濱崎潤之輔さんと星名亜紀さんの交互執筆連載!通勤電車の中で、バスを待っている間に、寝る前の時間やお昼休憩、家事の合間に・・・。忙しい中でもなんとか時間を見つけてTOEIC(R)L&Rテストのスコアアップを目指したい人のための学習法を紹介します。第7回では、星名さんが「公式問題集を使ったリスニング学習法」を紹介します。
目次
公式問題集の活用法
皆さんこんにちは!英語コーチの星名です。
連載最終回となる今回は、スキマ時間で公式問題集を活用し、リスニング力をアップする方法をご紹介したいと思います。
TOEIC対策をしようと思ったとき、おそらく皆さんがまず手に取るのは、『公式TOEIC Listening & Readingテスト問題集』(以下、公式問題集)かと思います。
TOEIC公式スピーカーの音声付きで本番クオリティの問題を解けるため、TOEICスコアアップに欠かせない教材です。しかし、 実はこの公式問題集をしっかりと使いこなせていない方が非常に多い んです。
ちなみに、皆さんは公式問題集を何度くらい解いていますか?もしかして、2?3回解いて満足していませんか?
私が英語学習者の方に「公式問題集を数回解いておしまいにせず、何度も解くと力が付きますよ!」とアドバイスすると必ず返ってくるのが、「でも、なんとなく答えを覚えてきてしまったんです。それでもやる意味がありますか?」という反応です。
これに対する私の答えは、「もちろんです!」。むしろ、そこからが皆さんの学習のスタートなのです。
Part 1とPart 2を使ったディクテーション法
TOEIC初心者の方におすすめしているのが、Part 1とPart 2の英文を使ったディクテーション練習です。
まずは、公式問題集Part 1のQ1の音声を聞いてみましょう。Q1の4つのセンテンスすべてを一気に聞くのではなく、一文一文、音声を止めながら聞いて大丈夫です。
一度で聞き取れない場合は、5回でも10回でも繰り返し聞いて、「もうこれ以上聞いてもわからない!」と思うところまで聞いたら、解説で英文を確認します。
Part 1ではそこまで難しい単語は出てきませんが、音がリンキングでくっついていたり、脱落していたり、スピードが速かったりして、書き取れなかったという箇所が出てくるかと思います。
このディクテーション練習は、つまずいたらすぐに解説を見て量をこなしていくのではなく、一つ一つ時間をかけて丁寧に進めていくことが大切です。
音声をただ聞き流すのと、「絶対書き取るぞ!」と気合いを入れて聞くのとでは、集中力がまったく違います。 リスニング力の向上には、「集中して」良質の英文をたくさん聞くことが重要 です。
スキマ時間が15分もあれば、Part 1またはPart 2の2~3問のディクテーション練習ができますので、毎日少しずつ継続して取り組んでいきましょう。
Part 3とPart 4を使ったシャドーイング法
これまで連載の中で、何度かシャドーイング(テキストを見ずに、音声だけを頼りに同じように発音していくこと)について触れてきましたが、私がいちばんよく取り組んでいるのがこのシャドーイングです。
とは言え、いきなりシャドーイングするのはかなりハードルが高いはず。まずはPart 3の中の一つの会話を選んで、何度か聞いてみましょう。大体の話の内容や、その話し手の状況が思い浮かべられるでしょうか。
何度か聞いてみた後は、解説の英文及び日本語訳を確認して、内容を理解してください。次に、音声を聞いてリピートやオーバーラッピング(テキストのスクリプトを見ながら音声と同時に発音すること)を繰り返し 、その英文に慣れていきましょう。
それなりにスラスラ読めるようになり、内容もしっかり理解できるようになったら、シャドーイング練習の土台の完成です!
あとは通学・通勤時間や家事の時間などを使って、繰り返しシャドーイング練習をしていきます。ペースの目安としては、最初のうちは一つの会話(例えばPart 3のQ32-34)を習得するのに2週間くらいかけても大丈夫です。毎日継続すれば、1ヶ月後には一つの会話を1週間でマスターできるようになるでしょう。さらに1年続ければ、1日でそれなりに精度を高めることができるようになっているはずです。
私は車に乗るとすぐに公式問題集の音声が流れるようにしているので、シャドーイングをするのが当たり前の日課になっています。以前は運転中が無駄な時間のように思えていましたが、シャドーイングするようになってからは、「英語学習できるからいいか!」と思えるようになり、苦痛ではなくなりました。
皆さんも、「この時間はシャドーイングの時間!」というようにマイ・ルーティンを決めて、ご自身の生活にシャドーイングを取り込んでみてください。
TOEICスコア900点以上の上級者におすすめの学習法
TOEICで900点以上を目指している方は、おそらくリスニングパートのスコアがほぼ満点に近づいているのではないでしょうか。
そんな方にぜひおすすめしたいのが、音声速度を1.3~1.5倍にしてリスニング問題をたくさん解くこと。通常、リスニングを100問解くと約45分かかりますが、1.5倍にして聞けば、30分で終わらせることが可能です。
例えば、お昼休憩でランチを15分で済ませ、残り30分程度あれば、その時間を問題演習に充てることができます。音声のスピードが速いということは、当然Part 3とPart 4の問題文を先読みする時間も短くなるということなので、先読みのスピードアップにも役立ちます。
この練習には、初見問題ではなく、何度か解いて全問正解できるようになった問題を使ってみてください。速いスピードでも英文をしっかり理解し、頭の中で処理することができるようになれば、リスニングだけでなく、リーディングパートのスコアアップも期待できます!
ただし、この学習法はリスニングがほぼ満点取れるようになった方におすすめの学習法なので、まだリスニングパートが450点以下の場合は、焦らず丁寧に問題を解いたり、シャドーイングの練習を繰り返したりする方がスコアアップに効果的です。
地道な継続こそ成果を生む
さて、この連載で私が担当する最後の記事となりました。
皆さん、ここまで記事を読んでくださりありがとうございました!
すでに仕事に家庭にと十分忙しい中で、さらに英語学習の時間を見つけることは、至難の業かもしれません。時間的に余裕があっても、疲れてしまって体力的、精神的にやる気が起こらないこともあるでしょう。
それはあなたが英語学習に向いていないというわけではなく、人間誰しも感じることです。私は、どうしてもTOEIC学習をする気になれないときには、「せめて勉強ゼロの日はなくそう!」と思い、文法を30問だけ解く、シャドーイングを10分だけやるなど、少しでも継続するよう心がけていました。
「どうしてもTOEICは嫌だ!」という日には、Netflixで海外ドラマや洋画を見る、オンライン英会話を受けてみるなど、ご自身が楽しめる方法で英語に触れるのでもいいと思います。
今努力した結果は、時間が掛かるかもしれませんが、必ず形になるはずです。今できることを地道に継続していきましょう。英語ができるようになった自分、英語力を使って新しいことに挑戦している自分の姿を想像したときの、ワクワクした気持ちも大切にしてくださいね。
これまでの連載で、少しでも皆さんの英語学習にお役に立てるお話ができたようでしたらとてもうれしく思います。
これからも一緒に、楽しみながら英語学習に取り組んでいきましょう!
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