「クーデター」って英語でなんて言う?【ニュースな英語】

2021年2月1日、ミャンマーで国軍がクーデターを起こし、アウン・サン・スー・チー国家顧問の身柄を拘束しました。今回はこのニュースから、「クーデター」を意味する英単語を取り上げます。

今回のニュースな英語

coup
2021年2月1日、ミャンマー軍がアウン・サン・スー・チー国家顧問やウィン・ミン大統領などの身柄を拘束し、国の全権を掌握しました。軍側は、2020年11月に行われた総選挙に不正があったと 主張 しており、2月1日は選挙後初めて、議会が開催されるはずの日でした。

ということで、今回のニュースな英語は、先日ミャンマーで発生した「クーデター」を意味する英単語coupを取り上げます。

クーデターは日本語にもなっていますが、語源はフランス語のcoup d'etat。そのため英単語でも、coupの語末にあるpは発音せず、「クー」となります。「クーデター」がたった一つの音「クー」で表現されるってちょっと驚きですよね!

もちろん英語圏でも、coup d'etatという言葉が使われることは少なくありませんが、報道などではcoupという表現の方が多い印象です。

英語メディアでビルマと表記されることがある理由

ミャンマーは1948年にイギリスから独立以来、1989年まで「ビルマ」(Burma、英語ではビルマというよりバーマに近い発音になります)という国名でした。

英語圏ではいまだにBurmaと呼ばれることも少なくありませんが、これには深い理由があるようです。

アメリカの AP通信 によると、もともとはビルマ族が大多数を占めるところからビルマと呼ばれるようになったようですが、クーデターが起きた1988年の翌年、軍事政権は突然、国名を「ミャンマー」に改めました。

ミャンマー当局側の 主張 は、旧称のビルマは植民地時代から受け継いだものであること、そしてビルマ族以外の少数民族が反映されていないこと、といった理由から、ミャンマーに改名したというものでした。

とはいえ、 アメリカ政府 や欧米の報道機関など、軍事政権に異を唱える組織や団体は、意図的にミャンマーではなくビルマという呼称を使い続けてきました。2010年にスー・チー氏が自宅軟禁を解かれるなどの民主化の動きに伴い、こうした組織も徐々に正式な国名であるミャンマーを使うようになってきたようです。

どんなふうに使われている?

ミャンマーの歴史をひもとくと、過去には何度もクーデターが繰り返されてきました。今年2月1日に発生したクーデターは、英語圏ではMyanmar coupやMyanmar’s coupとして報じられています。

こちらはアメリカの新聞 ニューヨーク・タイムズ 。見出しはMyanmar’s Coup, Explained(ミャンマーのクーデター詳細)となっています。

www.nytimes.com

リード(見出しのすぐ下にある、記事を数センテンスでまとめたもの)にはこのように書かれています。

The coup returns the country to full military rule after a short span of quasi-democracy.ミャンマー、短期間の擬似民主主義を経て、クーデターにより完全なる軍支配 体制 に逆戻り。
この return は、他動詞の「戻す」です。そのまま訳すと「クーデターがミャンマーを軍事 体制 に戻す」という意味になります。

ミャンマーのクーデターに関するニュースを読む際に、知っておくといいキーワードがいくつかありますので、アメリカの公共ラジオ NPR の記事を参照しながら見ていきましょう。

Myanmar's military seized control of the country Monday, detaining the country's de facto leader, Aung San Suu Kyi, and declaring a state of emergency.ミャンマー軍は1日、同国の支配権を掌握し、事実上の国家指導者であるアウン・サン・スー・チー氏の身柄を拘束。緊急事態を宣言した。

de facto leaderは、スー・チー氏を表現する際によく使われます。国家の元首などではないけれど、事実上(de facto)は指導的立場にあるということです。seize control は支配権を掌握すること。detainは身柄を拘束することです。またスー・チー氏は再び自宅軟禁された状態になっていますが、「自宅軟禁」は英語で、house arrestと言います。

declaring a state of emergencyは最近、新型コロナウイルスの文脈で聞くことが多い表現ですが、「緊急事態の宣言」です。

まとめ

この動画はミャンマーのクーデターを報じるイギリス公共放送BBCのリポートです。ここでも、冒頭でアンカーがLet’s start with the military coup in Myanmar.と言っているように、coup d'etatではなくcoupという言葉が使われています。military coup(動画の見出しではarmy coupと書かれています)は「軍事クーデター」という意味です。

ロヒンギャ問題も含め、何かと世界の注目を集めている波乱含みのミャンマー情勢、 今後も 注目していきましょう。
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