2021年2月、NASAの探査車が火星に着陸し、地表のフルカラー画像を撮影したとして話題になりました。今回は、火星探査に関連する英単語を取り上げます。Mars以外で、火星を英語でなんと言うかご存じですか?
今回のニュースな英語
the Red Planetアメリカ航空宇宙局(NASA)の探査車パーサヴィアランス(Perseverance)が火星に着陸したことが今年2月に話題になりましたね。でも実は、2月はほかにも2機の探査機が火星の軌道に入りました。アラブ首長国連邦(UAE)のホープ( Hope )と、中国の天問1号(Tianwen-1)です。
ということで今回のニュースな英語は、世界中から探査機が送り込まれ熱心に研究されている火星、the Red Planetを取り上げます。
背景
火星探査は英語で、 exploration of Marsやmissions to Marsなどと言います。これまでも各国が探査機を火星へ飛ばしてきましたが、前述のとおり、今年2月には3機も火星に到着しました。なぜ同じ時期だったのでしょうか?
地球と火星との距離がもっとも近くなり、探査機の燃料などを節約できるのが、2020年7月に地球を出発し、2021年2月に到着するタイミングだったのです。太陽系で地球より外側に位置する火星は、太陽の周りを回るのに地球の倍かかります。そのため、もっとも近くなるタイミングは2年に1度のチャンスでした。
ホープ( ちなみに 鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました)は2月9日、天問1号は10日にそれぞれ火星の周回軌道( orbit )に到達。パーサヴィアランスは18日に、火星に着陸しました。
ホープは 今後 、火星の周りを周回しながら調査を続けますが、天問1号は今年5月か6月に火星に着陸する見込みです。パーサヴィアランスは 今後 、火星で1年(地球の日数にして687日)ほどかけて探査を行います。
どんなふうに使われている?
さてそんな火星ですが、Marsという名称以外に、the Red Planetという表現がよく使われています。
アメリカの公共ラジオ NPR は、こんなふうに表現しています。
It has been a long journey for Perseverance, NASA’s latest Mars rover, which landed safely on the red planet at 3:55 p.m. ET.NASAの最新の火星探査車パーサヴィアランスにとって長旅だったが、東部標準時間午後3時55分、探査車は無事に火星に着陸した。宇宙を調べる探査機は、space probe または単に probe と呼ばれますが、パーサヴィアランスのように車両のものはroverと呼ばれ、日本語では「探査車」または「探査機」と表現されます。
火星が「赤い惑星」と呼ばれる理由について NASA は、火星の土壌に含まれる鉄鉱物が酸化し、土壌や大気が赤く見えるためだと説明しています。
NPRはthe red planetとすべて小文字で書いていますが、RとPを大文字で表記する報道機関も多くあります。例えば、イギリスのニュース専門TV スカイニュース はこんな感じ。
NASA’s mission to search for signs of ancient life on Mars has sent back its first images from the surface of the Red Planet after a successful landing.火星で古代生命の痕跡を探すというNASAのミッションは、着陸後初めて、火星表面の画像を送信してきた。今回の火星探査の目的の一つは、遠い昔に火星に生命が存在したかを探ることですが、この記事のようにancient lifeと表現するほか、past lifeといった表現も見られます。
まとめ
火星は、土壌に含まれる鉱物の 影響 で赤く見えることから、the Red Planetと呼ばれます。地球はthe Blue Planet、金星はthe Morning Starまたはthe Evening Starなど、太陽系の惑星にはそれぞれニックネームが付けられています。
ところで探査車の名前になったperseveranceは「忍耐」「我慢」などの意味がありますが、単なる「忍耐」というより、「不屈の精神で耐える」というニュアンスが含まれます。
NASAは愛情を込めてパーサヴィアランスをPercy(パーシー)と呼んでいるそうです。アメリカの経済紙 ウォール・ストリート・ジャーナル は、そんなパーシーから手紙が来たら・・・という謎の設定の記事を書いています。遠く離れた赤い惑星で、孤独に 作業 をこなすパーシーからの「早くお家に帰りたい」という哀愁の手紙、面白いので読んでみてくださいね。
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松丸さとみ フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に 『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 (日経BP)、 『限界を乗り超える最強の心身』 (CCCメディアハウス)、 『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』 (サンマーク出版)などがある。
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