アン・クレシーニさんの連載「英会話頻出ワード」の最終回。取り上げるワードはwork。「働き者」のアンちゃんが「一生懸命」記事を書きました(←カギカッコ内はworkを使って表現できます)。
目次
いよいよ連載、最終回!
前回の記事に書いた、私が日本に来たばかりの頃に犯した日本語の直訳ミスのことを覚えていますか。腕時計が壊れたときに、「私の腕時計は働いていない!」と不満げに言ったら、友達に「アンちゃんの日本語はかわいい」と言われた、という話です。
私は、英語のMy watch doesn’t work.に相当する内容を日本語で言いたかった。だから、「腕時計が壊れている」とか「電池が切れている」などと言うべきでした。
さて、このworkという言葉を使う表現は英語にとても多くあります。よく働くアンちゃんは、この連載最後の記事として、山ほどあるwork関連の表現について、どうしても書きたいと思いました。
そんなわけで、今回も始めましょう!
doesn’t work / isn’t working 動かない、壊れている
work用語のトップバッターは、最初にお話ししたdoesn’t workです。
例文を見ていきましょう。
My microwave isn’t working well these days. I think I need to get a new one soon.
最近、電子レンジの調子が悪い。そろそろ買い換えないといけない。
The remote control doesn’t work, so you have to change the channel manually.
リモコンが壊れているから、手動でチャンネルを変えないといけないよ。
The air conditioner isn’t working very well, so my house is so hot.
最近、エアコンの調子が良くないて、家がとても暑い。
「壊れている」のもう一つの言い方はon the fritzです。
Our freezer is on the fritz. We are going to have to buy a new one soon.
冷凍庫が故障しているの。そろそろ新しいのを買わないと。
The toaster oven is on the fritz. So you have to eat cereal.
オーブントースターの調子が悪いんだ。だから、シリアルを食べないといけない。
doesn’t workもon the fritzも、電化製品、電子機器によく使われます。
「人」にdoesn’t work, isn’t workingを使った場合は、そのまま「働いていない」という意味になります。
He isn’t working right now because he is undergoing cancer treatment.
彼は今、ガン治療を受けているので、仕事をしていない。
He doesn’t work full time, so it is hard to make ends meet.
彼はフルタイムで働いていないから、生計を立てるのが大変だ。
make ends meet: 生計を立てる、収入の範囲内でやりくりする
work / work out うまくいく
workにはto be successful(うまくいく)という意味もあります。
Their business relationship is working out really well.
彼らのビジネス関係は、とてもうまくいっている。
Their relationship didn’t work out.
彼らの(恋愛)関係はうまくいかなかった。
work outには異なる意味が想像以上にたくさんあります。以降で1つずつ見てみましょう。
work out (~を)解決する
私が好きな日本語の表現の一つは、「なんとかなるさ」です。物事がうまくいかないときに、「まあ、なんとかなるさ!」と考えるだけで少し楽になります。
この「なんとかなるさ」を英語で言うと、次のようになります。
Something will work out.
ここでのwork outは、「(~を)解決する」という意味になります。
例文を見ていきましょう。
Don’t worry! It will all work out.
気にしないで!全てなんとかなるさ!
I had a really big problem at work, but I finally worked it out.
仕事で本当に大きな問題に見舞われたが、やっと解決した。
We worked out all of our problems.
私たちは全ての問題を解決した。
ちなみに、「なんとかする」をworkを使わずに表現すると、次のようになります。
I will figure something out.
I will think of something.
なんとかする。
work out 運動する、筋トレをする
運動することを表すexerciseは、多くの人が知っている単語だと思います。これとよく似た語句にwork outがあります。
この2つの違いを簡単に説明すると、まず、exerciseは体を動かす全ての「運動」を表すことができます。散歩、水泳、筋トレ、バスケ、山登り、空手などはexerciseと言います。
一方、work outはスポーツジムなどで行う、心拍数を上げるような運動を指します。筋トレ、エアロビなどを表すときによく使います。
そして、work outはexerciseよりおしゃれに聞こえます。
I’m going to the gym to work out!
I’m going to the gym to exercise!
ジムでトレーニングしてくる!
work outを使う方がかっこよくて、本格的な感じがします。ちなみにwork outは動詞で、名詞ではworkoutという形になります。
例文を見てみましょう。
Exercise is important for a healthy life.
健康な生活に運動は欠かせない。
How often do you exercise?
どのくらいの頻度で運動しているの?
I don’t exercise at all.
運動は全くやらないよ。
I work out at the gym three times a week.
ジムで週3回、トレーニングしています。
I had a great workout yesterday. I ran 10 miles, did 500 sit-ups, and lifted weights for an hour. I feel amazing!
昨日のワークアウトはとても良かった。10マイル走って、腹筋を500回、ウェイトリフトを1時間やった。最高に気持ちいい!
The workouts for Olympic athletes are brutal!
オリンピック選手たちのトレーニングは本当にハードだ。
スポーツ選手のトレーニングを表すときは、よくworkoutやtrainingを使います。体を鍛えるハードな運動のため、ここではexerciseを使いません。
Major League Baseball players will begin their spring training next week.(〇)
Major League Baseball players will begin their spring workouts next week.(〇)
Major League Baseball players will begin their spring exercise next week.(×)
メジャーリーグの選手たちが来週、春季トレーニングを開始する。
「トレーニングを1日〇回行う」のように言うときは、次のようになります。
My basketball team will begin two-a-days from next week.
My basketball team will begin two-a-day workouts from next week.
私が所属するバスケットボールチームは来週、1日2回のトレーニングを開始する。
ちなみに「運動不足」は out of shapeで、その逆はin shapeと言います。
I was so out of shape, but last year I started working out and changed my diet. Now I am in the best shape of my life.
本当に運動不足だったが、昨年トレーニングを始めて、食生活を改善した。だから今、人生で最高の状態だ。
work on ~ ~を頑張る、~に取り掛かる、~に取り組む
Hold on, I’m working on it!
こんなフレーズを私はよく聞きます。何かに取り組んでいるとき、何かを変えようとしているときなどに使う表現です。
例文を見ていきましょう。
I’m working on a huge project at work.
私は、仕事で大きなプロジェクトに取り組んでいる。
She is working on a difficult math problem.
彼女は難しい数学の問題を解こうとしている。
What are you working on?
今、何をしている最中?
I am working on becoming a better person.
私は、もっと良い人間になろうと頑張っている。
work-horse 働き者
この語句は、文字通り「馬車馬のように働く人」という意味です。つまり、「よく働く人」です。とても頑張っているチームメンバーによく使われます。
He’s such a work-horse. He pitches whenever his team needs him and never gets injured.
彼は本当に働き者だ。チームが困っているときにいつでも登板できるし、全く故障しない。
She is a work-horse. No matter how many projects she is given, she always does them well.
彼女は本当に働き者だ。どんなに多くの仕事を任されても、必ず完璧に仕上げます。
work-horseと似た意味の単語にworkaholicがあります。しかし、前者はポジティブな意味合いですが、後者はどちらかというとネガティブです。
workaholicは、例えば「仕事中毒の人」に使います。仕事のし過ぎで、ゆっくりと過ごすことができない人を指します。
My Dad was a workaholic. He never took a day off.
父は仕事中毒だった。1日も休みを取らなかった。
I admit that I am a workaholic. It is hard to take time off.
私は自分が仕事中毒であると認めます。休むのは難しい。
Stop being such a workaholic! Take some time off and relax.
仕事し過ぎだよ!少し休んでゆっくりしなよ。
workとは関係ありませんが、中毒になりそうなくらいチョコレートが好きな人のことをchocoholicと言います。
Anne is such a chocoholic. She eats chocolate every day.
アンちゃんはチョコが大好き過ぎる。彼女はチョコレートを毎日食べている。
work hard 一生懸命に働く、頑張る、努力する
私が住んでいる場所の近くにある高速道路に、面白い標識があります。そこには「宮若」「若宮」と書いてあります。地元の人以外は、きっと混乱すると思います。
実は、福岡県鞍手(くらて)郡にある「宮田町」と「若宮町」が2006年に合併した結果、「宮若市」が生まれました。近くにある標識には、まだ「若宮町」が生き残っているという訳です。私はこの標識を見るたびに目まいを感じます。
さて、ここで「宮若」「若宮」に似たような英語について話そうと思います。それは、work hard、hard work、hardly workです。
まずはwork hardから。これは動詞で「一生懸命働く」という意味です。
例文を見ましょう。
I worked really hard on this research project.
この研究プロジェクトに全力で取り組んだ。
He works hard to provide for his family.
家族を養うために、彼は一生懸命働いている。
I worked so hard every day, but I still failed.
毎日、本気で頑張ったけど、それでも失敗した。
2つ目はhard workです。名詞で「努力」「きつい仕事」「勤勉」など、さまざまな意味があります。
Your hard work has really paid off! I am so proud of you.
あなたの努力は報われましたね!よく頑張りました。
There is no substitute for hard work.
努力に勝るものはない。
hard workのもう1つの意味は、「きつい仕事」です。
This is really hard work. Jeez.
この仕事は本当にきつい。参った。
Working in road construction is really hard work. Do you have the physical strength for it?
道路工事の現場仕事はとても大変ですよ。その体力はありますか。
hard以外の表現でも「きつい仕事」が表せます。
Man, this research paper is a ton of work!
やれやれ、この研究論文は大変だ!
Raising kids is a lot of work. It is not for the faint of heart!
子育ては骨が折れるよ。誰でも簡単にできるわけじゃない(弱い人にはできない)。
Renovating my house was a lot of work.
家をリフォームするのは本当に大変だった。
3つ目のhardly workは、「ほとんど働かない」という意味です。英語のだじゃれを紹介します。
A: I’m working hard!
B: Working hard? Or hardly working? Ha-ha!
分かりましたか?
A: 私は、一生懸命働いているぞ!
B: 一生懸命働いているの?それとも、ほとんど働いていないの?ハハハ!
やっぱり、訳すと全然面白くないですね・・・。申し訳ない。では、次にいきましょう!
work like a dog / work one’s fingers to the bone 死ぬほど働く
この2つの慣用句は、どちらも「死ぬほど働く」ことを意味します。
例文を見ていきましょう。
My father worked like a dog to provide for his family.
家族を養うために、父は死ぬほど働いた。
I worked like a dog during the Christmas season.
クリスマスシーズンの間、私はせっせと働きました。
He worked his fingers to the bone to become a successful businessman.
ビジネスマンとして成功するために、彼は休むことなく働いた。
My mom worked her fingers to the bone so I could attend private school.
私を私立学校に行かせるために、母は働きづめだった。
ちなみに、給料が低い仕事をすることをwork for peanutsと言います。
I have been working for peanuts most of my life. I want a better-paying job.
私はずっと低賃金の仕事をしている。もっと給料の良い仕事がしたい。
They hired those guys because they will work for peanuts.
あの2人は安い給料で働くので採用された。
get back to work 仕事に戻る
私は、休みの日にカラオケボックスで原稿などを書くことがあります。冬の間、家だと寒過ぎるから、暖房がついているカラオケ屋さんに行きます。私がよく行くところは9時間使って2000円以下。しかも、ドリンクもソフトクリームも付いています!安いですよね?そんな環境だと仕事がはかどります。合間に私が大好きな演歌も歌えます。でも、「やっぱり仕事をしないと!」と思ったら、マイクを置いて真面目に仕事に戻ります。そんな瞬間に英語でこんなふうに言います。
I have to get back to work!
休んだ後に「やっぱり、仕事!」と思ったときに言うセリフです。
I enjoyed talking to you, but I really have to get back to work.
あなたと話せて楽しかったけれど、もう仕事に戻らないと。
I really want to finish the movie, but I have to get back to work.
映画を最後まで見たいのですが、仕事に戻らないといけません。
get down to work 仕事に集中する
get back to workは「仕事に戻る」という意味でしたが、get down to workは「そろそろ集中しないと!」と言う意味です。
Yikes, I have a test next week. I really need to get down to work.
やばい!来週テストがあるので、そろそろ勉強しないと!
The project deadline is next Friday, so we need to get down to work.
この課題の締め切りは来週金曜日だから、本腰を入れないといけない。
get worked up 怒る、いらいらする
何か望ましくないニュースを聞いたり、嫌な出来事があったりしたときなどに使う表現です。
例文を見てみましょう。最初の例文は、私の夫がよく言っているかもしれません。アンちゃんは、バリ奇麗好きだから。
My wife gets really worked up when the house is a mess.
家が散らかっていると、妻はすごくいらいらする。
He got really worked up when he found out he had to work overtime.
残業しないといけないと分かって、彼はすごく怒った。
Don’t get so worked up!
落ち着いて!
まとめ
私は6年間、ENGLISH JOURNAL ONLINEで連載を持っていますが、もしかしたら、「英会話頻出ワード」の18回の連載が、最もやり甲斐のあるものだったかもしれません。記事を書きながら、改めて英語の深さと難しさに気付かされました。
1つの単語には使い方が山ほどあります。記事を書き終えたと思ったら、すぐにこれについても書きたい!と思い、原稿はどんどん長くなりました。その結果、ほぼ毎回の記事で、予定の文字数を大幅に超えてしまいました。担当の編集者をいつも困らせていたかもしれませんが、彼のおかげで毎回、私が満足するように記事が出来上がりました。
この連載が、皆さんにとって少しでも勉強になる内容だったとしたら、それは私が何よりも望んでいることです。
次回の連載も一生懸命頑張るバイ!
いつも私の記事をお読みいただきありがとうございます。次回の連載でも、よろしくお願いいたします!
本文写真:Tina Rataj-Berard, Sam Moghadam Khamseh, Alex Kotliarskyi, Hunters Race from Unsplash
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