TOEIC860点を取得したい人、上級者と認められるレベルに到達したいけれどスコアが伸び悩んでいる人に、何を行えばよいのかを紹介します。さらに本番で使えるテクニックや、他の英語資格試験との比較も解説しています。ぜひ参考にしてください。
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目次
TOEIC860点はどんなレベル?
TOEIC860点のレベルについて、以下のポイントから解説します。
- TOEIC860点の位置づけと英語力の目安
- 英検やIELTS、TOEFLとの比較
- 860点取得に必要な勉強時間
TOEIC860点の位置づけと英語力の目安
TOEIC860点はどのような位置づけになっているのでしょうか。
TOEICを運営しているIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)は、スコア860点以上をAランク(最高レベル)に指定しています。
以下は、IIBC公式サイトの「PROFICIENCY SCALE」という、スコアとコミュニケーション能力の相関表から、860以上に関する部分の引用です。
「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる。
自己の経験の範囲内では専門外の分野の話題に対しても十分な理解とふさわしい表現ができる。Native Speakerの域には一歩隔たりがあるとはいえ、語彙・文法・構文のいずれをも正確に把握し、流暢に駆使する力を持っている。」
引用:IIBC公式サイト「PROFICIENCY SCALE」
IIBCの公式サイトでは、TOEICの受験者数や平均スコアに関するデータが公開されています。それによると2023年度の受験者数は公開テストとIPテスト(団体特別受験制度)を合わせて、約176万人でした。このうち845点以上を取得した人は約5%、895点以上が約4.4%となっています。また、平均スコアは612点です。
つまり、860点というのは、受験者全体の上位5%に当たり、英語上級者として評価されるレベルといっていいでしょう。
英検やIELTS、TOEFLとの比較
TOEIC860点は、他の英語資格試験のどのレベルに当たるのでしょうか。比較してみましょう。
文部科学省の資料によると、TOEIC860点は英検準1級に相当します。英検を主催する日本英語検定協会によると、英検準1級は「大学中級」レベルで、IELTSで5.5-6.5、TOEFL iBTで72-94に相当するとしています。これらはあくまでも目安として考えましょう。
引用:文部科学省「資料7 英語の資格・検定試験に関する基礎資料」
実際の受験者によると、860点以上を安定して取れるレベルになると、リスニングの問題はおおよその内容が聞き取れるといいます。800点レベルの場合、音は聞き取れても、内容が理解できていない部分が多くあるそうです。
リーディングセクションで時間内にほぼ全部の問題が解けるようになるといわれます。
860点取得に必要な勉強時間
英国の出版社・オックスフォード大学出版局の資料によると、TOEICの平均スコアである600点前後の人が860点を超えるために必要な勉強時間は、500~725時間となっています。こちらも目安としてとらえておきましょう。
TOEIC860点は転職や就職でどれだけ有利?
TOEICスコアは、日本で英語力を証明するためのメジャーな試験です。大学によっては、一定のスコアがあると入試での加点などが行われる場合もあります。出願する大学で優遇措置が行われていないか、確認してみましょう。指定されたスコアを取得していると、大学で単位として認定されたり、就職活動でも有利になる場合があります。
以下のポイントについて、詳しく解説していきます。
- 860点はアピールできる?
- 860点を生かせる職種や業界
860点はアピールできる?
TOEIC860点は、就職や転職で履歴書に記載すると、英語力を大いにアピールできます。860点以上のスコア取得者に対して、多くの日本企業は英語上級者と評価しています。海外部門で働きたい場合や、中途採用案件に応募するとき、仕事の内容を広げたい場合などでも、有利になります。
860点を生かせる職種や業界
860点を生かせる職種や業界としては、海外に出向いて商品を買い付けるバイヤー、飛行機の搭乗客にサービスを行うキャビンアテンダント、在留外国人の在留資格審査あるいは来日外国人の入国審査を担当する入国審査官、外資系企業が抱える問題と解決策を提示する外資系コンサルタント、企業での海外部門勤務などが考えられます。
さらに900点以上では、英会話講師、翻訳者、通訳者なども対象として考えられます。いずれも高い英語力プラス専門的な知識やコミュニケーション力が必要な職業です。
インターネットで検索すると、英語を使った仕事に関してさまざまな求人情報を見ることができます。求めるTOEICスコアが求人に記載されている場合がありますので、参考にしましょう。
TOEIC860点を取るには何問正解が必要?正答率と難易度の目安
あくまでも目安ですが、TOEIC860点取得には正解率90%以上が必要とされます。全200問のうちの90%、約179問以上の正解を目指しましょう。
以下のポイントについて、詳しく解説していきます。
- リスニングとリーディングの正答率の目安
- TOEICの配点と採点基準の仕組み
- 860点に到達するための戦略
リスニングとリーディングの正答率の目安
TOEIC L&Rテストは英語の「リスニング」「リーディング」力を測定するテストで、結果はスコアで表示されます。試験の構成はリスニング問題45分、リーディング問題75分。全体で2時間かけて200問を解き、解答はマークシートに記入します。
860点以上取得したい場合は、リスニングで100問中約86問の正解、リーディングで100問中約93問の正解、合計すると200問中179問以上の正解が目安と考えましょう。
TOEICの配点と採点基準の仕組み
あまり知られていないようですが、TOEICのスコアは統計処理によって算出されています。英語力が変化していない場合、理論上は何度受験しても同じスコアになる仕組みです。
満点は990点で、リスニングとリーディングが各495点の配点です。全ての問題が同じ得点ではなく問題によって点数は変わります。多くの受験者が解けた問題は配点が低くなり、解けた人が少ない問題の配点は高くなります。
正答率があまりに低い問題は、難問として、全体のスコアの計算には使われません。このため、たとえこのような問題を間違えたとしても、満点が取れる可能性はあります。
リスニングセクションの配点の割合は、パート1が6%、パート2は25%、パート3は39%、パート4は30%です。パート1は最も低く、パート3が最も高くなっています。このためパート3を中心に学習するのも、スコアアップにつながります。
リーディングセクションの配点割合は、パート5が30%、パート6は16%、パート7は54%となります。パート7の配点が半分以上を占めている点に注目しましょう。これらを考慮して学習プランを立てて、スコアアップにつなげましょう。
TOEICの配点については、以下の記事で詳しく解説しています。
スコア860点に到達するための戦略
TOEIC860点とは、問題を最後まで解くことができるレベルです。そのためには、リーディングセクションの問題を解く際の、時間配分を考えておくと効果的です。
あくまでも目安ですが、リーディングのパート5と6を合わせて15分、パート7に60分を使うというのが、時間配分の一例です。
学習方法としては、実力より少し難しめの問題、例えばTOEIC900をターゲットにした問題集に取り組むのもおすすめです。
逆に、これまで使用してきた問題集を復習して、間違えた箇所、曖昧だったポイントを確認して、繰り返し復習して、弱点を克服するのもいいでしょう。いずれにしても、受験までにできるだけたくさんの問題を解くようにしてください。
TOEICの勉強法について、以下の記事で詳しく解説しています。
TOEIC本番で使えるテクニック!効率的にスコアアップしよう
高いスコアを取得するためには、持っている力を本番で存分に発揮する必要があります。ここでは小さな工夫やテクニックをまとめています。使えそうな方法があれば、ぜひ実践してください。
- パート2の聞き方
- マークシートも工夫してみよう
- 座席は替えてもらうことができる
- 前日にやっておくこと、当日に気を付けること
パート2の聞き方
リスニング短文・パート2では選択肢は3つですが、問題用紙には印刷されていません。そのため、正解するには質問文の文頭(What、Who、Where、Which、Howなど)を確実に聞き取る必要があります。
可能なら選択肢3つが読み上げられるそれぞれの直前で、質問文を声に出さずに頭の中で繰り返してください。
たとえば次のような問題の場合
(質問文)Where is the human resources department? (人事部はどこですか)
(解答の選択肢)
(A) I will go there.(私はそこへ行きます)
(B) It costs twenty euros on it.(それに20ユーロかかります)
(C) On the third floor.(3階です)[正解]
上記のような問題が音声として流れた場合は
Where is the human resources department?
(A) I will go there.
ここで質問文を頭の中で繰り返します→Where is the human resources department?
(B) It costs twenty euros on it.
ここで質問文を頭の中で繰り返します→Where is the human resources department?
(C) On the third floor. [正解]
というように、選択肢の読み上げられる前に、質問文を頭の中で繰り返しながら聞くと、質問を忘れないので、正解しやすくなります。
マークシートも工夫してみよう
TOEICでは解答をマークシートに記入しますが、塗り方について、次のような裏技があります。
リスニングのパート3、4では、音声が流れる前に問題用紙の設問を先に読むというテクニックがあります。そのため、リスニングテスト中は問題ごとに正解をきちんとマークするのではなく、後で分かるように軽くチェックするだけにします。リスニングテストが終了して、リーディングテストに取り掛かる前に、パート3と4のマーク欄をまとめて丁寧に塗り仕上げます。
これは、丁寧にマーク欄を塗ることに時間を使わず、その時間を次の問題の設問を先読みに当てるという方法です。
リーディングの問題に取りかかる前にマークシートを丁寧に塗り、この間で気持ちを切り替え、リーディングに取り組むようにしましょう。「さっきのリスニングの問題は…」などと、心配を引きずらないことです。
座席は替えてもらうことができる
試験会場では通常、受験番号順に指定された席に座ります。しかし、リスニングテストの前に音声テストがあるので、この時点で挙手して試験官に席替えを希望することが可能です。
音声が聞こえにくい、着席してみたが空調機の音が気になるといった場合は、試験に集中できるように、席替えを希望しましょう。特に、広い会場で受験する場合、スピーカーの近くの方が音声は聞き取りやすいこともあります。少しでもスコアを上げるために、このことを知っておいてください。
この他にも以下の記事でTOEICのテクニックを紹介しています。
前日にやっておくこと、当日に気を付けること
試験本番で落ち着いて受験できるように、前日にやっておくとよいことと、当日に気を付けたいことなどを、まとめました。
- 持ち物の確認
- 当日の天気
- 会場までのルート
- 食事の確認
- 十分な睡眠時間
- 会場に着いてからやること
持ち物の確認
TOEIC受験に必須の持ち物は4つ(受験票+証明写真、本人確認書類、筆記具、腕時計)です。
(1) 受験票+証明写真
写真の細かな規定は以下のとおりです。
- 写真サイズは縦4cm×横3cm
- 6カ月以内に撮影
- 正面を向いた本人の顔がはっきり確認できる(顔に影がないもの)
- 本人のみが写っている、頭部全体が写っている
- 人物の後ろは何も写っておらず白または薄い色
写真裏面に「氏名」と「受験番号」を記載し、受験票にのりで貼り付けます。ホチキス止めは避けるべきなど規定があります。詳細はIIBC公式サイトで確認しましょう。
(2) 本人確認書類
IIBCが本人確認の書類として認めているのは以下のみです。
- 日本で発行された有効期限内の写真付のもの
- 運転免許証、学生証/学生手帳/生徒手帳、パスポート(パスポートは海外発行も可)、マイナンバーカード(個人番号カード)、住民基本台帳カード、外国人登録証明書、在留カード、特別永住者証明書、運転経歴証明書、障害者手帳(身体/精神)
身分証明書、運転免許証、パスポートなど、認められている証明書の原本のみが有効で、コピーや撮影したものは不可です。
引用:IIBC公式サイト「2020年4月より受付時に認められる本人確認書類が変わります」
(3) 筆記具
マークシートを効率的に塗るために、鉛筆は使い慣れているもの、太めの芯のものを用意しましょう。消しゴムはきれいに消せるように、汚れがないきれいなもの、または新品がおすすめです。筆記具は机から落とした場合でもあわてないために、複数持参しましょう。
(4) 腕時計
英語の表記などがある腕時計を持参して、試験官にチェックを受けたという受験生の体験談があります。時計はアナログでシンプルなデザインのものがおすすめです。置き時計は不可です。
詳細はTOEIC公式サイトで確認できます。
注意:試験会場によって上履きが必要な場合があります。受験票を確認しましょう。
受験票+証明写真と、身分証明書を忘れたら、受験はできません。その場合、受験料は払い戻しされません。しかし腕時計などを忘れたことに途中で気づいた場合は、100円ショップなどがあれば購入するとよいでしょう。会場で腕時計などの貸し出しはありませんので、注意が必要です。
(5)あれば便利な物
必須ではないけれどあれば便利な物として、コンパクトな鉛筆削り、シャーペンの替え芯。水分補給のためのペットボトル飲料かマイ水筒。エネルギー供給・リラックス・疲れたときのために、好みの軽食(チョコレート、ラムネなどで糖分を摂取するのがおすすめ)。温度調節するための衣服。マスク。参考書またはリスニング用の教材など、いずれも待ち時間にリラックスできるものを、少しだけ持参するのがおすすめです。
なお、受験時に机の上に置けるのは、受験票、ペンケースから出した筆記具、腕時計のみとなり、それ以外の持ち物はバックの中に入れます。
花粉症など何らかの理由で鼻水が出るため、試験中にティッシュを使いたい場合は、試験開始前に試験官に伝えておきます。どうしてもティッシュが必要な時のみ、中身だけを出して机の上に置きます。
クッションや座布団を試験会場に持参するのは可能ですが、この場合も試験官に事前に伝えておきましょう。
当日の天気・会場までのルート・食事の確認
これ以外に前日やっておくこととして、翌日の天気予報(荒天の場合は対策も)、自宅から会場への移動ルート確認があります。
何時に会場入りするかを決めて、交通ルートと当日の全スケジュールを確認しておきましょう。
TOEICでは午前と午後の試験時間があります。細かなテスト当日の流れは、IIBC公式サイトで確認できます。
引用:「テスト当日のご案内」
大きな施設で受験するときに、会場の門から試験教室までかなり歩く場合があるので、開始時間に遅れないよう注意しましょう。また、当日の食事をいつ取るかなども、大事なポイントです。会場到着の時間や食事時間も決めておきましょう。
十分な睡眠時間
試験前日は、普段より多めに睡眠をとるようにしましょう。
個人差がありますが、一般的に試験開始時間より1時間以上前に適量の食事を摂取しておくとよいとされます。食べ過ぎは眠くなる可能性があり、食べないと空腹で集中できない場合もあります。なるべく快適に試験に集中するにはどうすればよいかを、自分なりに考えておきましょう。
試験会場によっては、休憩用の座席が会場に設けられている場合もあって、そこで飲食する人を見かけることがあります。しかし会場によっては、こうした場所がない場合もあるので注意が必要です。
会場に着いてからやること
試験会場の入り口で身分証明書と受験票を見せて、受付を済ませます。入室したら、自分の番号が示された座席に着席します。落ち着いて受験できるか確認しながら、試験開始までリラックスして待ちましょう。
TOEICは試験中にトイレに行くことができます。しかし貴重な時間を失うことになります。行きたくなくても、試験開始前にトイレに行っておきましょう。
どうしても試験中にトイレに行きたくなった場合は、挙手して試験官に合図します。試験官が座席にやって来てくれますが、試験中は私語厳禁なので、試験官と筆談になります。
TOEIC860点を目指す人におすすめの教材・参考書
860点を目指すためにおすすめの教材・参考書を紹介します。
TOEIC L&Rテスト 860点奪取の方法
730点を超えた後、860点の壁を超えることができなくて伸び悩みを感じる人を対象にした一冊です。パート4の設問や選択肢の読解スピードの上げ方、難易度の高い前置詞など、860点を目指す受験生が押さえるべきポイントに絞って解説をしています。現役サラリーマンでありながら、独学でTOEIC満点(990)を達成して、テストを連続100回以上受験してきた藤枝暁生氏が、学習者目線で分かりやすく説明します。
TOEIC(R)テスト 新形式精選模試 リスニング2
990点を取得した講師陣が選んだ「精選模試」のリスニング編です。出題が予想されるタイプの問題を5回の模試で完全に網羅し、全設問には正解を導く手順などが丁寧に解説されています。860点取得に向けて、リスニング強化を図りたい人におすすめの一冊です。
TOEIC(R)テスト 新形式精選模試 リーディング2
リーディング強化のため、本番で出題が予想されるタイプの問題を5回の模試で学習します。単語・設問ともに難易度は高めですが、その分、解説も丁寧です。上記のリスニング版と併せて使用するのもおすすめです。
TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ
TOEIC対策専用の英単語集です。単語がフレーズの形で覚えられるように、工夫されています。また、リーディング問題パート5の対策にも有効な内容になっています。TOEICの問題はビジネス英語が中心ですから、大学受験用の単語集ではなくて、TOEIC対策専用のものを使うのがおすすめです。頻出単語とフレーズを覚えて、高スコア獲得を目指しましょう。
まとめ
860点を突破すれば、英語力が上級、Aランク(最高レベル)と認められます。夢の実現に向かって、ぜひ頑張って、学習に取り組んでください。
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