
近年、K-POPや韓国映画・ドラマ、コスメやグルメなどの人気はますます高まり、韓国語学習者は増え続けています。そしてさらに、学んだ経験を活かしてステップアップし「韓国語の先生」を目指す人や、韓国語講師についてもっと知りたい!という人も急増中。そんな方たちに役立つ情報満載、アルクの新刊『韓国語の先生になろう』についてご紹介します!
『韓国語の先生になろう』は、韓国語を教えるために必要な心構えや準備、実践に向けたトレーニング、教えるための工夫やコツまで、豊富な実例をもとに「韓国語の先生になる方法」を丁寧にお届けする1冊です。
著者は、これまでに100人以上の韓国語講師を育てた前田真彦(まえだただひこ)先生。
この記事では特別に、本書『韓国語の先生になろう』の内容の一部をご紹介します。(WEBページ閲覧用に若干の調整を加えておりますのでご了承ください)
私たちは日々の生活の中で、すでに「教える」経験をしている
私は、誰もが、「教える」領域に入ることができる可能性を持っていると考えています。
日々の生活の中で、実は皆さんはすでに「教える」経験をしています。
たとえば、会社での勤務経験が長くなると、ある程度知識や技術が身についてきます。それを後輩に教えるということがありますね。分かりやすい手順を示すなどの「教え方の工夫」によって、その後輩の習得の程度やスピードがぐんと変わった、そんなことを実感された人もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、子育てを経験した人なら、子どもにおもちゃの使い方、お箸や鉛筆の持ち方、生活の決まりなどを説明したこともあるでしょう。これらも立派な「教える」ことです。
何も「先生」と名のつく職業の人だけが「教える」という行為をしているわけではありません。このように、皆さんは今まで大小さまざまな「教える」ということを、無意識のうちに実践しています。
韓国語を教える人が身につけておきたいこと
では、「教える」の中でも、韓国語を教えるときに必要になるのは、一体どのようなものでしょうか。私の経験から見ると、主に以下のようなものが考えられます。本書の後ろの章でより具体的にお伝えしますので、ここでは「韓国語講師になるためには、こういう知識や能力、心構えが必要になってくるんだな」ぐらいの捉え方で大丈夫です。
- 韓国語の能力と日本語の知識
- 韓国の歴史や文化などに関する基本知識
- 日本と韓国との関係、近現代史についての知識
- 教える対象がどんな人なのかを分析、把握する能力
- 「講師はサービス業」だと自覚する
- ポジティブなエネルギーを持つ
- 学習者のやる気に火をともし、意欲を引き出す
- その場限りではなく、その先の学びや人生の目標へもつながる授業をする
- 教えながら学び、学びながら教える
このリストを見て、皆さんはどのように感じましたか? 「身につけるべきことが多くて、何だか大変そうだな」「私に韓国語を教えられるかな」、そんなふうに思った人もいるかもしれません。
でも心配は要りません。皆さんは、今まで「学ぶこと」を十分に経験してきました。そして、韓国語学習を通じて、さまざまなタイプの韓国語講師にも接してきたことでしょう。学習者としてのこれまでの経験をもとにしつつ、さらに学びを深めることで、皆さんも「学ぶ立場」から「教える立場」へと歩んでいけるのです。
どんな韓国語講師も、一夜にして立派な講師になったわけではありません。【心構え】の 5.にあるように、「教えながら学び、学びながら教える」を地道に実践することで、目の前にいる学習者への伝え方や教え方が、少しずつ上達していきます。
教えることを始めるには、「一歩踏み出す勇気」が一番大切です。ぜひ、友達や会社の同僚、ご近所さんなど、身近な人に教えてみてください。ワンコインレッスンのような、気軽な形でもいいと思います。教えたことを理解してもらえた、身につけてもらえたという喜びがモチベーションとなり、さらに自分の学びを深めることになるでしょう。すると知識が自分の中にしっかり定着し、次に教えるときに役立ちます。まず思い切って誰かに教えることで、「教えながら学び、学びながら教える」サイクルを回していきましょう。