英語学習を加速する「メタ言語」というスキル ― AI時代に英語力を向上させてくれるレシピ

生成AIを英語学習に活かすための軸となる、不可欠な3つのスキル「メタ認知」「メタ言語」「プロンプトエンジニアリング」。2つ目の「メタ言語」は、言語そのものや学習方法を深く理解するための「言葉についての言葉」です。メタ認知を支える重要なスキルとしてのメタ言語が、生成AIとの効果的な対話をどのように実現するか解説します。

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英語力を高める「メタ言語」とは:学習効果を上げるレシピ

メタ言語は、言語そのものや学習方法を深く理解するための「言葉についての言葉」です。先ほどのセクションで解説したように、メタ認知的知識を支える概念になります。

理解を深めるために、突然ですが、メタ言語を料理に例えてみましょう。料理をするとき、私たちは、おいしい料理を作ることを目指します。そのおいしさを解像度高く表現するには、「歯ごたえのある」「うま味」と「程よい塩味」のバランスの取れた味というように、具体的に表現するかもしれません。そして、その味を実現するために、「切る」「炒める」「煮る」といった調理の動作を行います。

これらの言葉は料理の味や手順を説明するための用語、つまり料理のメタ言語に相当します。レシピには「野菜を細かく刻んで、強火で炒める」といった具体的な指示が書かれており、これらの言葉を理解することで、誰でもおいしい料理を作ることができるのです。

英語学習でも同様のことが言えるでしょう。

効果的な英語学習への道を開く、2種類のメタ言語

英語学習に関連するメタ言語は、大きく2つのカテゴリに分けられます。

まず私たちは、英語を「分析する」必要があります。そのためには「言語学のメタ言語」が必要です。たとえば次のようなものです。

「言語学のメタ言語」の例
文法用語:「主語」「動詞」「関係代名詞」
音声学用語:「リエゾン」「イントネーション」「音素」
語彙に関する用語:「コロケーション」「同義語」「反意語」


これらのメタ言語は、英語という言語の構造や特徴を理解し、分析するための道具となります。料理の味を、より細かく表現するための言葉たちとも言えるでしょう。

2つ目は「英語学習方法のメタ言語」です。これは学習方略やプロセスに関する用語です。たとえば次のようなものです。

「英語学習方法のメタ言語」の例
分散学習:効果的な学習間隔の取り方
アクティブ・リコール:能動的に記憶を引き出す学習方法
スラッシュリーディング:文章を意味のかたまりで区切って読む方法


これらは効果的な学習方法を理解し、実践するための指針となります。料理で言えば、「下ごしらえ」「火入れのタイミング」のように、おいしい料理を作るためのコツや手順を説明する言葉です。

これら2種類のメタ言語は、メタ認知的知識に対応した重要な構成要素として機能します。言語学のメタ言語は「タスクについての知識」として英語の構造や特徴の理解を深め、英語学習方法のメタ言語は「方略についての知識」として効果的な学習方法の選択を可能にします。

特に生成AIを活用する際、これらのメタ言語を適切に使用することで、より具体的で効果的なプロンプトを作成することができます。

【プロンプト例:英語の実力評価を依頼する】

◆ プロンプト(生成AI への指示)◆
私の英語のスピーキング能力を評価してほしいです。特にイントネーション音素の発音の正確さに焦点を当ててください。これらの要素がどの程度効果的に使用されているかをこれらのメタ言語を使って詳しく説明し、その改善点をフィードバックしてください。

◆ 生成AI の回答 ◆
あなたのスピーキングでは、イントネーションのパターンが比較的一貫していますが、特定の質問文で上昇調が不足しており、自然な抑揚に欠けています。発音の正確さに関しては、特に子音の終わり音(/t/ や/d/)が不明瞭で、聞き取りが難しい部分が見られました。これらの問題点を改善するために、特定の音素の練習や、質問文におけるイントネーションのパターンを重点的に練習することをお勧めします。

このように、メタ言語を理解し使いこなすことで、生成AIとのより具体的で有意義な対話が可能になります。料理のレシピが料理を成功に導くように、メタ言語を駆使した生成AIへのプロンプトが、効果的な英語学習への道を開いてくれるのです。

書籍『ChatGPT英語学習術 新AI時代の超独学スキルブック』(以下、『ChatGPT英語学習術』)の中では、これらのメタ言語の具体例とその活用方法を詳細に提供しています。メタ言語の理解と活用は、生成AIを使った英語学習の質を大きく向上させる鍵となるのです。

厳選されたメタ言語が近道になる

本書で取り扱うメタ言語は、英語学習において特に役立つと考えられる用語を厳選して紹介するものです。そして、説明したように、メタ認知的知識の「タスクに関する知識」と「方略に関する知識」に対応するものです。ただし、『ChatGPT英語学習術』はすべてのメタ言語を網羅するものではなく、実際の英語運用を念頭に置き、より実用的な概念に焦点を当てています。

たとえば、「コアミーニング」というメタ言語を理解していれば、単語の多義性を効率よく学ぶ手助けになると考えて、この言葉を選択しています。つまり、従来の英語教育ではあまり触れられてこなかったけれども、生成AIと共に英語を使う上で非常に有用な言葉を選び抜いています。

【POINT】

  • メタ言語は、料理の味や手順を説明するためのレシピのようなもので、生成AIとのより具体的で有意義な対話を可能にする。
  • 英語学習に関するメタ言語には、英語を分析するための「言語学のメタ言語」と、学習方略やプロセスに関する「英語学習方法のメタ言語」の2つがある。

AIで英語学習を成功させるために不可欠な3つのスキルのうち、2つ目の「メタ言語」について見ていきました。次の記事では、メタ言語をどう使いこなせばよいのかに迫ります。引き続きお見逃しなく!

(※この記事は『ChatGPT英語学習術 新AI時代の超独学スキルブック』を基に作成しました)


ENGLISH JOURNAL編集部
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