AI(人工知能)、機械翻訳(MT)、大規模言語モデル。意味と活用法の違い分かりますか?

AI、機械翻訳、大規模言語モデルなど、さまざまな用語が出てきました。結局、何をどう使えば良いのでしょうか。それぞれの技術を分類し、活用方法について解像度を上げましょう。

翻訳ができるAIの種類

解説を始める前に、AI(人工知能)、機械翻訳(MT)、大規模言語モデル(LLM)について、その関係と種類の違いを整理し、これらの基本的な使い方、実力などを理解しておきましょう。

  • AI(人工知能)

これは大きなカテゴリで、コンピューターが人間のように学習し、問題を解決し、理解する能力を備えたテクノロジー全体を指します。AIは多くの異なる技術とアプリケーションを含み、機械翻訳やChatGPTもAIに含まれます。

  • 機械翻訳(MT)

AIの応用の一部で、1つの言語から別の言語へのテクストの自動変換を指します。これは高速で大量のテキストを翻訳するのに適していますが、必ずしも文化的なニュアンスや特異な文脈を理解するわけではありません。機械翻訳は一般的に大量のテキストを迅速に翻訳するのに適しています。

Google翻訳やDeepLなどの機械翻訳ツールは、一般的な文脈で使用される表現やフレーズの翻訳に強いですが、専門的な語彙や独特な表現を正確に翻訳するのは難しいことがあります。

  • 大規模言語モデル(LLM)

特定のAIモデルで、自然言語理解と生成に重点を置いています。ChatGPTはこの仕組みに基づいたツールで、対話の文脈を理解し、自然な会話を生成する能力があります。それはまた、ある言語から別の言語への翻訳を実行する能力もありますが、より深い文脈理解と対話型の要求に対応するために設計されています。翻訳要求に対して、ChatGPTは質問の文脈をより深く理解し、より人間らしい応答を提供することができます。

加えて、特定のフレーズや表現のニュアンスについての説明を求めることができ、さらには、翻訳以外の情報(例えば文化的な背景情報など)を提供することもできます。しかし、大量のテキストを翻訳する能力は機械翻訳に比べて限定的です。

次の図では、3つの用語(AI、機械翻訳、大規模言語モデル)の関係を示しています。最大の枠は「AI」を表します。「AI」の枠の内部に、「機械翻訳(MT)」と「大規模言語モデル(LLM)」があります。

「大規模言語モデル」と「機械翻訳」の円は、部分的に重なっています。これは、大規模言語モデルが機械翻訳の進歩に貢献することが可能であり(例えば、より自然な文章を生成するために)、また機械翻訳が大規模言語モデルの一部として利用されることがある(例えば、ChatGPTが異なる言語間での翻訳を行うことができる)という事実を表しています。

従来の機械翻訳とChatGPTの比較

従来の機械翻訳と大規模言語モデルの違いを翻訳するという観点から見ると、以下のような利点と欠点が考えられます。

従来の機械翻訳

利点
・即時に翻訳結果を得られます。
・使い勝手がよく便利です。
・多くの言語対応が可能で、幅広いニーズに対応できます。
・サイズの大きいファイルを翻訳できます。

欠点
・大規模言語モデルと比べると、文脈を理解する能力が限定的で、長文や複雑な文章では意味を取り違えることがあります。
・イディオムやスラング、文化的な表現に対する理解が弱く、これらを正確に翻訳するのが難しいです。
・文法的なエラーや不自然な翻訳が発生することがあります。
・プロンプトが使えないので、訳出の種類を変更するには、プリエディット(原文を前編集する)またはポストエディット(訳文を修正する)を行うしか基本的には方法がありません。機械翻訳自体をカスタマイズすることも技術的には可能ですが、一般ユーザーがそれを行うにはハードルが高すぎます。

ChatGPTの翻訳

利点
・文章全体の文脈を把握する能力が比較的高いです。
・複数の文をまたいでの参照や言及を理解することが可能で、物語や論文のような長いテキストでも一貫性を保つことができます。
・プロンプトを与えることで、訳出の種類を変えたり、誤訳の確認ができたりします。

欠点
・時々、奇妙な誤訳や不自然な表現が生じることがあります。
・高度な知識や特定の専門領域の翻訳には限界があります。
・すべての言語に対応していない場合があり、特定の言語ペアでしか使用できないことがあります。
・翻訳専用機ではないので、機械翻訳ツールと比べて、使い勝手が悪いです。

英語をあまり得意としない人にとっては、各システムの特性を理解し、場合によって使い分けることが重要です。例えば、早く簡単な翻訳が必要なら従来の機械翻訳が役立つでしょう。一方、より自然な翻訳が必要な場合や、翻訳の仕様や条件を設定する必要がある場合等にはChatGPTが有用です。

ただし、どちらのツールも完璧ではないため、翻訳の結果をそのまま信用するのではなく、可能な限り確認したり、理解したりすることが重要です。特にビジネス等の実社会の文脈では、誤解が重大な結果を招く可能性があるため、必要な場合には人間のプロフェッショナルな翻訳者に依頼することも考慮してください。

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まず、AIを上手く操るために言語をどのように捉えればよいのかを理解し、ChatGPTへの指示(プロンプト)をどう書いていくのか、という活用方法を深めていきます。

技術の進化に左右されない核心的な言語スキルが身につく一方、今日からすぐに使える便利なテクニックも満載です。

本書の構成
Chapter 1 AI翻訳の進化の核心を掴む
Chapter 2 AI翻訳を駆使する「言語力」を身につける
Chapter 3 ChatGPTで翻訳する
Chapter 4 実践で学ぶChatGPT翻訳術
Chapter 5 AIと英語学習の未来予測

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