トップ画像とプロフィール欄の小池さん写真撮影:中村治
3回にわたった連載もいよいよ最終回。プロレス観戦中、ジェイ・ホワイト選手、ウィル・オスプレイ選手、ザック・セイバーJr.選手などのマイクアピールをまったく理解できず、もっと英語の勉強を頑張っていれば・・・と悔しい思いをしたこともある方も多いのではないでしょうか?今回は、プロレスファン向け英語学習法について伺いました。プロレス英語学習に役立つ2大特典付きです。(全3回)
マイクアピールを理解するための学習法とは!?
濱崎:リスニングができるようになるためには、リッスン&リピート *1 、ディクテーション
2 、シャドーイング 3 など、いろいろな学習法がありますね。その中でも ディクテーションは、次の四つの点 でオススメです。
一つ 目は、自分が聞き取れていない部分がどこなのかを、明確に認識できること。二つ目は、文法力が上がること。聞き取れている部分を書き出すことにより、聞き取れなかった部分を文法の観点から推測して 判断 しようとする力が付くのです。三つ目は、語彙力・ライティング力が上がります。そして最後に四つ目としてリテンション(記憶保持)力・集中力が上がります。
小池: ハワイにいたときはディクテーションをするよういつも言われていました。 大学でフランス語を勉強したときもディクテーションをやりましたね。 耳を鍛えるには、同じものを何度も聞くことがすごく大事かなって思います。 あと人に聞かれたときは、英語のドラマを英語音声のまま、英語字幕で見ることも勧めています。動画はありがたいですよね。何度も何度も見て聞けるので。
濱崎: ちなみに 、通訳中になんと言ったかわからないところが出てきたら、どうやってリカバリーしていますか? 相手はそのまましゃべり続けますよね?学習中の人でもリスニング中にわからないところがあると、思考停止してしまうことがあると思うんです。
小池: 止めないですね。何があっても、 とりあえず わかる言葉を全部拾う。
濱崎:とにかく出てくるものは全部拾っていくことに気持ちを向けると。
小池:言葉のトレーニングや耳で聞き取れる言葉を増やしていくのも大事だけど、 思考停止をしない、どうにかしてでも止めないで言葉を拾っていくことは、通訳ではいちばん大事 かもしれない です。
好きになる前に詳しくなる!モチベーションの高め方
濱崎: 教える仕事をしていると「2日、3日でやる気が無くなるんですけど、どうしたらいいですか?」って質問、めちゃめちゃ多いです。 プロレスファンでも、ジェイ・ホワイトが好きで彼の英語を理解したいと思っても、学習のモチベーションがなかなか続かないって人もいるんじゃないかと思います。
小池:この前、ボクシングの通訳をしていて、 ワシル・ロマチェンコという選手が「モチベーションは人からもらうものじゃない、自分の中から出てくるものだ」って言い放ったんです。それが私にはグサッと刺さって。モチベーションって結局なんだろうって考えたら、好奇心かなと。
濱崎:なるほど。
小池:私の場合、プロレスも最初は知らなかったし、正直好きでもなかったんです。もともと総合格闘技畑の人間だったので。でも、プロレスのルールを知って、選手を知って、選手のバックグラウンドを知って、詳しくなればなるほど変わっていきました。 知識のありなしが好き嫌いにつながると思うんですね。知識を持った上で、やっぱり好きじゃないってのはすごくわかる。でも、調べないでよく知らないのに好きじゃないっていうのはどうなのかなって思いますよね。
濱崎: 詳しくなれば、好きになる 可能性 って高いですよね。知らないことってやっぱり楽しめない。
小池:(講師をしている)メディテーションのレッスンのときにも言っているのは、 「自分を好きになる前に、まず自分のことに詳しくなることだよ」って。好き嫌いは関係なく、まず詳しくなることが大事。自己肯定とか自分を好きになるとかいいから、まずは(モチベーションが)下がっている自分を知れと(笑)。
濱崎:おお、すごい!英語業界ではあまり聞かない話 かもしれない (笑)。でも、すごくいい切り口。 英語も同じですね。知識が増えて、わかるようになれば、好きになる。
特典1:プロレスで頻出の英語表現!
すべては知ることから!プロレスで登場する英語を知ることで、プロレスだけでなく英語も好きになれるかも。知っている表現は、聞き取りやすいのでリスニング力向上にもつながります。
1 .辞書には載っていない!?プロレス頻出英語 (小池さんの解説付き)
assGet one's ass kicked. だと「ボコボコにする」だけど、 Kick ass. だけだと「最高」とか「イケてる」という意味のスラングにもなるので活用の幅があります。 ちなみに 、 ass はアメリカ英語で、イギリス英語だと arse になります。
bloodyアメリカの fucking と同じ用途で使われるけど、アメリカ人は絶対に言いません。でもFが付く言葉よりも品がある(?)なんとなくイギリスらしいなーと思う単語です。 Bloody hell! や Bloody idiot ! など、ザックやオスプレイもコメントでたまに言っています。
defend格闘技では決め訳で「防衛」なので、覚えておいて損はない言葉ですね。 ちなみに 、試合中の「防御」は guard をよく使います。
full-house「完売」という意味です。ほかには、 sell out や a ll tickets are gone. なども使えます。チケットつながりだと会場の「チケット売り場」を will call と呼びます。
tournamentトーナメントと聞くと勝ち抜き戦を連想しがちですが、G1のような総当たりのリーグ戦でも英語ではトーナメントと言います。
takedownテイクダウン。グランドポジションに持ち込むという意味。 ちなみに 、 submission で「関節技」、 tap out で「一本勝ち」です。
2.インタビューに登場!プロレス英語構文 (濱崎先生の解説付き)
I face Ibushi. (Jay White)解説: face は「~の方を向く」という意味の他動詞ですが、レスラーが(対戦)相手の方を向く、つまり向き合うということは「(相手と)戦う」ということを意味します。俺は飯伏と戦う。
I’ve always wrestled like a prick . (Zack Sabre Junior)解説: have+過去分詞 を使って「ずっと~している」という現在 完了 の継続を表す文です。継続用法なので副詞の always 「いつも」がしっくりとハマります。前置詞の like 「~のように」と冠詞の a の後ろに続いているのは「嫌な奴」という意味の可算名詞 prick です。俺は常に嫌な奴のようにレスリングをするんだ。
Come at me with everything you have. (Will Ospreay)解説: Come at me. は「私の地点に来なさい」、つまり「(自分に)立ち向かってこい」という意味で使われています。 with everything you have は「あなたが持っているものすべてを一緒に」、つまり「すべてを懸けて」という意味です。すべてを懸けて立ち向かってこい。
I didn’t get pinned or submitted once in that tournament . (Bad Luck Fale)解説: get pinned は「(3カウントの)フォールを取られる」という意味です。 pin には「~を固定する、動けないようにする」という意味があり、3カウントの間、マット上に押さえつけられる、ということを表します。 submit には「(関節技などで)~を降伏させる」という意味があります。俺はそのトーナメントで一度も3カウントを奪われたこともなければ、タップもしていない。
特典2: ウィル・オスプレイの英語でディクテーションに挑戦!
濱崎先生監修!初心者にも易しいウィル・オスプレイ選手のマイクアピールの英語を使って、リスニング力を伸ばすトレーニング、ディクテーションにチャレンジしましょう。
1.素材の英語音声を用意
難しすぎると弱点の 把握 が難しくなってしまうので、5割以上は聞き取れるレベルの音声を用意することをオススメします。
2.音声を聞いて、書き取る
以下のマイクアピール(1:35~1:44の2センテンス)を聞いて、書き取ってみましょう。聞き取れない場合は何回か繰り返し聞いてみてください。
3.英文を見て、答え合わせをする
間違えた 原因 をしっかり確認し、弱点を 把握 しましょう。まず確認したいのは、答えの英文を見て内容が理解できる かどうか です。理解できない場合は、文法や語彙力に課題がある 可能性 があります。また、英文の内容を理解できるにも関わらず書き取りのミスが多い場合には、覚えている発音と正しい発音との間にズレがある 可能性 が高いです。繰り返し音声を聞いて、認識のズレを埋めていきましょう。
解答
What can I do to get more attention ? What's worse than stabbing my big brother in the back?
▼新日本プロレスは英語コンテンツの宝庫。公式YouTubeチャンネルではロッキー・ロメロ選手の英会話講座も配信中です。
『新日本プロレス英語入門』好評発売中!
新日本プロレス英語入門(新日本プロレス公式ブック)
新日本プロレス、プロレス通訳、英語教材制作、それぞれのプロフェッショナルが集結。新日本プロレスとアルクがタッグを組んだオリジナルコンテンツ満載の「プロレス英語本」が発売!
総勢78名の選手が集結したバイリンガル版選手名鑑や、イラスト・写真付きのプロレス英語図鑑、さらにはモチベーションUPにぴったりの日本人レスラーインタビューなど、内容盛りだくさんです!
濱崎潤之輔さんの書籍
- 作者:TOEIC L&Rテスト 目標スコア奪取の模試
- 作者:【CD2枚付】TOEIC L&Rテスト990点攻略 改訂版: 新形式問題対応 (Obunsha ELT Series)
- 作者:改訂版 中学校3年間の英語が1冊でしっかりわかる本
- 作者: 濱崎 潤之輔
- 発売日: 2020/12/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 作者:
*1 :英文を聞いた直後に同じ英文を声に出すトレーニングです。*2 :音声を聞いた直後に英文を書き取るトレーニングです。
*3 :聞こえてきた英語音声を追いかけるような形で声に出すトレーニングです。
小池水須香(MIZUKA) 通訳・翻訳家、メディテーション愛好家。11歳で単身ハワイに留学。15歳で帰国後、横浜市のインターナショナルスクール、上智大学比較文化学部(現・国際教養学部)を卒業。大学在学中からアルバイトとしてテレビ局の通訳、翻訳の仕事を始め、卒業後はフリーランスの通訳に。新日本プロレス、UFC、MMA、ボクシングを始めとする格闘技や、MLB、NFL、NBAなどのメジャースポーツの中継番組、海外アーティスト、瞑想(めいそう)家、マインドフルネスの指導者の通訳などさまざまな現場で活躍中。マインドフルネスについても造詣が深く、ワークショップやセミナー講師としても人気。 polokanalu(ポロカナル) 主宰。
- 作者:
濱崎 潤之輔 大学・企業研修講師、書籍編集者。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。明海大学や獨協大学、早稲田大学EXT、ファーストリテイリングや楽天銀行、エーザイやSCSK、オタフクソースなどの企業でTOEIC L&Rテスト対策研修講師を務める。TOEIC L&Rテスト990点(満点)を70回以上取得。『 TOEIC L&Rテスト990点攻略 』(旺文社)、『 改訂版 中学3年間の英語が1冊でしっかりわかる本 』(かんき出版)など、著書・監修書は70万部以上の実績を誇る。「濱崎TOEIC研究所オンラインサロン」主宰。
・濱崎TOEIC研究所オンラインサロン: https://peraichi.com/landing_pages/view/hummertoeicsalon/
・Twitter: @HUMMER_TOEIC
・Instagram: junnosuke_hamasaki
・TOEIC L&Rテスト 長文パート対策セミナー https://tz-eigolounge.jp/news/2021cho/
濵﨑潤之輔さんの新刊!『観光客を助ける英会話』
困っている外国人観光客を手助けしよう!
困っている外国人観光客を手助けするためのシンプル英語を学ぶ本です。街中や観光地で、外国人が困っているらしい姿を見かけたことはないでしょうか。たとえば、道に迷って目的地にたどり着けない、駅構内で乗るべき電車が分からない、飲食店で日本語のメニューしか用意されておらず注文できない、など。そんな場面で、なんとか力になりたい、と思ったことがある方は少なくないはず。本書はそんな方々が対象読者です。
●英語に苦手意識があっても大丈夫
本書は、英語に苦手意識がある方、学生時代に学んで以降、ずっと英語から離れていた方などを想定して、そうした方々が無理なく使えるように、1つの文のワード数はできるだけ少なくしました。シンプル英語だから、英語が初級レベルでも学びやすく、そして忘れにくいです。
●40場面、240フレーズを収録
外国人観光客と比較的多く遭遇するであろう、駅、観光スポット、小売店、飲食店などの代表的な40場面を選び、計240のフレーズと、そのフレーズを使った対話例を収録しています。たとえば以下のようなフレーズです。
「途中まで一緒に行きましょう。」
「観光案内所で無料Wi-Fiを使えます。」
「スマホにQR コードを表示させてください。」
「食物アレルギーはありますか。」
1人ですべてを解決できなくても、一次的な対応をする場合に使える表現や、英語ができる人につないであげる際に使える表現も収録しています。付属音声で練習して、実際に街中で使ってみましょう。
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。