「人はなぜ笑うのか」を考えたことはありますか?人間の笑いには単に面白いという感情を表すだけでなく、もっと深い意味があるようです。本記事では、人が笑う4つの理由と、笑うことの6つのメリットを紹介します。
人はなぜ笑うのか
突然ですが、皆さんは一日にどのくらい笑いますか?また、どんな状況で笑いますか?筆者は友達といるときはたくさん笑って、会社ではそこそこ笑って、家では猫に向かってニヤニヤする程度です。
では、「人はなぜ笑うのか?」と聞かれたら、皆さんはどう答えるでしょうか。「そりゃ、何か面白いことがあるからでしょ!!」と答えたくなりますよね。
笑いの世界的な専門家でユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの認知神経科学教授、ソフィー・スコット氏は「私たちが笑う理由は主に4つあります」と言います。本記事ではそれら4つの理由と、笑うことの6つのメリットについて紹介します。より詳しく英語の原文で読んでみたい、という人は下のリンクからどうぞ。
人が笑う4つの理由
理由1:社会とのつながりのため
Scott points to social connection as the main driver of laughter. Yes, this plays an even bigger part in your belly laughs than hilarious jokes or funny songs. Scientific research supports that. We’re 30 times more likely to laugh if we’re with someone else than if we’re alone.
スコット教授は、笑いの主な原動力として社会的なつながりを挙げています。そう、これは、陽気なジョークや面白い歌よりも、おなかを抱えて笑うことに大きな役割を果たしているのです。科学的研究もそれを裏付けています。私たちは一人でいるときより誰かと一緒にいるときの方が、30倍も多く笑うそうです。
確かに言われてみると、誰かと一緒にいるときには、特に面白いことでもないのに笑ってしまうことってありますよね。「面白い」と感じているわけではないのに自然と笑顔になるのは、社会的なつながりが関係しているようです。
理由2:感情を隠すため
People don’t just laugh to express joy. Scott says that sometimes we laugh to mask other emotions. Feeling anger, anxiety or fear can lead to laughter (hence the term nervous laughter). Whether consciously or not, we may use laughter to manage these difficult emotions.
人は喜びを表現するためだけに笑うわけではありません。スコット教授によれば、他の感情を隠すために笑うこともあるといいます。怒りや不安、恐怖を感じると笑ってしまうことがあります(だから「引きつり笑い/苦笑い」という用語があるんです)。意識的であろうとなかろうと、私たちは笑いを使ってこれらの難しい感情に対処しているのです。
皆さんも怒りや恐怖で笑ってしまった経験があるのではないでしょうか?笑いながら怒られることほど怖いものはありません・・・。
理由3:体の反応
Some people laugh as a response to bodily stimulation – namely, tickling. Scientists still don’t know exactly why tickling leads to laughter, but they do know it’s uncontrollable and involves the hypothalamus, the area of the brain that controls mood (along with body temperature, hunger and heart rate); the parietal operculum, an area involved in sensory, motor, autonomic and cognitive processing; the amygdala, where emotions are processed; and the right cerebellum, which is associated with language.
身体的な刺激、つまりくすぐりに反応して笑う人もいます。科学者たちは、くすぐりが笑いにつながる理由をまだ正確には把握していませんが、それは制御不能であり、気分(その他、体温や空腹感、心拍数)をコントロールする~脳の領域「視床下部」、感覚、運動、自律神経、認知処理に関与する領域「頭頂小脳」、感情を処理する「扁桃体」、言語に関連する「右小脳」が関与していることは分かっています。
くすぐられるのが得意な人と苦手な人の違いはなんなのでしょうか。全くくすぐったくない箇所と、笑い転げるくらいくすぐったい箇所があるのも不思議です。ちなみに参照元の記事によると、ネズミもくすぐられると笑うそうです。
理由4:面白いものを見つけたとき
It may not be the No. 1 reason we cackle uncontrollably, but finding something funny does make us laugh. Consider comedy movies. Many people find watching someone fall, an essential element of slapstick comedy, particularly humorous. According to a scientific paper published in Neuropsychologia, the facial expressions of the afflicted can cause us to laugh.
思わず笑ってしまう一番の理由ではないかもしれませんが、面白いものを見つけると私たちはどうしても笑ってしまいます。コメディー映画を思い出してみてください。スラップスティック・コメディー(編集部注:特に体を張って観客を笑わせる喜劇)に欠かせない要素である誰かが転ぶ姿は、多くの人が特に面白いと感じるでしょう。『Neuropsychologia』誌に掲載された科学論文によると、人の困った表情が笑いを誘うこともあるそうです。
人の困っている顔を見ると笑顔になる、とは恐ろしいですが「他人の不幸は蜜の味」ということわざもありますし、人間の本質なのでしょうか・・・。みんながハッピーになれるような面白いことで笑顔になりたいものです(笑)。
笑うことの6つのメリット
「笑いは百薬の長」という言葉のとおり、笑うことに健康的メリットがあることは科学的にも証明されています。スコット氏が解説する6つのメリットを簡単に紹介します。
メリット1:ストレス軽減
When we laugh, levels of cortisol—known as the stress hormone—go down. You also get an uptick of adrenaline, and endorphins are released. This leads us to feel happier and more relaxed. One study even suggests it’s a good add-on to the treatment of stress and depression.
笑うと、ストレスホルモンとして知られるコルチゾールのレベルが下がります。アドレナリンが上昇し、エンドルフィンも分泌されます。これにより、私たちはより幸せでリラックスした気分になるのです。ある研究によれば、ストレスやうつ病の治療にも効果があるといわれています。
メリット2:痛みを抑える
Studies have shown that laughter is useful for people coping with both physical and emotional pain. Though the research is still young, the connection likely comes back to the fact that laughing releases endorphins.
笑いは肉体的、精神的な痛みに耐えている人に有効だという研究結果があります。研究はまだ始まったばかりですが、笑うとエンドルフィンが分泌することに関係しているようです。
メリット3:人間関係・恋愛関係を強固にする
When University of California psychology professor Robert Levinson invited couples into his lab and asked them to discuss things about their partner that irritated them, he found that the couples who tackled this stressful situation using humor and laughter had higher levels of relationship satisfaction. On a related note, having the same sense of humor as your partner can strengthen your relationship.
カリフォルニア大学の心理学教授ロバート・レビンソン氏が自分の研究室にカップルを招き、パートナーのイライラするところについて話し合ってもらったところ、このストレスフルな状況にユーモアや笑いをもって取り組んだカップルの方が、2人の関係の満足度が高いことを発見しました。また、パートナーと同じ笑いのセンスを持つことが、2人の関係をより強固なものにすることも分かっています。
メリット4:カロリーを消費する
According to a Vanderbilt University study, laughing for 10 to 15 minutes can increase your heart rate and oxygen consumption enough to burn 40 calories. That may pale in comparison to an actual workout, but it’s not too shabby as a side effect of enjoying yourself.
ヴァンダービルト大学(編集部注:アメリカ、テネシー州)の研究によると、10~15分間笑うと、40キロカロリーを消費できるほど心拍数と酸素消費量が増加するそうです。実際のトレーニングに比べれば微々たるものかもしれませんが、楽しむことの副効果としては悪くありません。
メリット5:脳に良い
Research from Loma Linda University shows that laughing improves the short-term memory of adults in their 60s and 70s. In a randomized, controlled trial, participants who watched funny videos had 44% better recall ability than participants who were asked to sit quietly.
ロマリンダ大学(編集部注:アメリカ、カリフォルニア州)の研究によると、笑いは60代から70代の短期記憶を改善します。無作為に選ばれた人たちの対照臨床試験において、面白いビデオを見た参加者は静かに座っているように言われた参加者よりも、44%も記憶力が向上したという結果が出ました。
メリット6:心臓に良い
In a 2016 study published in the Journal of Epidemiology, University of Tokyo researchers asked people who were 65 years old or older how often they laughed aloud, finding that those who said they almost never laughed had a higher risk for heart disease and stroke than those who laughed daily.
2016年に『Journal of Epidemiology』誌に掲載された研究では、東京大学の研究者たちが65歳以上の人に声を出して笑う頻度を尋ねたところ、ほとんど笑わないと答えた人は、毎日笑うと答えた人よりも心臓病や脳卒中のリスクが高いことが判明しました。
たくさん笑おう!
この記事では、人が笑う理由や笑うことのメリットを紹介しました。健康面でのメリットを知って、「積極的に笑おう!」と思った人もいるのではないでしょうか。笑うと楽しい気分になるだけでなく、自分の周りの雰囲気も明るくします。たくさん笑って健康的に過ごしましょう!
下のサイトでは、笑うことの理由やメリットがより詳しく紹介されています。ぜひ英語で読んでみてください。
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