濱崎潤之輔さんと星名亜紀さんの交互執筆連載!通勤電車の中で、バスを待っている間に、寝る前の時間やお昼休憩、家事の合間に・・・。忙しい中でもなんとか時間を見つけてTOEIC(R)L&Rテストのスコアアップを目指したい人のための学習法を紹介します。第5回では、星名さんが、英単語の効果的な学習方法やおすすめ教材を紹介します。
効果的な英単語の覚え方を紹介
皆さんこんにちは!英語コーチの星名です。
TOEIC L&Rテストのスコアアップのための学習を、「単語学習」「リスニング対策」「文法問題」「長文読解」と分けたとき、皆さんが好きなもの、逆についつい避けてしまうものはどれですか?
英語学習者の方とお話ししていて、「苦手です!」とおっしゃる方が圧倒的に多いのが、「単語学習」と「長文読解」です。
今回の記事では、 英単語の効果的な学習方法やおすすめ教材 などについてお話ししたいと思います。
1000語覚えれば景色が変わる!
英単語はなかなか覚えにくいですし、モチベーションをキープするのも難しいですよね。
モチベーションをキープするには、「あ、聞けるようになった!読めるようになった!」と自分の成長を感じられることが一番だと思うのですが、そもそも単語を100個覚えたくらいでは変化を感じることはありません。本当に英語力を伸ばしたければ、 覚悟を決めて、1000個単位で単語を覚えてみる のが一番です。
以前ある雑誌で、英語講師の関正生先生が、「視力に例えると、英単語を100個覚えただけでは視力は0.1上がったくらい。でも、1000個覚えたら1.0上がるくらいの変化が感じられる」と書かれていたのが印象に残っています。自分の経験からも、本当にその通りだと感じています。
私自身、それまで英単語学習に苦手意識があり避けていましたが、英検1級合格を目指すにあたって、覚悟を決めて取り組みました。何度も諦めたい気持ちになりましたが、「ここを乗り越えなければ先はない!」と思い、毎日継続。
『英検1級 でる順パス単』 の半分くらい(1000個くらい)を覚えたところで、 明らかに見える景色が変わった のが実感できるようになりました。真っ白の霧の中からやっと抜け出して視界が晴れたようで、特に、長文問題では正答率がグーンと上がりました。
英単語を覚えたことのメリットは、試験問題が解けるようになったことだけではありません。洋書を読んだり、英語のニュースを聞いたりしたときの理解度にも明らかに変化を感じられるようになりました。
「今はとりあえずTOEICのスコアアップのために学習している」という方も多いかもしれませんが、長期的に考えても、今伸ばした語彙力は必ず皆さんの英語との関わりを充実させてくれるはず。
さぁ、覚悟を決めて(これ大事!)一緒に単語学習に取り掛かりましょう。
「TOEIC対策」の英単語学習で意識すべきことは?
皆さんは学生時代、英単語をどのように覚えていましたか?
私が中高生のときは、英語の授業中にある単語テストに向けて、「とにかくノートに書きまくる」という学習方法をしていた記憶があります。
スペルを間違えないように、シャーペンの芯で手の側面が黒くなるまで何度も何度も書いて覚えました。学校の単語テストでは、発音が間違っていても関係なし。英語のスペルが合っているか、もしくは正しい日本語訳ができているか、それだけが評価されていたため、「正しい発音ができているか」「正確に音が聞き取れているか」といったことは気にせず単語学習をしていました。
そのため、「書けるけど読めない」もしくは「変な発音のまま単語を覚えてしまい、正確な発音を聞いても、その単語であることに気付けない」ということがよくあったような気がします。
皆さんは今、 その単語を「正しく書けるようになる」必要はありますか?
もしかすると、英検対策やTOEFL、IELTS対策で英作文の練習をされている方にとっては必要かもしれません。しかし、皆さんがTOEICのL&Rテストをメインに学習されているのであれば、「書けるようになる」ことの優先順位はかなり低いのではないでしょうか。 TOEIC L&Rテストのための英単語学習で大切なことは、「見たら意味がわかる」そして「聞いたら意味がわかる」という状態をつくること です。
さて、ここで「英語を聞いても理解できない理由」について考えてみたいと思います。
理由はさまざまあると思いますが、まず一つ目は、 そもそも単語を知らない場合 。二つ目は、 単語の意味は知っているのに、発音を間違えて覚えている場合 。そして三つ目は、 リンキングや音の脱落のせいで知っている単語にもかかわらず聞き取れない場合 です。
二つ目に関しては、例えば、TOEICの頻出単語でもある “allow”。allow+人+ to doで、 「?に・・・させる」という意味で、TOEICではもちろん、日常英会話の中でもよく使われます。この “allow” は「アロー」ではなく「アラウ」と発音されますが、もしあなたが「アロー」と覚えているとしたら、パッと聞いたときにこの単語と結びつかないかもしれません。
また、三つ目に関しては、例えば、”Where’s ~?”という簡単な英文であっても、「ウェアー イズ・・・」と音を認識していると、「ウェズ」と発音されたときに認識することができません。
『公式TOEIC L&R問題集4』をお持ちの方は、TEST 2のPart 2、Q. 12やQ. 23を聞いてみてください。きっとご自身の思っている“Where is”の発音との間にギャップがあるはず。
でも、ここで「whereとisがつながったら、こんな発音になるんだ!」と認識しておけば、次に同じ音が出てきたときにしっかりと理解することができるでしょう。ちなみに、この対策としてはシャドーイングが効果抜群です。
こうして考えてみると、 単語学習はただ意味を覚えればいいだけではなく、しっかりと耳を使って学習していくことが非常に大切 なのです。今はほぼすべての単語帳に音声アプリやCDがついています。それらを活用し、ぜひ耳を使った英単語学習をしていきましょう。
【レベル別】スキマ時間学習におすすめの英単語帳
何か買うわけでなくても、なぜかつい立ち寄ってしまう本屋さん。最近では電子書籍派の方も増えているかもしれませんが、私は紙の書籍が結構好きで、本屋さんでいろんな本に囲まれていると幸せな気分になります。
あれもこれも・・・と手に取っていると、全部必要に思えてきてしまいますが、TOEICの問題集に関しても単語帳 に関しても、 「これ!」と決めたら浮気をせず、1冊をやり切ることがとても大切 です。
目標スコアが~800点の方におすすめ
私がTOEIC受験初心者から目標スコア600~800点くらいまでの方におすすめしている単語帳はこちらの2冊です。すでにお使いの方も非常に多いとは思うのですが、TEX加藤先生の 『TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ』 と、濱崎潤之輔先生の 『TOEIC(R)L&Rテスト 本番そのまま プラチナボキャブラリー』 。
とにかく小さくて持ち運びに便利なものが好きな方には『金フレ』、単語だけ覚えるより文章で文脈を理解しながら覚えたいという方には『プラチナボキャブラリー』をおすすめしています。
初心者から目標スコア600~800点の人におすすめの英単語帳2冊
私はどこに行くにも、いつも単語帳か文法のテキストを1冊持ち歩いています。そして、ほんの少しでも時間があれば取り組むことを習慣にしています。
「この本もあの本もできるかも!」と思ってたくさん持ち歩いても、結局すべてやることはなく、ただ重いだけだと気付いてから(笑)、「今日はこれ!」と決めたものを持ち歩くようにしています。
そして、駅で電車を待つ時間や、打ち合わせの前に10分時間が空いたときなどに、すかさず単語帳を取り出します。
第3回の記事でご紹介したように、基本的に単語は朝の時間を使って耳から「ながら学習」をすることが多いので、あまりテキストを開いて勉強することはないのですが、目も手も空く時間ができたらテキストも使います。
何度も耳から聞いていて、聞き覚えのある単語の意味をしっかり確認し、定着度を高めるようにしています。
▼第3回の記事はこちら!
ej.alc.co.jp目標スコアが800点以上の方におすすめ
TOEIC800点を超え、更に語彙力アップを目指したい方には、藤枝先生の 『TOEIC L&R TEST 上級単語特急 黒のフレーズ』 がぴったり。特急シリーズは軽くて持ち運びに便利なので、単語帳以外にもスキマ学習にぴったりのものばかりです。
特急シリーズ。単語以外にも、文法や読解、リスニングなどいろいろなジャンルがカバーされている
英単語の定着には「丁寧さ」より「繰り返し」が重要
英単語学習がスキマ学習にぴったりだと思う理由の一つが、 英単語の習得には繰り返しが欠かせない から。
皆さんの中にも「エビングハウスの忘却曲線」をご存じの方がいらっしゃるかもしれません。あることを暗記した後、1日後には節約率が34%だったのに対し、1カ月後には21%にまで低下したと言われています。
「節約率」とは、最初に記憶するのにかかった時間に比べて、同じものをもう一度完全に記憶し直した際に、どれくらい時間(または回数)を節約できたかを示す数字です。つまり、時間が経てば経つほど、記憶し直すのに時間がかかってしまうということです。
「私は記憶力が悪いから、英単語が全然覚えられない!」と思っている皆さん、それはあなただけではなく、ほかの人も同じということ!少しだけ安心しますよね。
では、どうしたら忘れるスピードをゆっくりにし、効果的に単語学習をすることができるのでしょうか。それには「完全に忘れる前に、繰り返し学習をすること」が欠かせません。
記憶が曖昧になってきた段階でもう一度その単語に触れることができれば、少しずつその単語の定着度を高めていくことができるのです。そのため、私は毎日最低でも10分、1日2回(朝と夕方)は英単語に触れる時間をつくるようにしています。
ある程度記憶が定着すれば、1週間後、1カ月後、3カ月後と復習の頻度を低くしてもしっかりと記憶に残しておくことができるようになります。
じっくり一つ一つの単語を丁寧に覚えていくよりも、スキマ時間を見つけたら、サクッと単語帳を開いて英単語に触れるのがおすすめです。 一度の学習は浅くてもいいので、何度も繰り返し単語に触れていくようにしてみましょう 。
スキマ時間学習におすすめのアプリ
スキマ時間を活用して英単語を覚えていくには、アプリの活用もおすすめです。私がいちばん利用しているのは 「abceed」 。
英単語の音声を聞けることはもちろん、有料会員になればクイズ形式のゲームで繰り返し英単語学習をすることができるので、定着度を高めるには非常に効果的なアプリです。
ちなみに、このアプリには英単語だけではなく文法の教材もあり、月額2,200円(税込)の有料会員になれば、さまざまな教材を無制限で利用することが可能です。
「abceed」以外にも、 「mikan」 を愛用されている方も多いですね。
ぜひご自身にあったアプリを見つけて、ちょっとした時間を活用し、語彙力をアップさせていきましょう!
濱崎潤之輔さんによる第6回記事は2021年7月13日(火)公開予定!
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