
ChatGPTなどの生成AIの登場によって、英語学習の可能性は大きく広がりました。 一人でも英会話の練習ができ、英文の作成・添削も一瞬です。しかし、まだうまく活用し切れず戸惑っている人も少なくありません。AIを単なる「道具」ではなく、学習を支えてくれる頼れる「相棒」として使いこなすために欠かせないポイントを、 AIと英語を知り尽くした研究者・山田優さんに教えていただきます。
目次
ChatGPTで英語学習を成功させるには?鍵は学習フレームワークにあり
生成AIを英語学習に活かすためには、明確なフレームワーク(使い方の枠組み)が不可欠です。そして、その軸となるのが次の3つのスキル。
- 〈スキル 1 〉メタ認知
- 〈スキル 2 〉メタ言語
- 〈スキル 3 〉プロンプトエンジニアリング

英語学習に不可欠な「メタ認知」 ― 学びをコントロールする力
まず、3つのスキルのうち、最初の「メタ認知」とは一体何でしょうか?
メタ認知とは、自分の学習の「タスク」と「方略」を把握し、学習プロセス全体を「コントロールする」能力を指します。平たくいえば「自分の学習について考える力」のことです。
「自分の弱点を把握する」「3週間後の単語テストで満点を取るための学習方略を考える」といったことが「メタ認知」になります。この力を高めることで、自分の学びをコントロールする能力が飛躍的に向上します。
生成AIを活用する際、メタ認知の考え方は、特に重要になります。なぜなら、生成AIは、あなたの学習のメタ認知をサポートするもう一人の自分になってくれるからです。つまり、あなたの学習を一緒に考えるパートナーというわけです。
生成AIを味方にして、学習全体をコントロールする。これにより、学びのプロセスが自律化し、これまでになく英語学習が効率よく進められます。
生成AIを使ってメタ認知をベースにした英語学習を実現するには、「メタ認知」に加えて、「メタ言語」と「プロンプトエンジニアリング」のスキルも不可欠です。
英語力を伸ばす「言葉を説明するための言葉」が「メタ言語」
メタ言語とは、言語や学習方略そのものを俯瞰的に捉え、その仕組みを深く理解する概念です。言葉を説明するための言葉、と言い換えることもできます。たとえば、英単語の自然な並び順のことを「コロケーション」といいますが、このような専門的な言葉が「メタ言語」になります。
たとえば、「私の英語の作文をチェックしてください」と生成AIに指示するよりも「私の英語の作文のコロケーションが適切なのかを重点的にチェックしてください」というように、「コロケーション」という「メタ言語」をプロンプトに含めることで学びの質を高めることができます。つまり、メタ言語はメタ認知の解像度を上げてくれる鍵となるのです。
英語学習におけるAIとの対話力を高める「プロンプトエンジニアリング」
プロンプトエンジニアリングは、生成AIとの対話を効率的かつ効果的に行うための技術です。適切な質問を設計することで、生成AIから自分の学習課題に応じたフィードバックや情報を引き出せます。
たとえば、「TOEICの問題を作って」というプロンプトよりも、「TOEIC730点を目指してリーディングの問題を克服するために、まず必要な語彙のリストを作成し、それに合わせた問題も作成してください」というプロンプトを出せるようになると、学習がより柔軟で個別化されたものになるのは想像にたやすいでしょう。

ChatGPT英語学習に効く!3つのスキルの相乗効果とは?
これら3つのスキルを組み合わせることで、「学びをデザインする力」が最大化されます。そのメリットを具体的に見ていきましょう。
メリット1:リアルタイムでの学びの最適化
メタ認知で自分の学びを俯瞰しつつ、メタ言語を使って間違いや弱点を正確に把握し、プロンプトエンジニアリングを活用して生成AIから的確なフィードバックを得る。
このプロセスにより、学びがその場で最適化されます。たとえば、生成AIと英会話をしながら、途中で「今の私の英語の発音はどうでしたか?」と聞けば、即座に自分のパフォーマンスをモニタリングできます。
メリット2:深い学びを構築
メタ認知が全体を統括し、メタ言語が細部の分析を支え、プロンプトエンジニアリングが応用力を引き出します。英語学習に必要なメタ言語を知っておくことで、たとえば、英語のライティングを訂正してもらうときに「パラグラフ構成を重点的に添削してください」というようなワンランクアップした深みある学習が可能になるのです。
メリット3:質の高い学習サイクルの実現
生成AIを活用することで、学習のスピードが加速するだけでなく、個々の学習者に合った柔軟なプロセスが可能になります。つまり、生成AIに学習の目標を立ててもらい、自分のレベルにあった問題を作ってもらい、それを自分で学習したら、今度は添削してもらい、自分の弱点を認識したら、それを克服するための強化問題を作ってもらう、というように、高品質な学習サイクルを高速に回すことができるようになるのです。
このように、メタ認知を中心に、メタ言語とプロンプトエンジニアリングを組み合わせることで、学びをデザインする力を最大化できます。この力を活用すれば、生成AIとの対話を通じて、英語学習のスピード、質、そして楽しさが劇的に向上するのです。
【POINT】
- ①メタ認知:学びをコントロールする力。
- ②メタ言語:言葉を説明する言葉、つまり言葉を操る力。
- ③プロンプトエンジニアリング:AIを最適化する力。
- 3つのスキルを組み合わせることで、AI を活用した英語学習のスピード、質、そして楽しさが劇的に向上する。
(※この記事は『ChatGPT英語学習術 新AI時代の超独学スキルブック』[著・山田優]を基に作成しました)
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