韓国語を教える現場と必要な資格、韓国語講師の採用情報はどうなってるの?【韓国語の先生になろう②】

豊富な実例を交えながら、「韓国語の先生になる方法」を丁寧にガイドする書籍『韓国語の先生になろう』が、アルクから好評発売中です!韓国語講師を目指している方はもちろん、「まだ韓国語学習途中だけど気になっていて・・・」という方まで、書籍の内容をたっぷり“覗き見”いただける記事をお届けします。

前回は、「韓国語を教える人が身につけておきたいこと」に触れた部分をご紹介しました。

今回は、韓国語を教える現場ごとの「求められる資格や内容」、そして採用についての情報をお届けします!(WEBページ閲覧用に若干の調整を加えておりますのでご了承ください)


韓国語を教える現場

韓国語講師に求められる資格や内容は、「教える現場」によって違います。現場は大きく3つに分けられます。

① 中学校、高校

東京、神奈川、大阪エリアが中心になりますが、公立の単位制高校や総合高校、外国語科目を設置している普通科高校、民族学校、あるいは語学教育に熱心な私立中学校・高校などで、選択科目の1つになっています。ここで教えるには、日本の韓国語・朝鮮語の教員免許が必要となります。

② 大学

韓流ブームが続いていることもあり、韓国語(朝鮮語、コリア語など、科目名はさまざまです)は、今や大学の第二外国語でトップレベルの人気を誇る言語になっています。大学によっては、履修希望者があまりにも多いため、受講者を抽選で決定せざるを得ない状況だそうで、主に非常勤講師ではありますが、韓国語を教えられる人が求められています。韓国語などを専攻して大学院を修了している必要があり、ハードルは少し高くなるでしょう。韓国の大学院に留学して学位を取り、大学で教えているケースもあります。

③ 民間の語学スクールや市民講座

本書で主に想定しているのは「民間の語学スクールや市民講座」です。韓国語講師としては、最も身近で需要がある現場と言えるでしょう。複数の講師が所属する語学スクールもあれば、講師が一人で運営している語学スクールもあります。また、大学の生涯教育センターや地方自治体が開設する市民講座の中に、語学講座が設けられることがありますが、最近では、韓国語への関心の高まりを受けて、韓国語の講座を設けるケースが増えてきています。

この現場では、1対1のいわゆるマンツーマンから、数人の学習者を対象にしたグループ型など、幅広い形の授業が行われています。

レベル別に授業を行うところが多く、受講生のレベルに合わせて入門から上級までクラスが用意されています。最近では学習者の興味の幅が広がってきており、レベル別だけでは飽き足らない学習者のために、文化や歴史などを絡めた特別講座を用意するスクールもあります。また、民間の語学スクールの場合、「講師全員がネイティブ・スピーカー」など、特色を出していることが多いです。

ミレ(※著者・前田真彦先生が院長を務める韓国語スクール)の場合は、発音に特化した講座や、韓国語講師を養成する講座など、多彩なプログラムを用意していること、また「日本人に合った教え方をする先生を揃えている」ことが特長です。

さまざまな目標や悩みを持つ学習者に対応するためには、1人だとどうしても難しい場合があるので、複数の講師と連携を取ったり、相談したりしながら教えられる環境が望ましいと思います。最初は大きめの語学スクールに所属して経験を重ね、その後2、3人の仲間で独立するやり方もあるでしょう。また、日本人とネイティブ・スピーカーの二人三脚で運営する方法もあるかもしれません。


韓国語講師の採用について

採用の際に、どのスクールでも必ず求められるという共通の資格はありませんが、日本人講師の場合、韓国語能力試験(以下「TOPIK」)6級が応募要件になっているケースが多いと思います。また、面接などで、どのように韓国語を学んできたかについて問われたり、模擬授業で講師としての実力を確認されたりすることはあるでしょう。

ミレの場合、応募の必須要件はTOPIK6級を持っていることです。書類審査、10分の模擬授業、面接(発音変化の説明をしてもらうなどの課題あり)を経て、採用しています。

大学の生涯教育センターや地方自治体が開設する語学講座でも、主催者の審査を受けなければなりませんが、その内容は主催者ごとに異なり、採用に関する情報を集めにくいのが実情です。

スクールによっては、「韓語教員資格証(한국어교원자격증)」の有無を問われることもあります。

韓国語教員資格証とは、韓国の文化体育観光部長官が、韓国語教員になろうとする者に、一定の法定要件を備えているか審査し、与えている資格です。3級から1級まであります(TOPIKと反対で1級が一番上です)。

3級の取得にはいくつかルートがありますが、韓国で学位を取る以外では、韓国語教員養成課程を履修することで、韓国語教育能力検定試験の受検資格が得られます。その後の昇級については、定められた機関において一定期間の経歴が必要になります。

養成課程では、韓国語学、一般言語学及び応用言語学、外国語としての韓国語教育論、韓国文化などを学べます。オンライン講座を設けている機関や、夏季に短期集中で学べる機関などもありますので、興味があったら調べてみてください。


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前田 真彦
前田 真彦(まえだ ただひこ)

ミレ韓国語学院院長、翻訳グループ「架け橋人の会」主宰。
1964年生まれ。富山大学人文学部朝鮮語朝鮮文学コース卒、大阪外国語大学大学院博士前期課程修了、関西大学大学院博士後期課程単位取得後退学。専攻は韓国語教育学、韓国語音声学。
韓国系の私立学校である白頭学院 建国幼小中高等学校に、中高の国語科教員として21年間奉職。その間、吹奏楽部顧問や建国ランゲージセンター事務局などを歴任する。10年間中級をさまよった自身の経験を生かして「前田式」の教授法を開発。2010年4月、ミレ韓国語学院を立ち上げる。日本語話者の強みと弱みを知り尽くした指導に定評がある。ハンガンネット発起人・世話人の一人でもある。
著書に『前田式 韓国語上級表現ノート』(明石書店)、『韓国語上級への道トレーニングノート』(白帝社)、『前田式 韓国語中級文法トレーニング』(アルク)、『韓国語発音クリニック 新版』(白水社)、『新装版 韓国語発音変化完全マスター』『韓国語能力試験TOPIKⅡ作文完全対策』(HANA)など多数。訳書に『韓国語概説』(梅田博之監修、大修館書店)、『韓国史のなかの100人』(明石書店)、架け橋人の会としての訳書に『世宗、ハングルで世の中を変える』(CUON)などがある。

●ミレ韓国語学院ホームページ https://new.mire-k.jp/

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