先日、イギリスのオーディション番組『ブリテンズ・ゴッド・タレント』で大活躍した、お笑いタレントのとにかく明るい安村さん。決めのフレーズ「安心してください、はいてますよ」をDon’t worry, I’m wearing pants!ではなく、もっとお笑いっぽい英語にできないか考えてみました。
誰も予想しなかった?決勝進出の快挙
2023年4月に、イギリスのオーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』(Britan’s Got Talent)の第16シーズンに出演した、お笑いタレントのとにかく明るい安村さんは、イギリス国民の喝さいを浴びて準決勝にまで進出。公開投票で18.3%の票を獲得し2位となったものの、結果的には敗退してしまいました。しかし、彼は審査員が選ぶワイルドカードとして決勝に復帰、最終的には公開投票で2.9%の票を獲得し、最終順位は11位でした。
パンツだけを着用した状態で、裸であるかのように見えるポーズを取り、Don’t worry, I’m wearing ... と言うと、審査員と観客が一斉にPants!とコール。安村さん本人は、自分の英語が正しいと思っていたようですが、正しくは目的語が必要だったために、会場で思わぬコールアンドレスポンスによる一体感が生まれました。
さて、この「安心してください、はいてますよ」の英語Don’t worry, I’m wearing pants!は極めてシンプルですが、もっとお笑いっぽい英語もあるのではないかということで、アルクのネイティブスタッフに調べてもらいました。結論から先に言うと、多過ぎてまとめるのが大変でした。では、どうぞ!
イギリス英語とアメリカ英語:pantsの違い
『ブリテンズ・ゴット・タレント』はタイトル通り、イギリスの番組です。安村さんと会場との掛け合いで、日本語の「パンツ」の意味でPants!が使われましたが、実はイギリス英語とアメリカ英語で全く違う意味を持ちます。
イギリス英語では「pants」は男性や女性が着用する下半身の下着を指します。それに対し、アメリカ英語では「pants」はズボンを指します。ですから、これがアメリカの番組であれば、違う掛け合いになった可能性がありますが、Pants!の方がリズミカルで楽しく聞こえますね。
ちなみにunderpantsは、イギリス英語でもアメリカ英語でも同じ意味で、男性、女性が着用する下着を指します。また、アメリカではdrawersという単語も使われていて、これは特に男性が着用する下半身の下着を指します。一方、pantiesはアメリカ英語で、女性や子供が着用する下着を指すそうです。
Don’t worryを言い換えてみる
さて、前置きが長くなりましたが、安村さんの決めゼリフの英語のバリエーションを考えてみましょう。
まずは前半部分から。Don’t worryはNo worriesと言うこともできますが、ここではworryという語を使わない表現を紹介します。たくさんあって、びっくりです。
Fear not!
心配しないで!
古風な表現で、直訳では「恐れることはない」という意味を持ちます。
Hold your horses!
ちょっと待って!
直訳だと「馬を押さえて」です。そこから転じて「ちょっと待って、急がないで」という意味を持つ慣用表現です。
Easy, there!
心配しないで!
Settle down!
落ち着いて!
Keep your cool! / Keep cool!
冷静になって!
Hold the panic!
慌てないで!
Rest easy!
安心して(休んで)!
No need for alarm!
警戒する必要はない!
Keep calm!
落ち着いて!
Stay chill!
冷静でいて!
chillは「ひんやりとした」というcoolと似た意味を持ち、ここではスラングで「冷静に」というニュアンスで使われています。
No sweat!
全く問題ない!
元々は「汗をかかないくらい簡単なこと」という意味です。
Relax, folks!
皆さん、リラックスして!
At ease!
リラックスして!
軍隊の号令で「休め」に当たります。
All’s good!
問題ありません!
「全てが良い状態にある」という意味です。
No fuss!
騒がないで
Don’t get your knickers in a twist!
そんな心配しないで
「心配し過ぎないで」という意味のイギリス英語の表現です。
ちなみに、ここで紹介したものは、コメディアンが言うとしたら・・・という前提で考えていますから、日常会話ではDon’t worryと完全一致ではなく、ちょっとふざけたニュアンスもある、ということをお忘れなく。
I’m wearing pantsを言い換えてみる
後半部分を考えてみましょう。
Got my pants on!
パンツを履いています!
これはpantsをそのまま使った言い換え表現。次からはpantsを使わずに同じ意味を伝える、「お笑い」表現です。
My bottom’s covered!
私のお尻は覆われています!
I’m clothed down below!
私は下に服を着ています!
Not going commando here!
下着を履かないスタイルはしません!
commandoにはスラングで「下着を身に付けないスタイル」という意味があります。一部の説では、軍人が野外活動中に下着を着用せずにズボンを履くことがある、という事実に由来するそうです。とはいえ、安村さんの場合は、ズボンを履いていないわけですが・・・。
I’m decked out downstairs!
私は下半身に服を着ています!
decked outは、元々は船の甲板(deck)を飾り付ける、つまり船を装飾するという意味から来ています。それが後に、人が装いを整える様子を指すようになりました。例えば、パーティーや特別なイベントのために特別な服装をするときに、I’m decked out for the party.のように使われます。downstairsは、ここでは比喩的に人の下半身を指しています。
No peekaboo for you!
見えませんよ!
peekabooは子供の遊びで、一瞬隠れてすぐに現れるものを指します。ここでは下着がしっかりと身に着けられ、何も見えないよ、という意味になります。
I’m not feeling a breeze down there!
ちゃんと隠してます!
「そこで風を感じていませんよ!」というのが直訳です。下着を履いているから、風は直接当たりませんよ、という意味になります。
My gear is here!
装備はちゃんとある!
gearは装備や道具のことを指しますが、ここでは下着を意味します。
まとめ
いかがでしたか。「安心してください、はいてますよ」はDon’t worry, I’m wearing pants!以外にも、いろいろな英語で表現できることが分かりました。日常会話で使う場面はそれほど多くないと思いますが、何かの参考になれば(なりますかね?)うれしいです。
アルクのベストセラー書籍100タイトル以上が使い放題!
「キクタン」など、アルクの人気書籍600冊以上に対応!購入した書籍の本文と音声コンテンツをスマホで手軽に使用できるだけでなく、学習定着度を高めるクイズ機能が、日々の力試しや復習をサポートします。さらに、Plusプランを購入すれば、100冊以上の書籍が使い放題に!
▼「booco」の無料ダウンロードはこちらから
語彙力&フレーズ力を磨く、おすすめの本
ネイティブと渡り合える、知的で洗練された英単語力。
本書は、アルクの『月刊ENGLISH JOURNAL』(1971年創刊~2023年休刊)に掲載されたネイティブスピーカーの生のインタビューやスピーチ、約300万語のビッグデータから、使用頻度の高い英単語300個を厳選し、一冊に編んだものです。
すべての英単語は日本語訳、英英定義、例文と共に掲載、無料ダウンロード音声付きで、読んでも聞いても学べる英単語帳です。また、難易度の高い単語をしっかり定着させるため、穴埋め問題やマッチング問題、さらに構文や使用の際に気を付けるべきポイント解説も充実しています。伝えたいことが明確に伝えられる、上級者の英単語力をこの一冊で身に付けましょう!
英語中級者と上級者の違いは、的確で、気の利いたフレーズ力!
50余年の歴史を持つ、アルクの『月刊ENGLISH JOURNAL』(1971年創刊~2023年休刊)に掲載されたインタビューやスピーチ約300万語というビッグデータの中から、頻出する英語フレーズ300個を厳選。日常会話やemail、SNSではよく使われているのに、日本人が言えそうで言えない、こなれたフレーズを例文と英英定義と共に収載しました(全音声付き)。
厳選した300種類の穴埋め問題&マッチング問題を通して、「見てわかる」のレベルから「自分でも使える」ようになるまで、しっかり定着させます。上級者への壁をこの一冊で打ち破りましょう!
難関大を目指す受験生が英単語を「極限まで覚える」ための単語集
大学入試などの語彙の問題は、「知っていれば解ける、知らなければ解けない」ものがほとんど。昨今の大学入試に登場する単語は難化していると言われており、文脈からの推測や消去法では太刀打ちできない「難単語の意味を問う問題」が多数出題されています。こうした問題をモノにして、周囲に差をつけるには、「難単語を知っていること」が何よりのアドバンテージです。