『傲慢と偏見』のあらすじを英語で読む【教養あるアメリカ人が必ず読んでいる 英米文学】

アメリカ人が必ず読んでいる文学作品にはどのようなものがあるのでしょうか?この連載では、好評発売中の書籍『教養あるアメリカ人が必ず読んでいる 英米文学42選』で惜しくも載せきれなかった名作を、著者のジェームス・M・バーダマン先生がご紹介します。今回は、ジェーン・オースティンの『傲慢と偏見』です。

『教養あるアメリカ人が必ず読んでいる 英米文学42選』ってどんな本?

『教養あるアメリカ人が必ず読んでいる 英米文学42選』は、アメリカ人が大学卒業の頃までに読む本を、あらすじと、その作品が生まれた時代背景や作品の持つ価値と意義も併せて、英文で読むというコンセプトでつくられています。

日本語訳と語注付きなので、辞書なしでもOK。英語のリーディング力を養うとともに、アメリカ人の思想の原点にも触れられる一冊。本1冊につき250-750語の英語で紹介されていて、中級くらいの英語力をお持ちの方であれば、5分以下で読み切れます。もちろん日本語から読み始めても構いません。人生で一度は読んでおきたい英米文学を、この一冊で制覇しましょう。

今回は、本編の『42選』では紹介しきれなかった、ジェーン・オースティンの『傲慢と偏見』を読んでいきます!

英語で読むあらすじ

Jane Austen, Pride and Prejudice (1813)

This innovative novel focuses on the developing relationship between Elizabeth Bennet and Mr. Darcy, members of the English upper class. However, it remains relevant today in its portrayal of social attitudes in any country.

When they first meet at a ball, the witty Elizabeth is prejudiced against the proud Darcy, who refuses to dance with her. Over the following weeks, however, he becomes attracted to her intelligence and charm. After several encounters, he shocks her with a proposal of marriage. She turns him down, telling him that she thinks he is arrogant and very unpleasant. Darcy, however, is not easily discouraged. Within a short period of time, he writes a long letter to her explaining the reasons for the actions she has criticized. She begins to see him in a different light.

Elizabeth manages to visit his estate at Pemberley, while he is away. She learns from his servants that he is actually a very kind, generous person. She later learns that he has helped her own family avoid an embarrassing situation, without making it known to anyone.

Darcy’s aunt appears and insists that Elizabeth refuse to marry Darcy. Elizabeth responds that she is not engaged to Darcy, but anyway, she is the one who will make the decisions about her own happiness. Shortly thereafter, Elizabeth and Darcy open their hearts to one another, she accepts his proposal, and they marry.

Elizabeth’s independent spirit, and her rejection of pride and prejudice— assumptions about people based only on gossip and assumption—are delightful, even now.

日本語訳

ジェーン・オースティン『高慢と偏見』(1813年)

この革新的な小説は、イギリスの上流階級に属するエリザベス・ベネットとダーシー氏の関係の進展をめぐるものだ。
しかし、どの国の社会的通念も描いている点で、現代においても十分に意味がある。

舞踏会で初めて出会ったとき、機知に富んだエリザベスは高慢なダーシーに偏見を抱き、一緒に踊ることを拒む。しかしその後、数週間のうちに、彼は彼女の知性と魅力に惹かれていく。何度かの遭遇の後、ダーシーは彼女に結婚を申し込む。しかし彼女は、あなたは傲慢で不愉快な人だと思っていると言って断る。しかし、ダーシーは簡単にはあきらめない。すぐに彼は彼女に長い手紙を書き、彼女が批判した行動の理由を説明する。彼女はダーシーを別の角度から見るようになる。

エリザベスは、彼の留守中にペンバリーにある彼の屋敷を訪れる。彼女は使用人たちから、彼が実はとてもやさしく、寛大な人間だと聞く。その後、エリザベスは、彼が誰にも知られることなく、自分の家族が厄介な事態に陥らないよう助けてくれたことも突き止める。

ダーシーの伯母が現れ、エリザベスにダーシーとの結婚を断るように説く。エリザベスは、ダーシーとは婚約していないが、とにかく自分の幸せは自分で決めると答える。その後まもなく、エリザベスとダーシーはお互いに心を開き、彼女は彼のプロポーズを受け入れ、結婚する。

エリザベスの独立心と、プライドや偏見――つまりうわさ話や思い込みだけで人を決めつけること――を拒絶する姿勢は、今読んでも楽しい。

語注

  • innovative 革新的な、刷新的な 
  • relevant 関係のある、今の時代にふさわしい 
  • portrayal 描写 
  • ball 舞踏会 
  • be prejudice against~ ~に反感を抱いている 
  • encounter 遭遇、出合い 
  • arrogant 傲慢な、思いあがった 
  • criticize 非難する、批判する 
  • see ~ in a different light ~に対する認識を改める、~を見る目が変わる 
  • estate 私有地、地所 
  • embarrassing きまり悪い 
  • open one’s heart to ~ ~に心を開く
  • assumption 思い込むこと、決めてかかること

解説/Vardaman’s note

英語の原書の難易度は★★★☆(難しい)です。この小説が選外になった理由は2つあります。1つ目は、英米の文学が洗練された文体に依存していた19世紀初頭を舞台としていることです。2つ目は、登場人物や舞台が上流貴族に属しており、読み手の側にある想像力を要求することです。

アメリカ人がこうしたイギリス文学をどう受け止めるかですが、現代文学ではイギリス英語とアメリカ英語という違いはもちろんありますが、特に登場人物や舞台が特定の地域や、職業、階級に限定されない場合は、共通項の方が多いのです。現代にも読み継がれている小説が普遍的なのは、その物語を理解するためにその国や人々の階級や、文化的基準について多くを知る必要がないからです。つまり、読者が共感できるような内容であれば、言語そのものの違いは問題になりません。

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