「次期大統領」は英語でなんと言う?【ニュースな英語】

大激戦となった2020年のアメリカ大統領選挙は、ジョー・バイデン前副大統領が共和党のドナルド・トランプ大統領を破って勝利を収めました。通常より開票に時間がかかりましたが、 原因 はなんだったのでしょうか?今回の「ニュースな英語」は大統領選挙に関するフレーズを詳しくご紹介します。

今回のニュースな英語

president-elect
11月3日に投票日だったアメリカ大統領選、混戦を極めていましたがやっとジョー・バイデン氏が次期大統領に決まりました。今回のニュースな英語は、president-elect(次期大統領)を始め、選挙に関連したフレーズをいくつかご紹介します!

開票が遅れた理由は……

アメリカの大統領選は毎回、11月の第1火曜日が投票日と決まっています。通常は、当日に開票が進み、各報道機関は得票率から誰が当選したかを報道し始めます。とはいえ、今年は新型コロナウイルス感染症の流行が 原因 で、様子がかなり異なりました。

人混みの投票所へ行くと感染のリスクが高まるため、当日を待たずに投票する「期日前投票」や、郵送で投票する「郵便投票」が活用されたのです。「期日前投票」はearly voting、「郵便投票」はpostal votingやmail-in ballot などと言います。例年と比較して今回の選挙で当選者がなかなか判明しなかった主な 原因 は、郵送された投票用紙を職員が手 作業 で一つ一つ確認していたからでした。

ただこうした感染症対策として取られた措置にも問題があったようです。せっかく郵送した自分の投票用紙が無効になったり、期日前投票に行ったのに投票所の不備などで思うように票を投じられなかったりといった都市もあったと報じられていました。

意図的にこうした状況を作り出し投票妨害をする行為「 voter suppression 」(直訳すると「有権者への抑圧」)があったのではないか・・・と報じる記事も少なくありませんでした。

www.bbc.com

当選したバイデン氏のこと、何と呼ぶ?

さて、バイデン氏の当選ですが、はっきりしたのは日本時間の8日でした。投票が締め切られたのが日本時間4日でしたから、4日間かかったことになります。

バイデン氏は 今後 、就任するまでの期間はpresident-electと呼ばれることになります。electはもちろん、動詞の場合は「選出する」「選挙する」などの意味です。president-electのように形容詞として使う場合は、就任前の「当選した」「選出された」という状態を表現します。

7日付の ニューヨーク・タイムズ (NYT)はこんなふうに伝えています。

Joseph R. Biden Jr. addressed the nation for the first time as president-elect on Saturday night…

ジョセフ・R・バイデン・ジュニア氏は7日夜、次期大統領として初めて国民に向けて演説を行った。

www.nytimes.com

今回の大統領選でのバイデン氏の得票数は、これまで最多だったオバマ前大統領の記録を塗り替え、アメリカ大統領選史上最多だったそうです。

激戦州(swing state やbattleground state などと呼ばれています)が勝敗のカギを握っており、バイデン氏がこれらの州でトランプ氏より多く得票したことで、当選が確実となったようです。バイデン氏の勝利がnarrow win(辛勝)などと表現されているのはそのためです。

「辛勝」の反対となる「大勝」を表現する場合は、landslide victoryなどと表現されます。landslideは地滑りのことで、よく「地滑り的勝利」などと訳されます。

こちらは10月にニュージーランドで行われた総選挙でアーダーン首相が大勝したことを伝えるイギリスの フィナンシャル・タイムズ (FT)の記事です。

Jacinda Ardern will serve a second term as New Zealand prime minister following Labour’s landslide victory in an election on Saturday…ジャシンダ・アーダーン氏は10月17日の選挙で労働党が地滑り的に勝利したことを受け、ニュージーランド首相として2期目を務めることとなった。
www.ft.com

ところでNYTもFTも曜日で記事を書いているのに気付いた人もいるかもしれません。日本の新聞は大抵日付で報じますが、英語圏のニュースでは曜日で報じられるのが一般的です。

まとめ

とうとう選挙が終わり、これからバイデン氏が就任(inaugurate)する1月までは、同氏はpresident-electと呼ばれることになります。就任日(inauguration day)は過去70年以上にわたり同じ日だそうで、つまりバイデン氏も来年の1月20日に正式に就任すると見られています。

アメリカ大統領の任期は4年間であるため、大統領選に関する語彙を増やせるのは4年に1度のチャンスです。選挙が終わっても、president-electやinaugurationなど、大統領選の結果を受けたフレーズを聞く機会は少なくないはずですから、ぜひこの機会にたくさんニュースを読んで、大統領選に関するキーワードを学びましょう!

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記事中画像: PhotoAC からの画像

松丸さとみ フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に 『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 (日経BP)、 『限界を乗り超える最強の心身』 (CCCメディアハウス)、 『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』 (サンマーク出版)などがある。
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