アメリカCBSテレビは今月7日、人気司会者のオプラ・ウィンフリー氏によるヘンリー王子夫妻へのインタビューを放送しました。今回は、このインタビューにまつわる英語表現を紹介します。
今回のニュースな英語
bombshellイギリスのヘンリー王子とメーガン妃の衝撃的なインタビューが、日本でも話題になっていますね。このインタビュー、英語ではbombshell interviewとよく表現されています。bombshellは「爆弾」という意味。転じて、あっと驚くような衝撃的なことを意味します。
辞書を引くと名詞としか載っていませんが、bomshell interviewのように形容詞的に使われることもあります。これはattributive noun と呼ばれています。
www.merriam-webster.comということで今回の「ニュースな英語」では、bombshellと、2人のインタビューにまつわる言葉を取り上げます。
背景
イギリスのヘンリー王子とメーガン妃は2020年1月、王室の高位メンバーから外れる意向をインスタグラムで発表しました。
www.instagram.comこれは王室の 承認 を得たものではなかったため、当時かなりの衝撃として受け止められました。その後王室側と王子夫妻側は 今後 について協議を重ね、同年3月、夫妻は正式にイギリス王室から離脱。イギリスの欧州連合離脱(Brexit)になぞらえ、夫妻の王室離脱はMeghanをもじってMegxitと呼ばれました。
王室離脱を受け、2人はroyal highness(殿下)の称号は使用できなくなりました。とはいえ、 Duke and Duchess of Sussex(サセックス公爵・公爵夫人)の称号は使い続けることができるため、メディアでは2人をこう表現することも多々あります。
どんなふうに使われている?
オプラ・ウィンフリー氏が聞き手になった問題のインタビューは、3月7日にアメリカのCBSで、続いて8日にイギリスのITVでそれぞれ放映されました。平均視聴者数は、アメリカで1710万人、イギリスで1110万人に達したと言われています。
なぜbombshellと呼ばれているかというと、“I didn‘t want to be alive anymore”(もう生きていたくなかった)や“concerns and conversations about how dark his skin might be when he‘s born”(赤ちゃんが生まれたら肌の色はどの程度濃いだろうかなどの 懸念 や会話があった)など、メンタルヘルスや人種差別の話題も含め、あっと驚いてしまうような発言がいくつかあったためです。
世界各紙の取り上げ方を紹介したイギリスの新聞 テレグラフ は、「反応はさまざまだった」と伝えていますが、見出しでbombshellをこんなふうに使っています。
Harry and Meghan Oprah interview: How the world reacted to the bombshell claimsハリーとメーガンのオプラ・インタビュー:衝撃の 主張 に世界はどう反応したかwww.telegraph.co.uk
HarryというのはHenryの愛称です。日本のメディアでは「ヘンリー王子」と呼ばれていますが、イギリスでは「ハリー王子」と呼ばれる方が一般的です。
また、ここの claim は「 主張 」という意味。日本語で苦情を言うことを「クレーム」と言いますが、英語の claim は意味が異なりますので注意しましょう。 ちなみに 日本語の「クレーム」を英語で言うとcomplaintになります。
ところで、今回のインタビューを見て、古くからの王室ファンは1995年のダイアナ妃(当時)のBBC「パノラマ」でのインタビューを思い出したのではないでしょうか。アメリカの タイム誌 は、こんなふうに報じています。
More than 25 years ago, Diana paved the way for Harry and Markle‘s startling accusations of the racism and hostile treatment by the Palace when she gave a bombshell interview to the BBC‘s Panorama TV show .王室から人種差別や敵意のある扱いを受けたとするハリーとマークルの驚くべき非難の下地は、ダイアナが25年以上前にBBCのテレビ番組「パノラマ」で衝撃インタビューを受けたときに作られた。time.com
当時のダイアナ妃は、王室に内密でこの暴露インタビューを準備したのでした。なお、ヘンリー王子とメーガン妃の今回のインタビューも「暴露インタビュー」と表現されることもあり、タイム誌もtell-all interviewと書いています。
まとめ
bombshellは本来、「爆弾」を指しますが、今回の表現のように、衝撃的なものという意味にもなります。俗語では「セクシーな女性」という意味でもよく使われます。
今回のbombshell interviewは、非難の矛先でもあったイギリス・メディアでもさまざまな余波が広がっています。
メーガン妃の発言に対しイギリスの編集者協会は、イギリスのメディアが人種差別的だなどという 主張 は「受け入れられない」と声明を発表。ところがこの内容に会員から反発が上がり、会長が辞任しています。
またITVの朝の番組“Good Morning Britain”の司会者ピアース・モーガン氏は、番組中にメーガン妃の発言の信ぴょう性に疑問を呈し、4万1000件の苦情が殺到。これを受けて同氏は番組を降板することになりました。
モーガン氏の発言の様子はこの動画で見られます。番組中、何度もbombshellという言葉が使われているので聞き取ってみてくださいね。
こちらはその翌日の番組。メーガン妃に批判的なモーガン氏と同妃を擁護するアレックス・ベレスフォード氏との興味深い議論が14分近く 展開 されます。★ニュース英語を学ぶためのおススメ参考書3選はこちら!
松丸さとみ フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に 『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 (日経BP)、 『限界を乗り超える最強の心身』 (CCCメディアハウス)、 『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』 (サンマーク出版)などがある。
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