
「オーバーラッピングが正しくできているか分からない」「シャドーイングとどちらを先にやるべきか悩む」といった声はよく聞かれます。間違った方法で学習を進めてしまい、効果が半減している人も珍しくありません。
本記事では、リスニング力を効率よく伸ばすための正しいオーバーラッピングの方法や、おすすめの教材を解説します。
目次
オーバーラッピングとは?

オーバーラッピングは、英語の音源と同時に発声する学習法です。スクリプトを見ながら、流れてくるネイティブの音声に自分の声をぴったりと重ねて発音します。英語の「overlap(重ねる)」が語源です。
シャドーイングとの大きな違いは、スクリプトを見るか見ないかという点です。シャドーイングは、流れてくる音源をスクリプトなしで「影」のように追いかけるので、リスニング力とスピーキング力を同時に鍛えられます。一方、オーバーラッピングはスクリプトを見ながら音源に声を重ねるので、発音矯正や流暢さを高めるのに効果的です。
リスニング力を効率よく向上させるには、まずオーバーラッピングで正確な発音やリズムを身につけてから、シャドーイングに移行するのがおすすめです。
オーバーラッピングのやり方

オーバーラッピングのやり方は、以下のとおりです。
- 教材を用意する
- まずはスクリプトを読んで内容を理解する
- 音声と同時に読む
- 慣れたらシャドーイングにも挑戦する
1.教材を用意する
オーバーラッピングの効果を最大化するには、自分に合った教材選びが重要です。適切な教材を選ばなければ、どれだけ練習しても上達は期待できません。具体的には、9割以上を辞書なしで読める教材を選びましょう。
次に、自分の興味がある分野から選んでください。料理好きなら食文化について書かれた記事、テクノロジーに関心があるならIT関連のニュースを選ぶなどです。
さらに、短い文章で構成された教材を選ぶことも大切です。長いフレーズでは息継ぎが困難で、どこを強調すればよいか分からず練習が辛くなります。
教材選びでは、自分の英語レベルを把握するところから始めましょう。しかし、多くの人は自分の英語レベルを正確に把握していないのが現実です。手軽にレベルチェックしたい方は、Santaアルクで無料のTOEIC診断を受けてから、適切な教材を選んでみてください。あなたのTOEICスコアを精度95%のAIモデルがわずか3分で診断します。
2.まずはスクリプトを読んで内容を理解する
オーバーラッピングの練習を始める前に、まずは教材のスクリプトを読み込みましょう。意味を知らないまま音だけをまねしても、知識として定着しません。スクリプトの内容をしっかり把握しておくことで、新しい語彙やフレーズの使い方を覚えやすくなります。
意味が分からない単語やフレーズは辞書で確認し、内容を完全に理解してから音声を聞き始めましょう。
次に、音声を聞きながらスクリプトを追ってみます。このとき、単語同士のつながりやネイティブ特有の発音、イントネーション、リズムに意識を向けて聞いてください。音の変化に注意して聞くことで、ネイティブの自然な発音パターンを理解できます。オーバーラッピングするときも、正確な発音を再現しやすくなります。
3.音声と同時に読む
お手本の音声を流し、スクリプトを見ながら音声にぴったり合わせて発話してください。最初は音声から少し遅れても構いませんが、徐々に同時発話ができるよう繰り返し練習しましょう。
オーバーラッピングで重要なのは、単にスピードに合わせるだけでなく、アクセントやイントネーション、リズムまで忠実に再現することです。恥ずかしがらずにネイティブの発音をまねして、カタカナ英語にならないよう注意してください。
4.慣れたらシャドーイングにも挑戦する
リスニング力を高めるには、オーバーラッピングからシャドーイングへと移行するのが効果的です。
オーバーラッピングは、スクリプトを見ながら音声をまねるため、正しい発音やリズムを身につけるのに役立ちます。しかし、音だけで英語を理解する力は十分に養われません。一方、シャドーイングは文字に頼らずに音声のみで理解する力を鍛えられるからです。
オーバーラッピングで文章の意味や音のつながりを理解してからシャドーイングに挑戦することで、より効率的にリスニング力を高められます。
シャドーイングの効果や詳しいやり方については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
オーバーラッピングの効果

オーバーラッピングで得られる効果は、以下のとおりです。
- リスニング力の向上
- 発音の矯正
- 語彙力・表現力の向上
リスニング力の向上
オーバーラッピングを継続すると、リスニング力が向上します。スクリプトを見ながらネイティブの音声に自分の声を重ねることで、聞いた音と単語が脳内で結びつくからです。
たとえば、「ウォナビー」という音が聞こえたとき、瞬時に「wanna be」と理解できるようになります。これは、オーバーラッピングを通じて「この音は、この単語だ」という音声データが、あなたの脳に蓄積されていくからです。
音声データの蓄積が進むと、脳は聞いた音を自動的に単語として認識するようになります。最初は一つひとつの音を意識して聞いていたのが、やがて無意識に音を処理できるようになるのです。
その結果、リスニング時に音を聞き取る作業に脳のエネルギーを使わなくてよくなります。これにより、徐々に会話の内容を理解することに集中できるようになり、リスニング力が向上する仕組みです。
リスニングの効果的な勉強法については、以下の記事でも詳しく解説しています。初心者でも続けやすい方法についてもまとめているので、ぜひご覧ください。
発音の矯正
オーバーラッピングを継続すると、発音の矯正が可能です。お手本の音声に自分の発音を重ねることで、ネイティブのスピードやリズム感が身につきます。さらに、アクセントやイントネーション、音声変化(音がつながったり消えたりする現象)も習得可能です。
自己流で発音練習をするだけでは、正しい発音は身につきにくいものです。しかし、オーバーラッピングではお手本の音源をまねることで、自分の発音の間違いに気づき、修正しやすくなります。
オーバーラッピングをくり返すことで、相手に違和感なく伝わる自然な発音ができるようになるでしょう。はじめはスピードとリズム感を意識し、慣れてきたらイントネーションなど、細かな点も意識してみてください。
語彙力・表現力の向上
オーバーラッピングを行うことで、語彙力や表現力を高めることも可能です。英語の音声をくり返し聞き、声に出してまねることで、脳内に英文のストックを増やせます。
単語帳で覚えるのとは違い、文脈の中での自然な使い方を学べるため、実際の会話でもとっさに使える語彙や表現が増えるでしょう。また、英語特有の語順や文の構造も感覚的に身につきます。
オーバーラッピングにおすすめの教材3選

オーバーラッピングにおすすめの教材として、以下の3つを紹介します。
- 究極の英語リスニングシリーズ
- 公式TOEIC Listening & Reading 問題集 11
- 5つの音声変化がわかれば英語はみるみる聞き取れる
究極の英語リスニングシリーズ
オーバーラッピングにおすすめの教材として「究極の英語リスニング」シリーズを紹介します。定価は全シリーズ税込1,870円です。
究極の英語リスニング Vol.1 対象レベル:英検4級~/TOEIC300点~
究極の英語リスニング Vol.2 対象レベル:英検3級~/TOEIC400点~
究極の英語リスニング Vol.3 対象レベル:英検準2級~/TOEIC500点~
究極の英語リスニング Vol.4 対象レベル:英検2級~/TOEIC600点~
究極の英語リスニングシリーズの特徴は、以下のとおりです。
- やさしい単語から段階的にレベルアップできる
- ヒント・和訳付きなど3つのモードから選択できる
- 英文のスピードと長さを3段階で調整できる
- 幅広いトピックの英文を収録しているため飽きずに学習できる
やさしい単語からスタートでき、スピードも調整できるため、自分のレベルに合わせて無理なくオーバーラッピングに取り組めます。
スマホアプリ booco をダウンロードすると、書籍の音声やクイズ機能が利用できます。通勤時間や家事の時間を有効活用して英語学習したい人は、ぜひダウンロードしてご利用ください。
公式TOEIC Listening & Reading 問題集 11
TOEICの学習をしながらオーバーラッピングもできる教材が「公式TOEIC Listening & Reading 問題集11」です。
公式スピーカーによるリスニング音声が使われているため、実際の試験のスピードや発音に慣れることが可能です。音声はスマホやパソコンにダウンロードでき、外出先やスキマ時間でもオーバーラッピングの練習ができます。
注目すべきは、リーディングセクションの音声も収録されている点です。これによりPart7の長文問題でもオーバーラッピングの練習ができ、読解力向上にもつながります。定価は税込3,300円です。
5つの音声変化がわかれば英語はみるみる聞き取れる
「5つの音声変化がわかれば英語はみるみる聞き取れる」も、オーバーラッピングの練習におすすめの教材です。
英語の音声変化(音がつながったり消えたりすること)を理解できるので、オーバーラッピングがしやすくなります。
10日間の集中トレーニングで1日たった1時間から学習可能なため、忙しい毎日でも無理なく続けられます。リスニング用の音声データはダウンロードできるため、通勤時間や休憩時間にもオーバーラッピングを行なえます。定価は、税込1,650円です。
まとめ

オーバーラッピングは、スクリプトを見ながら、流れてくるネイティブの音声に自分の声をぴったりと重ねて発音する学習法です。オーバーラッピングを継続すると、リスニング力の向上に加え、発音矯正や語彙力・表現力も高められます。
オーバーラッピングによる効果を最大限得るためには、自分の興味のある分野やレベルに合った教材選びが大切です。
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