ある?ない?どっち!?中南米の人とのコミュニケーション

世界を相手にビジネスを行うためには、英語力だけでなく、多様な文化を受け入れるためのグローバルマインドセット、つまり視野の広いもののとらえ方が必要となります。本コラムでは、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんにグローバルマインドセット獲得のヒントを教えていただきます。

のらりくらりで、埒(らち)が明かない!

日本企業でメキシコ支店立ち上げの責任者になったあなたは、信頼できるサプライヤーを現地で確保するのに苦戦しています。

備品を注文するために推薦されたオフィスサプライヤーを訪ねると、「お客さまがお探しになっている製品は現在 在庫 がございませんが、明日になれば入荷すると思います」と言われることが頻繁にありました。

しかしその翌日に出直してみても、たいてい 在庫 切れのまま。確実に製品を配達してもらえるようにプレッシャーをかけても、相手は「この件については後に話し合いましょう」、あるいは「他のマネージャーに聞いてみます」などと言うばかりで、直接的な返事は返ってきませんでした。

このような場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?

【a】もっと強くプレッシャーをかける 【b】そのサプライヤーはうそつきだと 判断 し、相手にしない 【c】そのような返事は間接的な「ノー」だと解釈する

中南米は衝突回避型コミュニケーション

日本では、サプライヤーは顧客に対して的確な情報を提供すべきだという考え方が強いです。そのため、外国人とのビジネスでこのような状況に直面すると、日本人はとてもいら立ってしまいます。その結果、【a】か【b】のような反応をしがちです。しかし、実は【c】が正しいのです。

異文化間の大きな違いの一つに、コミュニケーションが挙げられます。

このチャートの左にある文化は、直接的コミュニケーションを大切にする文化 です。そのようなコミュニケーションスタイルを持つ文化の人は、問題を解決するためにはオープンに話した方が良いと思っています。また、意見が対立しても相手との人間関係には 影響 しないと思っています。なぜなら、意見の違いを 明らかにする ことが大切、と思っているからです。ディベートとディスカッションを好み、自分の意見を言うことをためらいません。

一方、 このチャートの右側にある文化は衝突回避型で、間接的なコミュニケーションスタイル を持っています。意見の対立によって人間関係にひびが入るのを 心配 しているので、意見の違いを表に出したり相手が聞きたくないだろうと思われることを口にしたりすることに抵抗があります。そのため否定的なことを言うときには、オブラートに包んだソフトな言い方を好みます。自分の意見を全く言わないことも少なくありません。

日本人は直接的!相手の真意を読み取ろう

このチャートで見られるように、日本人は世界規模ではかなり右の方に位置し、多くのほかの文化と比べると間接的なコミュニケーションを好みます。確かに、より直接的なコミュニケーションスタイルを持っている欧米諸国の人からは、「日本人ははっきり話さないので何を考えているのかよく分からない」という声を良く耳にします。そのため多くの日本人は、「外国人とコミュニケーションするときはもっとストレートに話すべきだ」と考えています。

しかし実際のところ、それは相手がどの文化をバックグラウンドに持っているかによるのです。もし相手の文化がこのチャートで日本より右に位置していた場合、そのようなアプローチはうまくいきません。相手の文化に合わせた対応が必要なのです。

意外かもしれませんが、 中南米や東南アジアの人から見ると、日本人のコミュニケーションスタイルは直接的過ぎる のです。また、日本人は一般的には間接的な話し方をしますが 、自分より目下だと思う相手(例えばサプライヤー)に対してはかなり直接的に話す 傾向 があります。

間接的なコミュニケーションをする文化の人の特徴として、軋轢(あつれき)を嫌うため、相手の押しが強い場合は状況を和らげるために服従的な答えをするということが挙げられます。しかしそれを約束だと解釈してはいけません。間接的コミュニケーション文化の人に過剰なプレッシャーを与えると、 表面上は何も言わなくても心の中で恨みを感じ、非 協力 的になることが少なくありません。こういったコミュニケーションの違いから、間接的な文化圏でビジネスの問題を経験した欧米人、韓国人、そして日本人は多いはずです。

上記のケースにおける正しい対応はこれらの理由から、【c】になるのです。 間接的コミュニケーション文化の人とビジネスをする際は、相手の言うことだけではなく、言葉の裏にある真意を読み取ることが重要 です。そうすることで、誤解や人間関係の問題を避け、スムーズなやり取りをすることができるでしょう。

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    執筆:ロッシェル・カップ
    ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社 社長。
    異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタントとして、日本の多国籍企業の海外進出とグローバル人材育成を支援している。イェール大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営学院卒業。日本語が堪能で、『 反省しないアメリカ人をあつかう方法34 』(アルク)、 『英語の品格』 (集英社) をはじめ、著書は多数。朝日新聞等にコラムも連載している。

    編集:GOTCHA!編集部

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