今、世界中で話題の中心にあるのは、新型コロナウイルスです。暗く、悲しいニュースが増えがちですが、意外なことに、ほんの少し喜ばしいこともあったようで・・・?今回は、こういった状況に少しでも明るく向き合うためのsilver lining をご紹介します。
今回のニュースな英語
silver lining英語のことわざに、 「Every cloud has a silver lining .」 というものがあります。直訳すると「どの雲にも銀の裏地が付いている」ということですが、その意味するところは、 「どんなに不幸な状況でも、よい点は何かしらある」 というものです。
新型コロナウイルス感染症の流行で、世界は悲しいニュースやネガティブな話でいっぱいです。しかしそんな中で見つけた明るい側面が、「silver lining 」としてメディアなどで紹介されています。
改善 ">ロックダウンで大気汚染が 改善
「silver lining 」という表現の出どころは、17世紀のイギリスの詩人ミルトンが書いた戯曲『コマス』だと言われています。その詩の中でミルトンは、夜の暗い雲の裏側は、月光に照らされて銀色に輝いていると表現しています。そこで使われているのがこの「silver lining 」というフレーズで、雲の裏側の輝きを裏地( lining )に例えているのです。
ただ、ここでいう「 lining 」は裏地ではなくて、後ろから太陽に照らされた雲のふちが輝いている、あれを指すという見方もあるようです。
いずれにせよ、意味することはどちらも、 「不幸な状況の中の明るい出来事」 です。
例えば、コロナウイルス 拡大 予防策として、世界中の国や都市でロックダウン(外出規制、外出禁止令)が行われています。そのおかげで、人の活動が抑制され、大気汚染が 改善 されています。インドのパンジャブ州では、約200キロ遠くにそびえるヒマラヤ山脈が、30年ぶりに姿を現しました。空気の質の 改善 は、インドだけでなくアメリカや中国、ヨーロッパでも報告されています。
どんなふうに使われている?
では 具体的に 、「silver lining 」はメディアでどう使われているのでしょうか?
イギリスの「イブニング・スタンダード」紙は、インドでコロナウイルス感染が 拡大 し、世界最大規模となるロックダウンが 実施 されていることに触れた後、「silver lining 」としてこんなふうに大気汚染の 改善 を報じました。
But a silver lining for the country and its residents has been the drop in air pollution, revealing new sights which were once cloaked in smog .この「silver lining 」とは当然、新型コロナウイルス感染 拡大 という不幸な中での明るい面のことです。なお、「the drop in air pollution」は直訳すると「大気汚染の低下」ですが、日本語では大気汚染は低下するものではなく 改善 するものなのでこのような表現にしています。 www.standard.co.ukしかしインドとその住民にとっての「silver lining 」は大気汚染の 改善 で、かつてはスモッグに覆われていた景色が見られるようになったほどだ。
またアメリカ、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は市民に対し、時間を 有効 に使えるこんなときだからこそ、「silver lining を探そう」と呼び掛けました。例えば自分の場合、母親や娘たちと一緒に過ごす時間をたっぷり取っている、と話しています。
ニューヨーク州知事の公式ホームページには、このときのクオモ知事のスピーチを書き起こした文章も掲載されています。 www.governor.ny.govオーストラリアの「シドニー・モーニング・ヘラルド」紙では、以下のようなタイトルの記事で、読者が見つけた「silver lining 」を紹介しています。
Readers find silver linings to life in lockdown「silver lining 」は可算名詞なので、ここでは複数形です。 www.smh.com.auロックダウン生活の中で、読者が見つけた「silver lining 」
まとめ
「silver lining 」は時に、「optimism」(楽観主義)のメタファー(暗喩)である 、と説明されます。そして楽観主義は健康にいいという研究結果も複数出ています。
毎日気が重くなるようなニュースばかりでつらい日々を過ごしている人も多いかもしれません。こんなときだからこそ、自分にとっての「silver lining 」を探してみてくださいね。
文:松丸さとみ
フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。
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