教材を次々に買う。AIですぐ答えを調べる。「分かった」と思って練習を終える。他人の成果を見て焦る――。英語学習者が陥りがちな思い込みを「七つの大罪」になぞらえ、濱崎潤之輔さんに語っていただいた全7回の連載が完結しました。「強欲」「暴食」「怠惰」「嫉妬」「色欲」「憤怒」「傲慢」。それぞれの「罪」で濱崎さんが伝えたメッセージを振り返りながら、英語学習を長く続け、伸び続けるためのヒントをまとめます。
目次
英語学習に潜む「七つの大罪」
今回の連載で取り上げたのは、どれも英語を勉強している人なら思い当たるところがありそうなものです。
しかも、単純に「やってはいけないこと」を並べたわけではありません。教材を買うことも、AIを使うことも、他人の勉強法を参考にすることも、それ自体が悪いわけではありません。
問題になるのは、それだけで英語が伸びると思ってしまったり、本来必要な学習がおろそかになったりするときです。
では、七つの「罪」を順番に振り返ってみましょう。
強欲――教材を増やす前に、手元の一冊を使う
第1回は、話題の教材や新しい勉強法を次々に求めてしまう「強欲の罪」です。
濱崎さん自身も、英語学習を始めた頃は、ランキング上位の教材を次々と買っていたといいます。
しかし、本を買っただけでは、その中の知識まで自分のものになるわけではありません。濱崎さんは、ベストセラーを選ぶことや複数の教材を持つこと自体を否定せず、教材を探すことより、選んだ教材をきちんと使うことが大切だと語っています。
暴食――答えを知るだけでは、英語は身に付かない
第2回は、検索やAIから答えを次々に取り込む「暴食の罪」です。
今は、分からない英文もAIに聞けばすぐに説明してもらえます。しかし、答えを見て納得することと、自分で使えるようになることは別です。
濱崎さんは、AIを使うこと自体ではなく、自分で考える、思い出す、解くといった学習までAIに任せてしまわないことが大切だとアドバイスしています。
怠惰――「分かった」で学習を終わらせない
第3回の「怠惰の罪」は、単に勉強をしないことではありません。
問題を解き、解説を読んで「分かった」と満足し、それを実際に使える状態にするための練習まで進まないことを指しています。
濱崎さんが強調するのは、「分かる」と「できる」は違うということです。知識を身に付けるには、問題を解き直したり、声に出したり、説明したりして、「できる」状態まで持っていく必要があります。
嫉妬――他人の成果より、自分の変化を見る
第4回は、SNSなどで他人の成果と自分を比べ過ぎる「嫉妬の罪」です。
SNSには、自己ベストを更新した、試験に合格した、といった成功が目立ちます。それを見て、自分だけが伸びていないように感じることもあるでしょう。
濱崎さんは、他人の勉強法を参考にすること自体は悪くないとした上で、自分の成長を見るなら、比べる相手は過去の自分でいいと語っています。
色欲――「楽な学習」と「続けられる学習」を分けて考える
第5回では、「1日5分」「聞き流すだけ」といった魅力的な言葉に惹かれる状態を「色欲の罪」としました。
効率よく学びたいと思うことは自然です。ただし、英語を身に付けるには、覚えることも、練習することも、繰り返すことも必要です。
濱崎さんは、「楽であること」と「続けられること」は同じではないと指摘します。無理なく続けられ、それでいて必要な学習ができる負荷を見つけることが重要です。
憤怒――変えられないことより、変えられる行動を見る
第6回は、成果が出ない理由を教材や先生、環境などに求めてしまう「憤怒の罪」です。
もちろん、本当に教材が合っていない場合もあれば、仕事や家庭の事情で学習時間を確保できないこともあります。
濱崎さんは、何でも自分の責任にするのではなく、変えられない条件と、自分で変えられることを分けて考えるようアドバイスしています。
「なぜ伸びないのか」だけで終わらず、「次に自分は何を変えられるのか」を考えることが大切です。
傲慢――できるようになった後こそ、学びを止めない
最終回は「傲慢の罪」です。
英語力が伸び、問題に正解できるようになると、「これはもう分かっている」と感じることが増えてきます。ところが、その自信によって復習や確認が雑になると、それ以上の成長を妨げることがあります。
濱崎さんは、「自信を持ってもいい。でも、過信しない」と語っています。
ある程度できるようになった人ほど、自分にはまだ分からないことがあると考え、基礎に戻ったり、理解が曖昧な部分を確認したりする姿勢が必要です。
七つの「罪」に共通していること
七つの「罪」は、それぞれ別々の問題に見えます。
しかし、並べてみると共通していることがあります。
教材を買うだけで終わらず、実際に使う。答えを知っただけで終わらず、自分で解ける状態にする。他人ではなく、自分の現在地を見る。楽な方法を探すだけでなく、必要な学習を続ける。うまくいかなければ、自分で変えられる部分を見る。そして、できるようになっても「もう十分」と思わない。
濱崎さんが7回を通して繰り返し伝えているのは、自分の学習を客観的に見ながら、必要な行動を続けることだと言えそうです。
特別な教材や、誰にでも通用する近道があるわけではありません。
今の自分に何が必要なのかを考え、実際に取り組み、できるようになるまで続ける。その積み重ねが英語力につながっていきます。
あなたはいくつ当てはまりますか?
「強欲」「暴食」「怠惰」「嫉妬」「色欲」「憤怒」「傲慢」。
一つだけ思い当たる人もいれば、複数の「罪」に心当たりがある人もいるでしょう。
大切なのは、当てはまったからといって自分を責めることではありません。
自分がどこで学習につまずきやすいのかが分かれば、次に取る行動も見えてきます。
気になる「罪」があれば、ぜひそれぞれの記事を読んでみてください。自分の英語学習を見直すきっかけとして、この「七つの大罪」を活用してもらえればと思います。
文:山本高裕(ENGLISH JOURNAL編集部)
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