犬の優れた嗅覚を利用し、人の汗や尿などのにおいで病気の人を見分ける「医療探知犬」をご存じですか?今、新型コロナウイルスに感染した人を識別する研究が進んでいます。今回は、「コロナ探知犬」について詳しくご紹介します。
今回のニュースな英語
sniffer dogs新型コロナウイルスの感染 拡大 を抑えるために、今も国際的な人の動きに制限を設けている国や地域は少なくありません。そこで注目を集めているのが、先日フィンランドの空港で導入された「コロナ探知犬」の存在です。
今回は、 「探知犬」(麻薬探知犬や検疫探知犬など)を意味するsniffer dogs という表現を取り上げます。
背景
新型コロナウイルス感染症のテストは現在、PCR検査、抗体検査、抗原検査が主に活用されていますが、コストや時間、感染のリスクなどの問題点が 指摘 されています。
一方で、新型コロナウイルスに感染した人を、犬の嗅覚を使って検知するコロナ探知犬の訓練がイギリスなどで行われています。犬による病気の検知はこれまでも、がんやマラリア、パーキンソン病などで可能になっており、こうした犬は、medical detection dogs(医療探知犬)と呼ばれています。
そしてこのほど、フィンランドのヘルシンキ空港で、試験的にコロナ探知犬が世界で初めて導入されることになりました。同空港で活動する探知犬は、フィンランドの ワイズ・ノーズ という探知犬を専門に扱う組織が訓練したものです。
ニューヨーク・タイムズ によると、新型コロナウイルスに感染しているか否かの 判定 にコロナ探知犬が要する時間はわずか10秒。検査を受ける人が汗を拭きとってサンプルを 提出 、探知犬が嗅いで 判定 するという全行程にかかる時間はわずか1分ほどだそうです。その上、鼻から綿棒を入れられて痛い思いをしたり、検査する側に感染のリスクが生じたりすることもありません。
www.nytimes.comしかもコロナ探知犬は、無症状(asymptomatic)の感染者や発症前の感染者さえも見つけ出せるそうです。つまり、PCR検査よりも早い段階で感染を 判定 できることになります。
フィンランドの研究者によると、コロナ探知犬の精度はほぼ100%。その上、安く、迅速かつ効果的に感染者の発見ができるようになります。空港のように短時間に大人数が往来する場所にうってつけの検査法と言えます。
どんなふうに使われている?
画像: PhotoAC
コロナ探知犬は、Covid-19 sniffer dogs などと呼ばれています。snifferは、「においを嗅ぐ」という意味の動詞sniffから来ています。つまり直訳すると、「新型コロナウイルスのにおいを嗅ぐ犬」という意味。一般的に、空港などにいて違法薬物や爆発物を探知する犬は、sniffer dogsと呼ばれます。
英紙 ガーディアン はこんなふうに報じています。
Four Covid-19 sniffer dogs have begun work at Helsinki airport in a state -funded pilot scheme that Finnish researchers hope will provide a cheap, fast and effective alternative method of testing people for the virus .www.theguardian.comコロナ探知犬4頭が、ヘルシンキ空港での 作業 を開始した。国費による試験的なスキームで、フィンランドの研究者らは、新型コロナウイルスの検査法として、安価で迅速かつ効果的な代替手段になると期待している。
こちらは、ガーディアンの動画。コロナ探知犬がどのように嗅ぎ分けるかの様子を見ることができます。
探知犬を表現する言葉はほかにも detection dogs があり、新型コロナウイルスを探知する犬は、 Covid-19 detection dogs などと呼ばれています。corona dogsやCovid-19 dogs などと表現しているメディアもあります。例えば下記は、ヨーロッパのニュース専門局 ユーロニュース の記事です。
Researchers believe that if successful, the pilot scheme could lead to “corona dogs” being deployed in a variety of settings such as nursing or retirement homes and customs and other border points.other border pointsは、国境やEUの境界線など地域の境界となるところで、税関以外の場所を指しています。研究者らは、今回の試験的な運用が成功すれば、「コロナ犬」が高齢者施設や税関、その他の国境地点などさまざまな場所で 展開 される 可能性がある と考えている。
まとめ
犬の嗅覚の鋭さは、医療探知犬としてすでに活用されていますが、 新型コロナウイルスの感染者を見つけるために活動するコロナ探知犬は、Covid-19 sniffer dogs、Covid-19 detection dogs などと呼ばれています。文脈から明らかに「新型コロナウイルスを嗅ぐ」と明確な場合は、Covid-19を付けずに単にsniffer dogsや detection dogsなどと表現されることもあります。
ところで、空港で活動する探知犬は一般的に、ビーグルが多いようです。しかしコロナ探知犬 に関して 言えば、動画からもわかる通り、必ずしも特定の犬種ではなさそうです。
ガーディアンの こちらの記事 によると、「どの犬種もコロナ探知犬になれる 可能性がある 」とのこと。あなたの愛犬も訓練すれば、新型コロナウイルスを検知できるようになるかもしれません!?
www.theguardian.com2週間無料でお試しできる!プレミアムメンバーシップ
月額980円(税抜)のプレミアムメンバーシップに会員登録をしていただくと、「 PREMIUM 」エリアに公開されるすべての有料記事へアクセスができます。 ほかにもアルクの電子書籍の購読、イベント優待など、学習のモチベーションを継続させるためのさまざまコンテンツをご用意していく予定です。 まずはぜひ、2週間無料でお試しください。
松丸さとみ フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に 『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 (日経BP)、 『限界を乗り超える最強の心身』 (CCCメディアハウス)、 『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』 (サンマーク出版)などがある。
Blog: https://sat-mat.blogspot.jp/
Twitter: https://twitter.com/sugarbeat_jp
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。