「今聴いてほしいアーティスト」と関連する楽曲を音楽が伝えるメッセージや社会的・音楽的文脈などと合わせて高橋芳朗さんが解説します。
今月のアルバム
Conan Grayの『Kid Krow』を紹介します。
TikTokでバズったコナンのシンボルともいえる楽曲「Heather」
写真:ロイター
1990年代中盤以降に生まれたデジタルネイティブの世代、いわゆる「Z世代」。そのアイコンとしてビリー・アイリッシュに次ぐ存在と目されているのがカリフォルニア出身の22歳、コナン・グレイだ。2018年にEP *1 『Sunset Season』でデビューした彼は、2019年のシングル「Maniac」で一躍ブレーク。続く2020年3月発表のファーストアルバム『Kid Krow』も全米チャート初登場で5位にランクインするヒットを記録している。
そんなコナンのシンボルともいえる楽曲が、TikTokでバズったことで現地の若者たちの間で流行語になりつつあるという『Kid Krow』収録の「Heather」だ。コナン自ら「今の自分の恋愛観について正直に語っている」と説明するこの曲は、報われない愛の行方を赤裸々につづった悲恋のラブソング。意中の相手の完璧なガールフレンド「ヘザー」に嫉妬しながらも、自分が彼女だったらよかったのに、と吐露する主人公のやりきれない思いに胸を締め付けられる。
Why would you ever kiss me? / I’m not even half as pretty / You gave her your sweater, it’s just polyester / But you like her better / Wish I were Heather主人公が思いを寄せる相手の性別が特定されていないことから、ジェンダーレスな時代の新しい価値観を象徴するラブソングとして注目を集める「Heather」。この曲のヒットを きっかけ に「誰かに憧れられるようなすてきな人物」を指すようになった「Heather」は、今では相手を称賛する意味で使われることも多いのだとか。この楽曲が巻き起こした現象について、コナンは「誰にでもこの歌に出てくるヘザーのような存在がいるってことなんだと思う」と話している。なんで僕にキスしたの?/僕は半分も美しくないのに/彼女にセーターをあげたんだね、ただのポリエステルだけど/でも君は彼女の方が好きみたい/僕がヘザーだったらよかったのにな
Z世代(ジェネレーションZ)を代表する曲5選
今回の記事で紹介している音楽のプレイリストをご紹介します。
- everything i wanted by Billy Eilish
- Supalonely feat. Gus Dapperton by BENEE
- Care by Beabadoobee
- Bags by Clairo
- i wanna be your girlfriend by girl in red
※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年3月号に掲載した記事を再編集したものです。
音楽を通じて英語力を強化したい人におススメの参考書はこちら!
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。