外資系企業が求めているのはどんな人材なのでしょう。GE、モルガン・スタンレーなどの外資系企業に人事部長として25年在籍し、1万人以上を面接した経験をもつ鈴木美加子さんが、英語力に加えて求められる資質を教えます。
1. 和文履歴書とどう違う?
日本語の履歴書と比較して、英文履歴書がどう違うかは、ズバリ定型フォームが無いという点です。日本語の場合は市販の履歴書フォームがありますが、英語の場合は定型というものがありません。
また、英文履歴書にはカバーレターというものが存在しています。日本語訳すると「送付状」となるのかもしれませんが、内容は単に「英文履歴書を送ります」と伝えるだけのものではありません。なぜ「御社に自分が適任だと思うか」や、「仕事を十分に遂行できると考える理由」を、熱意を込めて記すA4一枚の大切な書類です。
英語圏では、雇用の際に 候補 者に対して差別がないように徹底されているので、生年月日、性別、家族構成、国籍などを記載する必要はありません。日本語の履歴書の場合は、入社直後の職場から順を追って時系列に書きますが、英文履歴書は「現在」を大切にするので、現職場から、一つ前の職場、二つ前の職場と遡って記載します。学歴も、最終学歴から記すことになります。
2. レジュメを構成する項目
Information (個人情報)">Personal Information (個人情報)
名前、住所、携帯電話番号、メールアドレスなどを、中央揃えで書きます。書類選考に通った 候補 者を企業が面接へと進めるために、必要な最低限の個人情報を中央揃えで書きます。
個人情報を中央揃えで書くのは、面接官の目が慣れていて自然にそこに目がいくからです。デザイナー職など、レイアウトの美を問われる職業の場合は、中央揃えに必ずしもこだわる必要はありません。
英文履歴書の書き出し(例)Kei Saito Address : 1-1-1 Kodai, Yokohama-shi, Kanagawa-ken, 220-1111
Email : KeiSaito.JP@gmail.com Mobile : 080-1234-5678
Summary (経歴のまとめ)"> Summary (経歴のまとめ)
候補 者のこれまでの経歴を3~4行にまとめて書きます。どのような仕事に何年くらい従事したのかなど、内容が具体的で一目でわかることが重要です。
Summary (例)時々、冒頭の Summary が非常に長い、例えば10行もある英文履歴書を見かけますが、そうすると採用者に全文を読んでもらえません。あくまでも概要なので、3~4行に短くまとめましょう。Have 10‐year experience in IT software product planning in the nursing home industry. Prior to changing career paths, was a software engineer for five years in the home appliance area . Combination of an engineering and product planning background produces a sales-oriented professional
5年間家電産業に従事してSEの仕事をした後、介護産業でITのソフトウェアのプランニングを10年間しています。エンジニアであり、ソフトウェアの商品プランナーであるバックグラウンドを両方持つ人材は 少ない と自負しております。
Summary は履歴書のなかで一番初めに出てくる文章なので、企業側の目に留まりやすいです。誤字脱字や文法のミスがないようによく読み直し、ロジカルでインパクトのある文章になっている かどうか 、しっかりと確認して 提出する ようにしましょう。
社会人経験が5年未満の場合は、これまでのキャリアのまとめと言われても、「経理経験が5年あります」くらいしか書けないことも多いので、 Summary の部分は外しても問題ありません。
Key Strengths(強み)
ここは 候補 者が自分の強みをアピールするパートで、自分の強みを4~5個ほど記載するのが適切です。ここでは、採用する側の優先順位を理解して記入することが求められます。企業は応募してくる人材に対して、即戦力になるかを知りたいと思っています。企業側の優先順位に合わせるなら、実績や経験をまず並べて即戦力であることをアピールし、人格やコミュニケーション力についてはそのあとに書くのが妥当です。
Work Experience (職歴)"> Work Experience (職歴)
ここは英文履歴書の中で最も重要なパートです。採用する側は、先ほども述べたように、どのくらい即戦力になる人材なのかを知りたいと考えています。 候補 者は、これまでどのような仕事に就き、どんな実績をあげてきたのかを明確に伝える必要があります。
まずは実例を挙げます。
Work Experience (例)直近の職歴を書くにあたり注意すべき点は下記になります。Company A
June 2015 ? Present Recruiting Specialist, Human Resources
・ Conduct resume screening and primary interviews for nonmanagerial positions
・C&B: Implement measures to manage the Pay for Performance policy . Manage the merit increase process as well as bonus and incentive plans
・Training: Design programs to strengthen sales force capabilities. Conduct training related to the assessment system for managers
企業名A
2015年6月から現在 人事部マネジャー
・採用: マネジャー職 候補 の履歴書選考、一次面接担当
・福利厚生:成果主義を加速させるシステムの導入、昇給のプロセス、ボーナスやインセンティブのプログラムを運営
1. 勤務先名がわかるように、フォントサイズを大きめかつ太字にする
2. 勤務期間と役職名をはっきりさせる
3. 直属の上司の役職と部下がいれば何人部下がいるのかを記す
4. 仕事の内容については、できるだけ数字で 具体的に 記載する
部下がいない場合には、3については言及しなくても大丈夫ですが、いる場合はアピールも含め書いた方が良いです。どのくらいのスケールの仕事をしている 候補 者なのかが伝わります。
また4 に関して 、営業、マーケティング、プロジェクトマネジメントなどの場合は、実績を数字で見せることが必須となります。履歴書に数字が現れないと、「目標を達成できていなかったのだろうか」とさえ疑われる 可能性 があります。
営業の例仕事の内容を数字で表すことが難しい、管理部門(経理・人事・法務・社内IT・総務など)の場合は、自分の 取り組み がコストや残業の削減にいかに繋がったかをアピールすると良いでしょう。あるいは、ミスがない事、上司やクライアントから褒められた事、納期を絶対に守る事、社内で賞を取った事などは、積極的に挙げましょう。他部門と関わったプロジェクトや新しいシステムの導入、既存のプロセスの 改善 なども、ぜひとも記載しておきたい実績です。Achieved 115% of our sales targets on average over the past four years (過去4年間、平均で売り上げ目標を115%達成している)
マーケティングの例
Launched a new product in 2019 that improved sales by 10%. Managed three product launches(2019年、売り上げ10%増を目指 し、新商品の発売予定。これまでに3つの新商品の発売イベントを手がけてきた)
プロジェクトマネジメントの例
Managed a 100M project with Japan`s No . 1 gas company ( 予算 1億円のプロジェクトを、日本のガス業界でNO1.の会社 と進めている)
Introduced SAP to the company, replacing the existing ERP within 11 months (会社の既存ERPを、11カ月かけてSAPに置き換えた)Improved the quality control process as a project team member (品質管理のプロセスを、プロジェクトチームのメンバーとして向上させた)
Education(学歴)
時系列ではなく、最終学歴から記載します。例えば、大学院を卒業しているのであれば、下記のように直近から書くことになります。
Education(例)高校までは遡らないことが多いですが、留学している場合は、書いた方が有利なので記載しましょう。March 2017 ? April 2019 MA in Talent Management , Hitotsubashi University
March 2013 ? April 2017 BA in Liberal Arts, Meiji University
2017年3月- 2019年4月 一橋大学大学院 人材開発専攻
2013年3月-2017年4月 明治大学 文学部
Language(語学)
英語力についての表記は、下記のように記します。
Language(例)TOIEC760点を中級とみるか否かは、応募先の会社によって違います。自分で 判断 して Intermediate (中級)やAdvanced(上級)と書かないで、点数をシンプルに表記する方が採用担当者の期待値を外さないので無難です。Japanese(Native), English(TOIEC760)
英検は、1級と準1級のあいだのギャップが大きく、準1級の評価はそれほど高くありません(1級はTOEIC980点に相当、準1級はTOEIC730点に相当するとされています)。英検1級保持者は英文履歴書に書いた方が良いですが、準1級の場合、TOEICのスコアがあればそちらを 提出 した方が得策です。
留学の経験者で、TOEFLやIELTSのスコアしか持ってない場合は、ネットで検索して、TOEIC何点相当なのかを書き添えた方が、採用担当者にわかりやすいです。例えば、私はオーストラリアに住んだことがあるので、IELTS6.5と言われたら英語力のレベルはピンときます。しかし、TOEFLは受けたことがなく、スコアを言われても英語力の実感がありません。せっかく持っているTOEIC以外のテストのスコアが、採用担当に響かないのはもったいないので、ネットで換算表を検索して、IELTS6.5(TOEIC800点相当) のように表記しましょう。
Qualifications(資格)
ここには例えば、簿記、プログラミングできる言語、秘書検定、社会保険労務士などの「資格」について記載します。あるいは、一般的なパソコンスキルについてここに書いてもよいでしょう。自動車運転免許は、物流業界など保持していることが必須な職業以外は、書いてもプラスにはなりません。
References(レファレンス)
面接のプロセスがかなり進んだ段階で、 候補 者の過去の仕事ぶりについて、採用担当者が連絡を取れる人2名を教えて欲しいと言われる場合があります。これは、マネジャー以上であれば全員聞かれると思った方がいいですし、マネジャーでなくても聞かれる 可能性 は十分にあります。
仕事ぶりについて話せる方なので、理想は過去の上司ということになります。そうは言っても、新卒から一度も転職したことがない場合は、過去の上司と今の上司が同じこともほとんどですし、頼んでしまうと転職活動をしていることがバレてしまうなど、支障をきたすことも少なくありません。過去の上司に依頼できない場合は、おつき合いのあるクライアントや業者の方にお願いすることが可能です。採用担当者には、なぜ過去の上司に直接の依頼ができないのかをきちんと説明しておけば、理解してくれます。
この項目は、References available upon request . (依頼を受けたら 提出 できます) と1行だけ書いておけば大丈夫です。スペースが足りない場合は省略することもできます。
英文履歴書を整えることは、自分のベストを会社に見てもらうことを意味します。基本を押さえてしっかり準備して、最後に何度も読み直し、この書類を元に面接されて、全てに答えられる かどうか を確認しておきましょう。
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外資系企業で25年間、10万通の履歴書を見てきた鈴木美加子さんが、書類選考を確実に通過する履歴書の書き方、面接で好印象を与える受け答え方を 具体的に 紹介します。 職歴の効果的な書き方、外資ならではの面接のポイントなど、豊富な経験があるからこそ書ける内容が満載です。
・名前
・メールアドレス
・本書に興味を持った理由
をメールに明記して、2021年4月30日(金)までに info@atglobe.jp宛てに お送りください。
鈴木美加子 (株)AT Globe代表取締役。 GE、モルガン・スタンレーなど外資出身の元・人事部長。外資への転職エキスパート。 TOEIC 960点・英検1級。
グローバル人材を育成するオンラインサロン: https://bit.ly/2UuA5n1
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