の役割がはっきりとは分かれていないものの2種類があります。
難易度は前者のほうが低いため、初級の方はまずこちらを優先的に学習することをおすすめします。
問題を解く際には、先に3つの設問を読んでおくことで、必要な情報を事前に確認することができます。まずは3問中2問正解を目指してください。選択肢が短く読みやすい問題や、会話中の単語を選べば正解になる易しめの問題の正解率を高めていくとよいでしょう。
What does the man ask the woman to do?(男性は女性に何をすることを依頼していますか)やWhat does the woman suggest the man do?(女性は男性に何をすることを提案していますか)のように、依頼や提案が問われている場合も、内容が聞き取りやすい傾向にあります。
一方で、選択肢が長いものや、発言の意図を問うもの、図表の内容と関連させるものは、内容の正確な聞き取りが求められます。正解数を増やすためには、聞こえた単語を選ぶだけでなく、ストーリーの理解が不可欠です。
そこで、話の展開の特徴を理解しておきましょう。冒頭で「誰と誰」「どこ」「何について」という状況がわかり、徐々に具体的な内容へと入っていきます。
3問セットのうち、基本的に1問目は状況に関する問題が多く、2問目・3問目は具体的な情報についての問題です。このストーリー展開を把握できるようにするためにも、英文の内容と日本語訳を理解した上で音読トレーニングを行うことが大切です。
Thank you very much.やI’m sorry.などは集中しなくても理解できるように、会話をまねして何度も声に出す練習をすることで、会話で使われている表現を身に付けられますし、ストーリーの展開をつかむことができるようになります。
650点以上を目指す方は、3問中3問正解を目指し、目標スコアに応じてその精度を高めていく必要があります。ストーリーの正確な理解が不可欠ですから、練習においては先読みをしなくてもある程度正解できる力を磨いておくとよいでしょう。先読みをしないで会話を聞く練習は、ストーリーの理解度を高めます。
この力を磨いた上で、本番に向けた直前の準備で設問の先読みを改めて行うことで、英語力と情報処理能力の向上を感じることができるでしょう。この練習でリスニング力を大幅に伸ばす方が多くいます。
Part 3の攻略法をもっと詳しく知りたい方はこちら
Part 4(説明文問題)
基本的に、Part 3と同様の対策が可能です。
ポイントは設問の先読みによる準備と、ストーリーの理解です。留守番電話やアナウンス、宣伝、ニュースなど、1人が情報を提示するPart 4は、タイプごとに典型的なストーリー展開があります。
留守番電話であれば、「名乗る→目的を伝える→詳細を伝える→締め」といった流れですし、トークであれば「あいさつをする→目的を伝える→詳細を伝える→締め」といった流れが一般的です。いずれのタイプにおいても、冒頭で目的や概要が伝えられ、具体的な内容へと入っていきます。
初級の方は3問中2問の正解を目指し、目的に関する問題や、選択肢が短めの問題を優先的に攻略してください。
ストーリーの展開を理解するためにも、問題を解いた後は、音読トレーニングがおすすめです。その際には、同じタイプのトークをいくつか続けて音読する*とよいでしょう。例えば、留守番電話を3~5つ連続して音読することによって、共通する留守番電話の展開の他、留守番電話でよく使われる表現をまとめて学習することができます。
650点以上を目指す方で、すでに設問の先読みをして問題を解いている場合は、ストーリーの理解度を高めるために、Part 3同様、先読みをせずに解く練習がおすすめです。この練習法で理解度を上げた後に、設問の先読みを組み込むことで、より高いレベルで正解率を安定させることができます。3問全てを正解することを目標に、目標スコアに応じてその精度を高めていきましょう。
Part 4の攻略法をもっと詳しく知りたい方はこちら
Part 5(短文穴埋め問題)
全30問のうち、文法問題と語彙問題が約半分ずつ出題されます。まずは文法項目別に学習することで、どのような問題が登場するかに慣れてください。
毎回必ず出題される項目は、品詞、代名詞、動詞の形、接続詞/前置詞です。
特に品詞問題は、文法問題の約半分(7、8問)を占めるため、優先的に学習することをおすすめします。
語彙問題は、選択肢の語句を知っているかどうかではなく、空所に入る語句を特定するためのポイントを本文から読み取ることが求められます。reserve a room(部屋を予約する)やincrease significantly(大幅に増加する)のようなフレーズの知識が問われることが多いため、語彙学習をする際には単語の日本語訳を学ぶだけではなく、フレーズや文の中で学習するようにしてください。
650点以上を目指す方は、「素早く正確に解くこと」が求められます。語彙問題は相性がありますが、文法問題の弱点をなくすことで高い正解率を維持することができるようになります。
Part 5は知識が問われるパートのため、時間をかけてもかけなくても正解数はあまり変わらないという特徴があります。時間をかけても正解数が増えないという場合は、知識の限界が原因と考えられるので、弱点を克服する学習が必要です。
また、リーディングは時間配分がカギになりますので、Part 5は模試問題を活用して10分以内に解けるようにしておくとよいでしょう。
Part 5の攻略法をもっと詳しく知りたい方はこちら
Part 6(長文穴埋め問題)
数字のとおりPart 5とPart 7を足して2で割ったパートが、Part 6です。
1セットにつき4問の解答時間が計2分半から3分で、それが4セットあるため、合計で10~12分での解答が目安です。
穴埋め問題ではありますが、読解力が問われています。初級の方も中級の方も、Part 5が苦手な場合は、Part 6も苦手なことが多いため、先にPart 7を学習して読解力を磨くことをおすすめします。
初級の方は、文選択問題(空欄に入る最も適切な1文を選択する問題)を後回しにして、文法問題と語彙問題を優先するとよいでしょう。Part 5の語彙問題は難しい語句も入っていますが、Part 6の語彙問題の選択肢は易しめのものが多くあります。これは、語彙を知っているかどうかではなく、文脈を読み取れるかどうかを測っているためです。
650点以上を目指す場合は、文選択問題や話の展開を示す接続副詞問題(空欄に入る最も適切な接続副詞[Therefore]やHoweverなど]を選択する問題)などの攻略がポイントです。これらの問題では、前後の話の展開を関連付けて読むことが求められます。代名詞(itやthisなど)や話の展開を示す語句(ThereforeやHoweverなど)もヒントにしながら、素早く正確に読むことで、Part 6の正解率アップの他、Part 7の理解度アップにもつながります。
Part 6の攻略法をもっと詳しく知りたい方はこちら
Part 7(読解問題)
リーディングセクションの半分以上(54問)を占めるPart 7では、素早く正確に内容をつかむ読解力が求められます。
時間配分は1問1分ペースのため、目安は約55分です。
また、本文の内容を言い換えた選択肢を選ぶ必要があり、豊富な語彙力も必要です。とはいえ、まずは読むスピードよりも正確に読める力を高めることが大切です。
初級の方は、短くて読みやすい文書やadvertisement(広告)から学習することをおすすめします。これは、短い文書を使って話の展開を理解したり、文書の構造を把握したりすることが、長い文書の理解につながるためです。
また、ビジネス文書に慣れるまでは、設問を先に読み、本文から答えを探すことから始めると取り組みやすいでしょう。特に具体的な情報が問われているものに優先的に[取り組むことで、本文から情報を見つける検索力を鍛えることができます。
例えば、What will the new members receive?(新しい会員は何を受け取りますか)という設問の答えとなる情報は、本文の中から新会員が受け取るものの情報を検索する力が問われています。設問が具体的なほど、情報が見つけやすい特徴があり、選択肢から正解を選びやすいでしょう。
なお、問題を解いた後には、必ず本文の内容をしっかりと読んでストーリーの展開を含めた内容を理解する学習をしてください。これにより、頻出表現や話の展開を学ぶことができます。リスニングのPart 3やPart 4と同様に、Part 7のストーリーも冒頭で目的や概要が述べられ、徐々に具体的な内容へと展開していきます。
650点以上を目指す場合は、article(記事)のような語彙レベルが高い文書を読み取れる力や、より抽象的な設問にも正確に答えられる力が求められます。
例えば、What is indicated in the e-mail?(Eメールでは何が述べられていますか)やWhat is suggested about the new product?(新製品について何が暗示されていますか)など、本文のどこを読めばよいかわからない設問では、本文の内容を把握した上で選択肢の内容と照合することになり、本文だけでなく選択肢の正確な読み取りが必要です。
まず設問を読んで本文から答えを探す方法ではなく、本文を読み取った上で設問に答える練習が、読解力の向上につながります。
マルチプルパッセージでは、2つまたは3つの文書を読んで解答することが求められるため、文書間に散らばっている情報を関連付ける必要があります。しかし、基本的な読み方は1つの文書を読んで解くシングルパッセージと変わらないため、各文書の冒頭で目的や概要をつかみ、具体的な情報への展開を読み取ることを意識してください。
Part 7の攻略法をもっと詳しく知りたい方はこちら
【分野別】TOEIC学習におすすめの教材
ここでは、TOEICスコアアップにつながるおすすめの教材をご紹介します。
単語帳のおすすめ
初級向け
書き込みながら、何度も見て、何度も聞いて、何度も異なる角度から触れることで確実に単語を身に付けることができます。1冊終えられると自信も付きます。
中級以上向け
TOEICに特化した単語学習教材で、頻出フレーズを頭にインストールできます。無駄のない学習ができるため、文法の基礎力を持っている方であれば、リスニング・リーディングともに理解度アップに直結する即戦力となる教材です。
総合対策
初級向け:パート別に対策をして弱点を克服するための教材
分かりやすい図解などを通して、TOEICに求められる知識やスキルを磨くことができます。基礎知識から解答アプローチまで効率的に学習が可能です。
中級向け:パート別に対策をして弱点を克服するための教材
現在500~600点台の方向けに、730点対策に特化した教材です。40日分のプログラムの中で、解答技術を磨きながら総合的なスキルアップを目指せます。
上級向け:パート別に対策をして弱点を克服するための教材
英検1級を持っているような上級者向けには、必要なレベルのみに絞って難しめの問題を中心に対策をすることで、時間を効果的に活用することができます。
「テスト本番まで時間がない!」というときに対策力を高める教材
400点レベルから800点を超えるレベルまで、11日間のプログラムでスコアアップしやすい順番に学習できる対策教材です。既にある英語力をTOEICに向けてチューニングすることができます。
リスニング対策
初級向け
リスニングが250点未満の方におすすめの本です。「読めば分かるけど聞くと分からない」という文字と音のギャップが大きい方は、易しいドリル形式が最適です。問題を解くだけでなく、音声をまねして繰り返し音読することで、英語特有の発音やリズムが身に付き、リスニング力が上がります。
中級向け
項目ごとに大量の問題に取り組めるため、各問題タイプやストーリー展開のパターンをつかむ練習に最適です。「スピードに付いていけない」「ストーリーを追えない」という方は、音読やシャドーイングなどのトレーニング教材としても活用してください。
リーディング(Part 5&6対策)
初級者向け
Part 5で出題される文法問題の解き方を効率的に学べます。シンプルなフレーズや英文で学べるため、解答ポイントを理解することができます。
中級者向け
頻出文法問題や語彙問題をタイプ別に学ぶことができます。また、大量の問題に取り組むことで解答パターンを身に付けやすい特徴があります。
英検準2級以上を持っていて文法の基礎力がある方におすすめです。文法とは「文の法則」ですから、学習のコツは項目別に学習してパターンを習得することです。この本では、Part 5で出題されるタイプの文法問題を解きながら、体系的に学習することができます。苦手な文法項目がある場合は、学習参考書等で補足するとよいでしょう。
リーディング(Part 7対策)
初級者向け
シャドーイングを通して、リーディングスピードを高めていく教材。読む力と解く力を同時に高めたい方に。
中級者向け
英文を英語の語順で理解できるようにするために、スラッシュリーディングを通したトレーニングが行えます。
問題タイプ別に大量の問題に取り組むことで、解答パターンや情報の展開パターンを学べます。また、会話調の解説の中で間違いやすい選択肢にも目を向けることができるため、解答の精度を高めることができます。
実力チェックや本番対策に!模試本
TOEIC L&Rテストを作成しているETSが制作している公式教材です。リスニングでは本番に登場するナレーターの声で練習もできます。
細かく弱点分析もできる他、著者・ヒロ前田さんによる全問解説動画の特典もあり、模試を活用しながら独学したい方におすすめです。
アプリもおすすめ
AI英語教材abceed
無料版でも、教材音声ダウンロードや音声速度変更機能、自動採点マークシート機能などが利用できます。公式TOEIC問題集なども、このアプリのマークシート機能を活用して採点することで、他のユーザーの正解率を参考にできます。
その他の教材については、濵﨑潤之輔さんがまとまめられた「ハマーチャート」を参考にしてみてください。
モチベーションを保ち、勉強を続けるためのコツ
毎日の学習を継続するための仕組みづくり
三日坊主の原因は意志の弱さではなく、学習すると決めたことを忘れてしまうことです。そこで、毎日学習するためのスケジュールをつくることで、確実に継続できる仕組みができます。
おすすめは3日分の予定を立てること。料理をされる方は、3カ月分の献立を考えることはないと思います。どんなに長くても1週間分ではないでしょうか。英語学習の場合、まずは「今日・明日・あさって」の3日分だけでOKです。
コツは、「いつ・どこで・何をするか」を明確に決めることです。「朝ご飯を食べたら、単語教材を5ページ音読する」のように、毎日の行動の前後に学習を埋め込むことなども効果的です。
実際に3日間学習してみて、計画どおりにいかなかった場合は、スケジュールを軌道修正して、次の3日分を実践します。そしてまた次の3日分、と続けることで、学習を忘れることなく継続できるようになります。3日分×7回繰り返すと3週間となり、習慣化しやすくなります。
学習時間帯のおすすめは朝です。1日の中で最も頭がスッキリしているのが朝のため、学習効率も高くなります。毎日オフィスに通勤されている方は、通勤時間に学習を組み込むこともできますし、テレワークの方は自宅または近所のカフェなど、場所に応じた学習を考えることで、時間を有効活用できます。
例えば、「歩いているときに英文を聞きながらシャドーイングをする」とか、「電車内で単語学習」とか、「オフィス前のカフェで始業前に30分問題集をやる」など、場所に合った学習プランをつくることで、毎日考えなくても学習に入れるようになります。
モチベーションの保ち方
モチベーションを「やる気」と訳す場合、「やる気」は感情ですから、アップダウンするのが基本だと思ってください。モチベーションが高いときは自然と学習にも身が入ると思いますが、モチベーションが下がったとしても自然と高まる仕組みを持っておくとよいでしょう。
例えば、正解率が低くなるとやる気を失いがちですが、問題解答以外でも英語を聞く/読むことで、TOEICで学んだ単語や表現に出合えるため、学習効果を感じられます。SNSなどで学習記録を発信したり、学習者の投稿を読んだりすることで、刺激を共有することもできます。
学習をしてすぐに手応えを感じられれば、上達していることを実感できます。しかし、英語学習は上達を感じにくいものの一つです。3日間集中して学習したからといって、いきなり聞ける/読めるようになるわけではありません。いくらやっても成長していないように感じるかもしれません。
そんなときは、手応えだけでなく「悩み」にも注目してみてください。ロールプレーイングゲームで主人公が成長するに従って敵が強くなるように、英語学習においても、自分の成長に合わせて悩みが変わります。
例えば、「単語が全然わからない」という悩みが「単語は見たことあっても意味が出てこない」という悩みに変わったら、「見たことある単語が増えた」という上達を示していますよね。悩みが変わったら、それは成長している証拠だと思ってください。
挑戦を楽しもう!
ここまでお読みいただきありがとうございます。もしかしたら、英語やTOEICは、あなたを苦しめる鬼のような存在に見えることがあるかもしれません。しかし、学習に取り組めば取り組むほど上達することも事実ですし、英語力が高まることでスコアにも反映されます。
TOEIC学習によって得られるものは、英語力やスコアだけではありません。英語力やスコアを伸ばしたことによる自信や、英語力やスコアを伸ばしたプロセスで得られる上達のコツ、さらに今は想像すらしていない新しい自分にも出会えます。
スコアアップを達成した多くの学習者が言う言葉があります。それは、「いろいろなことに挑戦するようになりました」ということです。TOEICへの挑戦が、また新たな挑戦につながっていきます。挑戦を楽しんでください!
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英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。