トップ画像とプロフィール欄の小池さん写真撮影:中村治
プロレスと英語!?この組み合わせに驚くなかれ。ここ数年、新日本プロレスでは人気と実力を兼ね備えた外国人レスラーが急増中。試合後のマイクアピールでは英語が飛び交うこともあり、ストーリーを追う上で、英語(通訳)が欠かせないものになりつつあります。今回は、プロレス、格闘技ファンにはおなじみの人気通訳小池水須香さんに、TOEICカリスマ講師であり熱狂的プロレスファンでもある濱崎潤之輔さんが突撃インタビュー!第1回では、小池さんのこれまでの歩みと新日本プロレス通訳の舞台裏について伺いました。(全3回)
初めて通訳したのは、カール・ルイス
濱崎:お聞きしたいこと、気になることがめちゃくちゃあります。 まずは通訳になった きっかけ を教えてください。
小池: TBSでやっていた「筋肉番付」「スポーツマン No . 1決定戦」というテレビ番組でのアルバイトが きっかけ ですね。 外国人アスリートが30人くらい出演していて、英語でアテンドできる人がたくさん必要だということで友人から紹介されて。選手に(競技の)ルールを説明したり、ロケの間はずっと一緒に動いて、次はあれやるよ、これやるよって案内したりする仕事でした。 ちなみに 生まれて初めて通訳した相手は陸上選手のカール・ルイスです。
濱崎:おぉ。すごい!
小池:その後、一緒に仕事をしていたスタッフが「K-1 WORLD MAX」という格闘技イベントを立ち上げて、そのままバイトの延長線上で格闘技にも関わるようになりました。だから 最初は通訳っていうよりも、テレビの制作の仕事で格闘技の現場に行っていたような形 ですね。インタビューをすることもありましたし、素材があればテープを持ち帰って文字起こしをやるところから、訳して、編集が終わった映像の字幕をディレクターさんと一緒にチェックするまでが私の仕事でした。
濱崎: 通訳だけじゃなくて、裏の部分まで担当なさっていた と。
小池:最初は選手に関わることも少なくて、テレビの裏方ですよね。何でも屋さんでした。 英語のテープ起こしって、すごい大変な 作業 で大嫌いなんですけど、それが自分の中の通訳脳を鍛えてくれたというか、言葉を変換するスピードにもつながったかな って思いますね。
不登校から小6で単身ハワイに
濱崎: そもそも 日本語と英語、根本の部分でどちらがお得意なんですか?
小池:日本に住んでいる期間の方がすごく長くて、暮らしている環境も日本なので、日本語の方が楽ですね。ただ、英語で習ったものは日本語でわからなかったり、日本語で習ったものは英語が すぐに 出てこなかったりと結構穴があったので、そこを埋める 作業 は大人になってからやった感じですかね。
濱崎: 11才でハワイへ行かれたそうですが、小学生ですよね?一体なぜそのタイミングで?
小池: 公立の小学校に通っていたんですが、学校になじめなくて不登校だったんです。 給食が食べられなくて5時間目になっても後ろに残される子どもっているじゃないですか、まさに私で。あと忘れ物ばっかりして、バツが枠からあふれちゃうくらい(笑)。
たまたま母の知り合いでハワイ出身の方がいて、母もなかなかファンキーな人なので 「知り合いもいるし、一度ハワイに行く?ハワイにも学校あるし」と後押しされて。 行ってみたらなじめたので中学3年間はずっとハワイでした。
隙間産業!?スポーツの通訳の特徴
濱崎:格闘技、スポーツ以外の通訳のお仕事はされていますか?
小池:いろいろやってますよ!セミナーの同時通訳とか、フジロックとかサマーソニックのような夏フェスのツアーマネージャーみたいな仕事もずっとしていましたし、会議の通訳など、ひととおりやりました。
濱崎:おぉ、たくさん経験されているんですね!いろいろな通訳の中で、 スポーツ関係、格闘技関係って特にスピードが必要な気がします。容赦なく長いセリフを言われて、長い英語をリテンションしてそれを訳す、そういったことがすごく求められると思うんですけど。
小池: 一語一句訳す大統領の演説とかではないので、選手のキャラクターをちゃんと生かして、どう伝えるかですよね。ニュースの通訳は100%が求められるので、私の中では同じ通訳でも職種が違うと思っています。スポーツの通訳は、何を言われるかわからない、どんな名前が出てくるかわからない、何の資料もないので、同時通訳をしている人でもやりたがらない。私は隙間産業って呼んでます(笑) 。
新日本プロレスでの通訳舞台裏
濱崎: 新日本プロレスではどのような仕事をされていますか。
小池:試合開始の30分前に会場入りして、対戦カードをもらいます。 試合が終わったら すぐに バックステージのインタビュースペースに移動して、外国人選手のコメントをその場にいる記者さんたちへ日本語に訳して伝えます 。 (新日本プロレスでは選手コメントの)速報を出しているので、本当にスピード勝負です。 私が訳したものを新日本の担当の方がレコーダーで録音して急いで文字起こしをして、サイトにばしっと掲載!みたいな連携がありますね。
あとアメリカ遠征時には一緒に連れて行っていただいて、2019年4月のニューヨーク大会の時には、矢野通選手のトークイベントの通訳をやりました。ちゃんと伝わるかな、大丈夫かなと思ったんですけど、お客さんが笑ってくれたからよしっ!みたいな。矢野選手のジョーク、ちゃんと英語にできているぞと(笑)。
▼ 試合後のバックステージでのコメント
SNSでも話題に。ジェイ・ホワイトの大演説
濱崎: 記者会見での通訳も担当されていますよね。2020年の11月の会見ではジェイ・ホワイト選手の10分近い大演説を見事に訳されていてSNSでも話題になっていました。
小池: 実はアクシデント的な側面もあって、通訳が入ることがジェイにうまく伝わっていなかった みたいです。(司会の)清野氏も(ジェイ選手を)一回止めようとしたのに、それを制止してまたしゃべって(笑)。
通訳って、1に体力、2にフットワーク、3、4がなくて、5も英語力じゃないかも、と思っていて。もちろん英語力は基本として必要なんだけど、アクシデント、ハプニングへの対応力というか、そういったものが大事になったりしますよね。 会見は生配信されているし、(発言が)長いからもう無理です、とはできないんで。
濱崎:いやぁ本当にすごいことだと思います。もうすごいとしか言えないです(笑)。
▼ 大演説があった会見のダイジェスト
NJPWWORLD(新日本プロレスワールド)では小池さんの通訳を含めた全編がご覧になれます。(会見は無料)▼ WRESTLE KINGDOM 15 in 東京ドーム 2020年11月8日 第1弾 記者会見(全編)
https://njpwworld.com/p/s_series_00562_1_1
次回は、人気外国人プロレスラーの英語をご紹介します!
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新日本プロレス英語入門(新日本プロレス公式ブック)
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濱崎潤之輔さんの書籍
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- 作者:【CD2枚付】TOEIC L&Rテスト990点攻略 改訂版: 新形式問題対応 (Obunsha ELT Series)
- 作者:改訂版 中学校3年間の英語が1冊でしっかりわかる本
- 作者: 濱崎 潤之輔
- 発売日: 2020/12/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 作者:
小池水須香(MIZUKA) 通訳・翻訳家、メディテーション愛好家。11歳で単身ハワイに留学。15歳で帰国後、横浜市のインターナショナルスクール、上智大学比較文化学部(現・国際教養学部)を卒業。大学在学中からアルバイトとしてテレビ局の通訳、翻訳の仕事を始め、卒業後はフリーランスの通訳に。新日本プロレス、UFC、MMA、ボクシングを始めとする格闘技や、MLB、NFL、NBAなどのメジャースポーツの中継番組、海外アーティスト、瞑想(めいそう)家、マインドフルネスの指導者の通訳などさまざまな現場で活躍中。マインドフルネスについても造詣が深く、ワークショップやセミナー講師としても人気。 polokanalu(ポロカナル) 主宰。
- 作者:
濱崎 潤之輔 大学・企業研修講師、書籍編集者。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。明海大学や獨協大学、早稲田大学EXT、ファーストリテイリングや楽天銀行、エーザイやSCSK、オタフクソースなどの企業でTOEIC L&Rテスト対策研修講師を務める。TOEIC L&Rテスト990点(満点)を70回以上取得。『 TOEIC L&Rテスト990点攻略 』(旺文社)、『 改訂版 中学3年間の英語が1冊でしっかりわかる本 』(かんき出版)など、著書・監修書は70万部以上の実績を誇る。「濱崎TOEIC研究所オンラインサロン」主宰。
・濱崎TOEIC研究所オンラインサロン: https://peraichi.com/landing_pages/view/hummertoeicsalon/
・Twitter: @HUMMER_TOEIC
・Instagram: junnosuke_hamasaki
・TOEIC L&Rテスト 長文パート対策セミナー https://tz-eigolounge.jp/news/2021cho/
濵﨑潤之輔さんの新刊!『観光客を助ける英会話』
困っている外国人観光客を手助けしよう!
困っている外国人観光客を手助けするためのシンプル英語を学ぶ本です。街中や観光地で、外国人が困っているらしい姿を見かけたことはないでしょうか。たとえば、道に迷って目的地にたどり着けない、駅構内で乗るべき電車が分からない、飲食店で日本語のメニューしか用意されておらず注文できない、など。そんな場面で、なんとか力になりたい、と思ったことがある方は少なくないはず。本書はそんな方々が対象読者です。
●英語に苦手意識があっても大丈夫
本書は、英語に苦手意識がある方、学生時代に学んで以降、ずっと英語から離れていた方などを想定して、そうした方々が無理なく使えるように、1つの文のワード数はできるだけ少なくしました。シンプル英語だから、英語が初級レベルでも学びやすく、そして忘れにくいです。
●40場面、240フレーズを収録
外国人観光客と比較的多く遭遇するであろう、駅、観光スポット、小売店、飲食店などの代表的な40場面を選び、計240のフレーズと、そのフレーズを使った対話例を収録しています。たとえば以下のようなフレーズです。
「途中まで一緒に行きましょう。」
「観光案内所で無料Wi-Fiを使えます。」
「スマホにQR コードを表示させてください。」
「食物アレルギーはありますか。」
1人ですべてを解決できなくても、一次的な対応をする場合に使える表現や、英語ができる人につないであげる際に使える表現も収録しています。付属音声で練習して、実際に街中で使ってみましょう。
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。