アルクの英語学習アプリ「booco」に搭載された「1000時間ヒアリングマラソン」から、学習にちょっと役立つ&知ると英語がもっと楽しくなる情報をご紹介する連載。第1回は、リスニングの精度アップにつながる「脱落」です。ここでしか聞けない、ヒアリングマラソンの生音声も楽しみながら日々の学習にご活用ください。
英語の「脱落」とは?
皆さんは、リスニングした英文のスクリプトを確認した際、「あれ、こんな単語読まれていたかな・・・」と感じることはありませんか? 「何度聞き直しても違う音に聞こえる、テキストには確かに印刷されているのに」と。そんなときは、英語の「脱落」という現象が起きているかもしれません。
「脱落」とは何でしょうか? ヒアリングマラソンのコーチ、松岡昇先生は著書で以下のように説明されています。
脱落
似たような音が隣り合ったときに、一方が他方を吸収して、片方(吸収された方)が聞こえなくなる、あるいは、語末で音がごく弱くなるか聞こえなくなる音声変化 (出典:最新版 日本人は英語のここが聞き取れない』)
「脱落」は至る所で起きています。これらは、その一例です。
I don’t know her name. 私は彼女の名前を知りません。
(ドンッノウ)
It would be nice if it’s sunny tomorrow. 明日は晴れるといいなあ。
(ウッビー)
生音声で「脱落」を確認
音声を通して聞く
以下の音声は、/t/ や /d/ の音で「脱落」が起きています。実際に聞いてみましょう。
【ヒアリングマラソン「英語の音(Basic Phonetics)」第4回 基本編】
結婚式での新婦の友人のスピーチです。
空所補充
音声を聞いて、抜粋された英文の空所に当てはまる単語を考えてみましょう。繰り返し聞いても構いません。
(解答は、下のスクリプトでチェック)
- Ann has been my ( ) ( ) since my ( ) day ( ) school.
- We promised each other we ( ) go to each other’s wedding.
- Ann continues to ( ) people with such ( ) ( ) compassion.
詳細確認
/t/ と /d/ はどちらも閉鎖音(または破裂音)と呼ばれる音です。閉鎖音は、唇や舌などで息を完全に遮断して発音する音で、英語では /t, d, p, b, k, g/ がこれに当たります。/t/ と /d/ は、どちらも①後に子音(特に閉鎖音)が続くとき、②後に /m/ または /n/ が続くとき、に脱落しやすくなります。
スクリプトと日本語訳
※赤字は「脱落」が起きている箇所
Ann has been my best friend since my first day at school.
She used to call at my front door at exactly eight-thirty every morning, and we would walk to school together.
【解説】
first dayは、/t/ の後に閉鎖音 /d/ が続いているため、 /t/ が脱落しています。atは語末の /t/ が脱落して「アッ」のように聞こえます。
used toとfront doorも、それぞれ後に閉鎖音 /t/ と /d/ が続いているため脱落しています。脱落した部分は、ほんの少しポーズが入るように聞こえることがあります。used toは used の元の発音が /juːst/ ですので、「ユーズドゥ」ではなく /juːs tə/( ユーストゥ) となります。exactlyは語中の /t/ が脱落。このように、1つの語の中で脱落することもあります。
In later years, we would fight about boys and borrowed sweaters that were never returned, but through it all , we remained best friends.
We promised each other we would go to each other’s wedding.
【解説】
wouldやthat、butでは /d/ または /t/ が脱落。それぞれ「ウッ」「ダッ」「バッ」くらいにしか聞こえません。and borrowedとremained bestは、語末の /d/ に次の単語の閉鎖音が続いているので、/d/ が脱落しています。 wouldも /d/ が脱落しています。
And so, here I am!
Ann continues to treat people with such kindness and compassion.
Ted, you are one lucky man!
【解説】
Andの /d/ が脱落して「エン」になっています。treat peopleは語末の /t/ に閉鎖音 /p/ が続くので脱落。kindnessは語中の /d/ が脱落しています。その後のandは「エン」になっています。
まとめ
「脱落」は、書き取ってみるとその聞き取りの難しさがより顕著になります。余裕のある方は、冒頭の音声を使って英文全体の書き取り(ディクテーション)にもチャレンジしてみてください。
今回は、ヒアリングマラソンの「これで聞ける! 英語の音」から「脱落」現象を取り上げました。同コンテンツには、この他にも VOA ニュース(米国営放送)を使ったより高度な聞き取りや、アウトプットの練習をする学習ステップがあり、「脱落」する音について学ぶことができます。
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