「和製英語は面白くて魅力的!」そう力説するアンちゃんが今回取り上げるのは、放送メディアの和製英語。「キャスター」「ロケ」「セレブ」など、普段あまり気にせずに使っている和製英語がたくさんあります!
目次
「活動」はactivities?活躍はaction?
私は2年前から、福岡のさまざまなメディアで活動をしています。新聞の連載を持ったりテレビでコメンテーターをしたり、本当に忙しいですが、充実した日々を過ごしています。毎日のように多くの方から「活動を応援しています!」「ご活躍をお祈りしています!」といった温かいコメントを頂き、本当に感謝しています。
「活動」に、「活躍」。
どう考えても英語に訳しづらくて興味深い言葉です。
辞書で調べるとactivitiesやactionが出てきますが、実際にはあまり使われない気がします。日本語では「活動」や「活躍」という言葉をかなり頻繁に使うのに、それにぴったりと当てはまる言葉がないのはとても不思議なことです。しかも、自分自身の活動について話すときには「活躍」という言葉を使わないことも面白いです。
私がやっていることを英語で説明するときは、いつも次のような感じです。
I’ve been doing this media stuff for about two years. I’m doing various things in the media right now.
メディアを通じた活動をするようになって、多くのメディア用語を学びました。私が大好きな和製英語もたくさんあります。
今回は、そんなメディア用語について話したいと思います。
では、始めましょう!
私が英語を書くときにも使いたくなる「ロケ」
明日(この記事を書いている翌日)、私は初めて福岡のローカル情報番組でロケに行きます!とても楽しみにしていますが、食リポは下手なので、少し緊張しています。すべて「おいしい!」で終わりそうです・・・。
味を表す日本語は英語より多いので、かなり苦労する気がしますが、それについてはまた後日、別の機会に触れたいと思います。今は「ロケ」について考えましょう。
「ロケ」は英語のlocationから来ています。ただ、英語では、I’m going on my first location tomorrow.とは言いません。「ロケ」は立派な和製英語です!
では、英語でなんと言えばいいでしょうか?私が最も近いと思っているのはTV shootです。
I’m going on a TV shoot tomorrow.
I have a TV shoot tomorrow.
でも、私は「ロケ」という言葉の方が好きです。私の仕事について英文を書くときには、よくI have a roke tomorrow.と書いてしまいます(笑)。日本では許されますが、海外では絶対に通じません。気を付けないといかん!
英語でlocationを使うときはありますが、たいていの場合は映画の撮影場所を説明するときです。例えば、
The Lord of the Rings was filmed on location in New Zealand.
『ロード・オフ・ザ・リング』はニュージーランドで撮影されました。
ちなみに、明日のロケがどうなったかは後で報告します!
By the way, I’ll let you know later how my TV shoot went!
「VTR」が指すものは何?
この単語もバリ不思議です。VTRは、日本語ではいろいろ意味があります。まず、ビデオテープを入れる機械のことを指します。最近はあまり使われていませんが、その機械を英語ではVCRと言います。video cassette recorderの略です。
日本語のVTRはvideo tape recorderの略です。これはリールに巻かれたビデオテープをセットする古いタイプの機械のことで、今、英語圏でVTRと言っても、何のことか理解されない可能性があります。さらに日本語のVTRは、機械だけではなく録画された内容も指します。テレビ番組中によく放送される録画された動画です。
私はコメンテーターとして、よくスタジオでVTRを見てコメントをします。このVTRも英語圏では通じないでしょう。英語では、場合によって言い方が変わります。
I saw a really touching story on TV.
テレビでバリ感動的なVTRを見た!
I’m going to make a 12-minute video for a TV program.
12分のVTRを作ります。
テレビで放送されるVTRであれば、video for a TV programと説明した方がいいですね。videoだけでは、何のためのものかよく分かりません。
バラエティー番組によくある「コーナー」
日本のバラエティーや情報番組の中には、定期的に放送される「コーナー」があります。この単語も、残念ながら英語ではありません。また、これにぴったり当てはまる英語もありません。segmentという単語が使えますが、日本語ほど使わない気がします。
I do a segment on that TV show every week about English.
あの番組の英語のコーナーを毎週持っています。
He does a cooking segment on that show every week.
彼は、あの番組の料理コーナーに毎週出ています。
「コーナー」は店などでも使われますね。
Where are the foreign language books?
Where is the foreign language section?
洋書コーナーはどこですか。
Where is the kids’ section?
Where is the kids’ area?
Where is the kids’ department?
子ども用品コーナーはどこですか。
ニュース番組に欠かせない「キャスター」
「キャスター」は英語のnewscasterの略です。newscasterとは言いますが、casterと略すことはありません。
I want to be a newscaster when I grow up.
大きくなったら、キャスターになりたい。
番組のメインキャスターはnews anchorと言います。
He is the news anchor for that TV station.
彼は、あのテレビ局のメインキャスターだ。
「アナウンサー」は英語でannouncerですが、TV announcerの方がよく聞く気がします。
That TV announcer is really popular.
あのアナウンサーはとても人気がある。
日本では、よく「女子アナ」という言葉を耳にします。これもまず「アナ」が和製英語です。そして、英語圏では男性アナウンサーと女性アナウンサーを言葉で区別することがありません。これは日本の文化の特徴だとよく思います。
日本では食べ物も性別で分けることがありますよね。例えば「レディースプレート」とか「男前カレーパン」(私の地元で人気です)とか、英語圏ではほとんど聞きません。
映画の和製英語「ロードショー」
初めて「ロードショー」という日本語を聞いたとき、私は「これはなんやろう?」と思いました。この言葉は語源は英語ですが、実は和製英語です。
アメリカの映画界では、映画をまずは大都市で公開し、その後、地方で上映するという方法がありました。この段階的な公開の、大都市での初上映をroadshow theatrical releaseと呼ぶようになったそうです。
でも、なぜか日本語の「ロードショー」の意味はどんどん変わっていって、今の意味は「全国公開」に近い意味になりました。では、この日本語の「ロードショー」はどうやって英語で表したらよいでしょうか。
皆さんもご存じだと思いますが、映画の予告編では終わりの部分で公開日を表示することが多いです。英語ではin theatersに続けて公開日が書かれています。例えば、
In Theaters 1.28. 2020
これが「ロードショー」に一番近い表現です。
ちなみに、「予告」はmovie trailerやmovie previewです。また、「全国ロードショー」はin theaters nationwideと言います。
幅広い話題を取り上げるから「ワイドショー」?
私は、福岡で「めんたいワイド」という情報番組にコメンテーターとして出演しています。初めてこの番組の名前を聞いたときは「すごい名前やん!」と思いました。福岡は明太子で有名ですから、「めんたい」の意味はすぐに思い付きましたが、「ワイド」は分かりませんでした。
この「ワイド」は和製英語の「ワイドショー」から来ています。幅広い情報を放送するので、そんなふうに呼ばれるようになりました。ちなみに2000年代に入ってから、テレビ局は「ワイドショー」というネーミングをやめ、「情報番組」と呼ぶようになりました。
アメリカには日本の「ワイドショー」にぴったり当てはまるものがありませんが、似ているのはtalk showです。talk showの特徴はさまざまなグストを呼んで話をすることです。もちろんニュースやグルメも取り上げますが、日本ほどではない気がします。
日本の情報番組は、グルメの話題が大好きですよね?福岡の情報番組もグルメコーナーがとても多いです。私は日本のテレビ番組を見るたびに、日本人はどれだけ食事を大事にするんだろうと思います。日本人はずっと食べ物について考えているような気がします・・・。
なんで「タレント」なんでしょう
メディアに露出するようになってから、私にも「タレント」の友人が数人できました。この「タレント」は面白い言葉だといつも思います。英語にtalentという単語はありますが、「才能」という意味です。人の職業を指すときには使いません。
よく考えてみると、日本の「タレント」みたいな人はあまりいません。コメディアンはいます。俳優もたくさんいますが、テレビで話すだけのような「タレント」枠に収まる人は少ない気がします。俳優はactor/actress、映画に限るならmovie starと言うこともできます。
Brad Pitt is my favorite actor.
私の一番好きな俳優はブラッド・ピットです。
I want to be a movie star.
映画スターになりたい。
celebrityという単語もあります。日本では「セレブ」と言いますね。この言葉の意味は幅広く、「有名人」「芸能人」の意味に近いです。
He has a lot of famous friends.
He has a lot of celebrity friends.
彼にはたくさん有名人の友達がいる。
He is super famous, so people are always asking for his autograph.
Since he is a celebrity, people are always asking for his autograph.
彼は超セレブだから、いつもサインを頼まれている。
まとめ
もっと書きたいけど、この記事の字数制限をかなり超えてしまいました!だから次回、またエンターテインメント系の和製英語について書きます!お楽しみに!
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アンちゃんが2018年に登壇したTEDxFukuoka。「世界観を知ると人は変わる(Understanding Worldview Changes Us)」のトークはすべて日本語で行われましたが、YouTube動画には英語字幕も付きました!アンちゃんが考える「学び」の原点とは?
アンちゃんが英語&英会話のポイントを語る!
upset(アプセット)って「心配」なの?それとも「怒ってる」の?「さすが」「思いやり」「迷惑」って英語でなんて言うの?などなど。四半世紀を日本で過ごす、日本と日本語が大好きな言語学者アン・クレシーニさんが、英語ネイティブとして、また日本語研究者として、言わずにいられない日本人の英語の惜しいポイントを、自分自身の体験談・失敗談をまじえながら楽しく解説します!