
TOEICのPart 5「短文穴埋め問題」の約1/4を占めるのは、空所に入る品詞を問う「品詞問題」です。このタイプの問題はポイントを押さえると簡単に解けるため、リスニングセクションで時間を節約するカギになります。
この記事では、例題を交えながら、「品詞問題」を早く正確に解くコツを解説します。
また、Part 5対策におすすめの問題集もご紹介しますので、ぜひ参考にしてPart5の得点を伸ばしてください。
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目次
TOEICの品詞問題とは?

ここからは、例題を交えて、品詞問題の特徴と解き方を紹介します。
- 選択肢に語尾だけが違う単語が並んでいる問題
- 品詞問題の解き方
選択肢に語尾だけが違う単語が並んでいる問題
TOEICのPart 5で、選択肢に同じつづりで始まり、語尾が異なる語が並んでいたら「品詞問題」です。
実際に例題を見てみましょう。
≪例題≫
After choosing Michael as team leader, the manager gave him a ( ) overview of the project.
(A) comprehend
(B) comprehendingly
(C) comprehension
(D) comprehensive
≪正解≫
(D)
After choosing Michael as team leader, the manager gave him a comprehensive overview of the project.
マイケルをチームリーダーに選んでから、部長は彼にプロジェクトの包括的な概要を説明した。
(A) ~を含む、~を理解する (B) 理解して (C) 理解力、包含 (D) 包括的な
≪解説≫
選択肢にはcompre-で始まり、語尾が異なる語が並んでいるので、「品詞問題」です。空所の前後に注目すると、冠詞であるaと、名詞であるoverview(概要)があることから、空所には名詞を修飾する形容詞が入るのが適切。正解は形容詞の(D) comprehensive(包括的な)です。(A)は動詞、(B)は副詞、(C)は名詞です。
品詞問題の解き方
基本的な品詞問題の解き方は以下の通りです
【1】選択肢を見て、品詞問題かどうか判断する
【2】空所の前後からに入る品詞を判断する
【3】選択肢から該当する品詞を選ぶ
【1】同じつづりで始まり、語尾が異なる、さまざまな品詞の語が並んでいたら品詞問題です。
【2】品詞問題を解くには、英語の文構造を知っておく必要があります。文法に苦手意識のある方は、文法書で文型について復習をするのが良いでしょう。TOEICのPart 5対策書で、「品詞問題」で出題される語順のパターンを覚えるのも有効です。また、この時、問題文を全て読む必要はありません。ほとんどの場合、空所の前後などを読めば答えが分かります。
【3】【2】で空所に入る品詞が分かったら、選択肢を見て該当する品詞の語を選びます。各品詞には特有の語尾(接尾辞)があるので、それを知っておけば、語尾から品詞が判断できます(接尾辞については、次のセクションで詳しく紹介します)。
このように、品詞問題は問題文や選択肢の意味が分からなくても、正解を選ぶことが可能です。そのため1問につき10~15秒程度で、サクッと解きましょう。それだけ考えても分からない場合は潔く諦めて、次の問題に集中してください。
4つの品詞を覚えよう

TOEICの品詞問題の選択肢に出てくる品詞は、この4つです。
- 名詞
- 動詞
- 形容詞
- 副詞
ここからはこの4つの品詞の特徴を解説します。さらに、それぞれの品詞に特有の接尾辞も紹介します。接尾辞を見ただけで、品詞が分かるようになりましょう。
名詞
名詞は、モノを表す品詞です。主に主語、目的語、補語になります。形容詞とは違って、他の言葉を修飾する(説明する)働きはありません。複数形になると、語尾に-sや-esなどが付きます。
主な名詞の接尾辞-ty,-ness,-ance,-cy,-tion,-mentなど
【例】:opportunity(機会), kindness(親切), agency(代理店), policy(方針),position(役職) ,achivement(成果)
動詞
動詞とは、動作や状態を表す品詞です。基本的に主語の後ろに置かれて、主語や時制によって、形が変わります。
主な動詞の接尾辞
-ate,-fy,-ize,-enなど
【例】:graduate(卒業する), identify(~を確認する), realize(~に気づく),strengthen(~を強くする)
形容詞
形容詞は、名詞の状態を表したり、性質を説明したりする品詞です。名詞を修飾することが特徴で、名詞の前に置かれたり、補語としてbe動詞の後ろに置かれたりして、名詞を説明します。
主な形容詞の接尾辞
-ful,-able,-ous,-cal,-nal,-iveなど
【例】:beautiful(美しい), available(利用できる), delicious(とてもおいしい), local(地元の) ,personal(個人的な), alive(生きている)
副詞
副詞は、語句や文全体を修飾する品詞です。副詞には、時間や頻度、程度などを具体的に説明する役割があり、名詞以外を修飾します。副詞が置かれるのは、動詞の前後や、修飾する形容詞・副詞の前などです。
副詞は単独で文の主語や動詞、補語などにはなりません。TOEICのPart 5では、空所以外の部分に主語、動詞、補語・目的語がそろっていたら、空所に入るのは副詞と判断できます。
主な副詞の接尾辞
-ly
【例】:usually(たいてい), recently(最近)
例外に注意
ここまで、それぞれの品詞の接尾辞のパターンをご紹介してきましたが、全ての単語が上記の法則に当てはまるわけではありません。
特に副詞は、sometimes(時々)、often(しばしば)、still(いまだに)のように-lyで終わらない単語も多くあります。
また、-lyで終わる単語でも、friendly(親切な)、timely(タイムリーな)のように、「名詞+ly」の形であれば、形容詞になるので、注意しましょう。
品詞問題を素早く解くためのポイント

TOEICのリーディングセクションは問題数が多く、時間切れになりがちです。Part6、Part 7にできる限りの時間と余力を残せるよう、Part 5はできるだけハイペースで解くことが非常に重要となります。
品詞問題を素早く解くために、重要なポイントは2つあります。
- 文の欠けている要素を考える
- 空所の前後を確認する
文に欠けている要素を考える
品詞問題の問題文には、欠けている要素がある場合と、文の要素がそろっている場合があります。
文の「要素」とは、文を構成する主語(S)、述語動詞(V)、目的語(O)、補語(C)のことです。「欠けている要素がある」場合は、空所がSVOCのうちのどれかに当たります。
完全な文にするためには、空所に必要な要素を入れなければなりませんが、SVOCのどれが欠けているかによって、空所に入る品詞が決まります。以下を頭に入れておきましょう。
- Sが欠けていたら→空所に入るのは「名詞」
- Vが欠けていたら→空所に入るのは「動詞」
- Cが欠けていたら→空所に入るのは「形容詞」か「名詞」
- Oが欠けていたら→空所に入るのは「名詞」
そのため、このタイプの問題を解くには、基本の5文型(SV、SVC、SVO、SVOO、SVOC)を理解しておく必要があります。
欠けている要素がない場合は空所の前後を確認する
品詞問題では、問題文に文の要素がそろっている場合もあります。空所に入る語がなくとも、問題文にSVOCがそろっていて、文として成立しているパターンです。
この場合、空所に入る品詞は、修飾語の形容詞か副詞になることがよくあります。空所の前後を見て、空所には形容詞か副詞のどちらが適切かを判断しましょう。
ではここで、形容詞と副詞の違いのおさらいです。
≪形容詞と副詞の違い≫
形容詞 | 副詞 | |
---|---|---|
修飾するもの | 名詞 | 名詞以外(動詞・形容詞・副詞) |
位置 | 名詞の前be動詞の後 | 形容詞・副詞の前 動詞・目的語の後ろ 文末 など |
形容詞の特徴
“The most 【popular】 option is plan A.”(最も【人気の】オプションはプランAです
“The dinner was 【excellent】.”(ディナーは【とても素晴らしかった】)
形容詞は名詞の前について名詞を修飾したり、補語としてbe動詞の後に来て主語を説明したりします。
副詞の特徴
“The topic is【particularly】interesuting.”(この問題は【特に】興味深い)
“inspect the products【carefully】” (その製品を【注意深く】検査する)
副詞は、形容詞や副詞の前か、動詞や目的語の後ろに来て、名詞以外の品詞を修飾します。
このタイプの問題は、形容詞と副詞の違いを押さえておくことで即答できるため、テンポよく回答していきましょう。
練習問題に挑戦!

品詞問題の特徴や解き方を押さえたところで、実際に練習問題を解いてみましょう。
問題1
It's essential to measure the ingredients for this dish ( ) in order to make it delicious.
(A) precise
(B) precisely
(C) precision
(D) precisionist
解説1
空所の部分がなくても文の要素はそろっているので、空所には修飾語が入ると判断できます。空所はdishという名詞の後、in order toの前にあることから、副詞である(B)のprecisely(正確に)が正解。このpreciselyはmeasure(~を量る)を修飾しています。preciseは、「正確な」を表す形容詞、precisionは「正確」を表す名詞、precisionistは「正確さを重視する人」を表す名詞です。
訳:この料理をおいしく作るには、材料をきちんと量ることが重要だ。
問題2
Due to concerns about side effects, the federal drug safety department has delayed its ( ) of the new medication.
(A) approval
(B) approve
(C) approved
(D) approvingly
解説2
空所が代名詞itsと前置詞ofに挟まれていることから、空所には名詞が入ります。(A)の“approval”(認可)が正解。approveは「~を認める」の意味の動詞、approved、は動詞の過去・過去分詞、approvingly(賛成して)は副詞です。
訳:副作用の懸念があるため、連邦薬物安全局は新薬の認可を延期した。
問題3
Mary was praised by the president for her ( ) solution to the problem.
(A) invent
(B) inventing
(C) invention
(D) inventive
解説3
空所の前後を見ると、代名詞であるherと、名詞であるsolution(解決策)があります。空所に形容詞の(D)のinventive(独創的な、考案の才のある)を入れて、intetive solution(独創的な解決策)とすると、意味が通るのでこれが正解。inventは「~を発明する」の意味の動詞、inventingは動詞inventの動名詞または現在分詞、inventionは「発明」の意味の名詞です。be praised by ~ for ...で「~に…を褒められる」の意味。
訳: メアリーはその問題に対する独創的な解決策を見つけて、社長に褒められた。
TOEICパート5についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
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まとめ
